GLOSSAレーベル、フランシスコ・ゲレーロ(1528/29-1599)の「ミサ曲《バビロンの流れのほとりにて》」(GLOSSA GCD 922005)(指揮:マイケル・ヌーン、アンサンブル・プラス・ウルトラ、スコラ・アンティクァ、ヒズ・マジェスティーズ・サクバッツ&コルネッツ)(録音:2006年9月、クエンカ・サン・ミゲル教会、スペイン)を聴いてみました。以前から、ルネサンス時代の音楽も聴きたいと思っていたのですが、最近、丁度、GLOSSAから多くのルネサンス時代のCDが発売されたので、まず、フランシスコ・ゲレーロがたまたま目に付いたので買ってみました。ウィキペディアによると、彼はスペインのセビリャに生まれ、没したようで、若い時から、高い名声を得ていたようです。ルネサンス期のスペインの作曲家では、生まれ順にモラーレス、ゲレーロ、ビクトリアの3人が特に有名らしいです(面白い合唱曲ホームページがあります)。スペインのルネサンス期の作曲家の中で、彼はイタリアではなく、スペインで主に暮らし、活動したようです。何とも言えない神聖な感じで、とにかく美しい歌声です。新たに発見された6つの賛美歌も載っています。
左のCD、MA RECORDINGSの、「オルゲルビュヒライン(オルガン小曲集)」(M076A)(演奏:アンサンブル・マレ・ノストルム、ディレクター:アンドレア・デ・カルロ)(録音:2006年2月~3月、ベルギーのフラン・ワレー村教会)を聴いてみました。このCDでは、ポルタティーフ・オルガンと呼ばれる形態用パイプオルガンを用いており、右手で鍵盤を、左手で鍵盤の裏側にあるフィゴを動かして空気を送り込んで演奏するようです。その他、ガンバ、ヴィオロン、クイントン、アーチリュートといった楽器が使われており、「オルガン小曲集」のオーケストレーションのようです。カンタータ風で、素朴でありながら新鮮な印象です。ソプラノのセリーヌ・シェーンの美声も聞き所でしょうか。
右のCDは、DECCAの、「オルガン小曲集 BWV599-644 (全曲)(教会暦コラール付き)」(UCCD 3230/1)(オルガン&指揮:ピーター・ハーフォード、ケンブリッジ・セント・ジョンズ聖歌隊)(録音:1979年、1981年、Tront/Cambridge)です。このCDには、全曲、プレリュードの前に、オリジナルのコラール(賛美歌)が挿入されており、作品の源泉を辿ることが出来るので、参考になります。音質も良く、聞きやすく、推薦版です。
GLOSSAレーベルの左のCD、「モテット集」(GLOSSA GCDSA 922205)(指揮:ボー・ホルテン、フランダース放送合唱団)(録音:2007年6月25日-27日)(イエズス教会、ベルギー)を聴いてみました。このCDジャケットのデザインも、現代アート風のデザインで、折り紙のようでもあり、素敵です。空間の広がりを感じさせる落ち着いた雰囲気ですが、ややシャープさにかけ、ぼやけた感じがします。モテット集に特に惹かれたきっかけとなったのが、右のDVDの「モテット集 全10曲」(Pioneer PIBC-1059)(指揮:ヘルムート・リリング、管弦楽:シュツットガルト・バッハ合奏団、合唱:ゲヒンゲン聖歌隊)(収録:北ドイツ、オーバーカウフンゲンンの教区教会)です。かなり以前から発売されていると記憶していますが、依然、廃盤になっていないようなので、根強い人気があるのではと思ってます。DVDビデオとしては音質が綺麗で、音の響きも良く、教会内部の映像も綺麗で(照明効果も素敵です)、日本語字幕も付いており、まず最初にこの曲を聴く方には最高の1枚と思います。リリングさんの素朴な人柄もこの曲の指揮にあっているように思います。
「THE LEGENDARY BERLIN CONCERT Live recording, May 26, 1957」(SONY 88697287822)のカラヤン指揮(ベルリンフィル)、グールドによる≪ベートーベン:ピアノ協奏曲第3番≫のCD(左)を聴いてみました。モノラル録音で音質は良くないのですが、グールドの集中した張り詰めた雰囲気が伝わってきます。特にこの曲が特別好きという訳ではないのですが、音質のことを忘れさせてしまう程、思わず引き込まれてしまいます。
右のDVD「アート・オブ・ピアノ」(ワーナーヴィジョン・ジャパン:WPBS-90101)には、若かりし時のバーンシュタイン指揮によるグールドの≪バッハ:ピアノ協奏曲第1番≫の映像の一部が載っています。この演奏の全ての映像が見たいのですが、未だ発売されていないのが残念です。
最近聴いた、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ集のCDです。左のCDが「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ集」(harmonia mundi:HMA 1951712)(ヴィオラ・ダ・ガンバ:ファン・マヌエル・クインターナ、チェンバロ:セリーヌ・フリッシュ)(録音:2000年2月)、右のCDが「ヴィオラ・ダ・ガンバとハープシコードのためのソナタ集」(NAXOS:8.570210)(ヴィオラ・ダ・ガンバ:ミッコ・ペルコラ、ハープシコード:アーポ・ハッキネン)(録音:2006年10月15~17日、フィンランド、聖ペテロ教会)です。両者の演奏は明らかに印象が異なります。特に演奏時間を見て分かるように、左のCDの演奏の方がかなり早く、おそらくαレーベルで活躍している若手チェンバリストのセリーヌ・フリッシュの勢いでしょうか、シャープで闊達な印象です。私個人としては、右のNAXOSのCDの、ゆったりとした、しっとりとした、のんびりした、ガンバらしい雰囲気がこの曲には合っているのではと思います。
GLOSSAレーベルの、「無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバ組曲」(GLOSSA GCD P30405)(演奏:パオロ・パンドルフォ)(録音:2000年10月)を聴いてみました。CDジャケットの現代アート風の、木のような、花のような絵も素敵です。無伴奏チェロ組曲を、ヴィオラ・ダ・ガンバで演奏したCDです。ヴィオラ・ダ・ガンバについては、面白いサイト《ビオラダガンバ製作日記》を見つけましたので、是非読んでみて下さい。無伴奏チェロ組曲というと、演奏家が自らの音楽生命を賭けて気合を入れて演奏するイメージが強いのですが、このCDは、静寂な空間に、何とも言えない柔らかい音色が爽やかに流れていて、いわゆる通奏低音的な肩の力が抜けた演奏です。堤さんのチェロ組曲も聴きやすいのですが、この演奏は本当に心温まる雰囲気がして、癒される感じです。
今回、初めて西山まりえさん(チェンバロ)のCD:「バッハ・イタリア協奏曲&フランス風序曲」(Anthonello Mode AMOE-10005)(録音:2007年5月2-4日、神奈川)を聴いてみました。CDジャケットの春うららのやさしい絵にも惹かれました。このCDには、『クラヴィーア練習曲集 第2部』(1735年出版)からのフランス風序曲、イタリア協奏曲および幻想曲とフーガイ短調が収められています。彼女のサイトは、http://www.geocities.jp/marierism/、です。レコ芸特選盤になっているようです。
いきなり聴き始めて、強烈な印象をうけました。というのは、フランス風序曲の出だしの第1和音から、いきなり曲が終わってしまったのか、あるいは、一瞬、オーディオ装置が壊れたのか、と思ったくらい強烈な遅さで始ったからです!。横になって聴き始めたのですが、思わず飛び起きてしまいました。これで一挙に演奏に引き込まれてしまいました。また、彼女の演奏は重厚で、圧倒的な演奏への“没入”と“集中力”に驚きました。CDの解説書(矢澤孝樹著)に、“今回会思ったのは、細部への没入それ自体が、彼女のバッハ演奏における企図なのではないか、ということである。”、“初めに構成ありきではなく、魅惑的な細部の集積が全体像をなす、とういう視点の転換がそこにはある。”とありますが、納得です。元気を出したい時や気分転換したい時に思わず手にとって聴きたくなってしまう演奏です。もう数回聴いたのですが、彼女からエネルギーが伝わってきます。久々の名盤です。
GLOSSAレーベルの「ゴルドベルク変奏曲」(GLOSSA GCD P31508)(チェンバロ:フォピオ・ポニッツォーニ)(録音:2004年5月、イタリア)を聴いてみました。この曲は、個人的にはピアノによる演奏の方が、微妙な情感が出やすく、好きなのですが、このCDは音が澄んでいて、クリアで、録音も良く、気持ち良くスッキリ聞けました。演奏も気合が入っていて、意欲的な感じがします。随所に音の強弱、テンポの変化を取り入れ、新たなアプローチをしているように感じますが、やや装飾音がやや多く、気になります。特に、強烈な印象は受けなかったのですが、良し悪しは別として、従来のチェンバロ演奏とは少し違った新鮮な印象を受けます。しっかりとした演奏と豊かな表現力が特徴のように思います。
最近、GLOSSAレーベルのCDをぼちぼち聴いています。左のCDは、「モーツァルト レクイエム ニ短調 K.626」(GLOSSA GCD 921105)(フランス・ブリュッヘン指揮、18世紀オーケストラ、オランダ室内合唱団)(録音:1998年3月20日、東京芸術劇場)で、至高の名演と言われているようです。以前から、モーツァルトのレクイエムは機会あるごとに聴いてはいたのですが、バッハの宗教曲に聴きなれていると、どうしてもモーツアルトの若さが目立ち、名曲ではありますが、今一つ深遠さ、崇高さがたりないように感じられ、宗教曲を作曲するのにはある程度年をとらないといけないのかなぁと思っておりました。このCDを買って、初めてこの曲を真剣に繰り返して聴いてみましたが、バッハ、ヘンデル、ベートーベンを彷彿とさせる所もあり、今回初めてバッハに劣らない感動を得ることが出来ました。今後も色々な演奏家のCDも聴き続けて行きたいとあらためて思いました。GLOSSAレーベルはCDによっては録音状態が今一かなと感じるところもありますが、新鮮に聴きました。
ラフマニノフも最も大好きな作曲家の一人です。ヴァレンベルク編「ピアノ協奏曲第五番」(BRILLIANT BRL8900)(ピアノ:W.シュミット=レオナルディ、テオドール・クチャル指揮、ヤナーチェク交響楽団)(録音:2007年6月26-28日)を買って聴いてみました。交響曲第2番のピアノ協奏曲に編曲したものです。録音もよく、とにかく聴いていて、気持ち良く、スカッとした演奏で、切れ味も良く、ストレス解消になりました。ラフマニノフ自身による編曲としても良いような素晴らしい出来上がりです。印象としては、ピアノ協奏曲第2番と第3番を足して2で割ったような感じですが、テクニック的、音色的には第3番に近い感じがします。ラフマニノフの新作を聞くようなドキドキ感があり、新鮮な感覚が体を走り抜けます。この曲も思わず何回も聴いてしまいました。ドラマのBGMとしても使えそうな感じです。
以前買っていて、あまり聴いていなかった、小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラの「マタイ受難曲」(PHILIPS PHCP-11110/2)(3CD)(録音:1997年9月、長野県松本文化会館)(左図)と「ミサ曲ロ短調」(PHILIPS 468 363-2)(2CD)(録音:2000年8-9月、長野県松本文化会館)(右図)を久しぶりに聞いてみました。
小澤さんのCDはあまり持っていないのですが、この2つのCDだけはバッハということもあって買っておいたのですが、あまり聴かずにCDラックに眠っておりましたzzzzz。小澤さんはバッハの宗教曲はあまり出版しておらず、彼のバッハ演奏に対する評価も勉強不足で良く知らないのですが、不思議と、何回か繰り返して聴いてみたいなあと思わないのです。いい演奏なのに何故か印象に残らないというか、小澤さんらしさが何処にあるのかが読み取れないのです(素人なので読めないのが当然かも.....)。声楽パート、器楽パートも素晴らしく、時折、力強いエネルギーが噴出する所がありますが、全体に統一感がなく、宗教的な厳粛さや緊張感に欠けるようで、何かオペラっぽく、バッハ(バロック)らしくないなぁ....とふと感じてしまいます。小澤さんの指揮で、価格も立派なこの両受難曲のCDの評価はどうなんでしょう。皆さんはどう思われますか~?。
年度初めの忙しい時期はぼちぼち落ち着いてきましたが、制度の朝令暮改への対応には本当に困ってしまいます。音楽を聴く暇もなかなか取れないのですが、最近出版された「マタイ受難曲-1742年頃バッハ最終演奏版-」(LINN CKD 313)(3SACDs)(ジョン・バット指揮、ダンディン・コンソート&プレーヤーズ)(録音:2007年9月3日-6日)(左図)を聞いてみました。聴いた瞬間に思い出したのが、右図の「マタイ受難曲」(UNIVERSAL UCCA-1029/30)(2CD)(ポール・マクリューシュ指揮、ガブリエリ・プレイヤーズ)(録音:2002年4月)です。両者ともに、“a single voice to each part”(声楽パートが1パート1人)の演奏です。この演奏形態が本来のバッハの目指した演奏法なのかどうかという難しい議論は専門家に任せておきますが、個人的には、マクリューシュの演奏を聴いてから、1パート1人の方が、聞きやすく好きです。ジョン・バット指揮の演奏は、マクリューシュのきびきびとしたシャープな演奏に比べて、やや落ち着いた、しっとりとした印象です。
マタイ受難曲は大曲ですが、最近、BGMとして聴くと非常に心地よく感じるのに気付きました。少し音量を抑えて、何気なく聞き流すと、宗教的なイメージが薄らいで、美しいメロディーが微風のように流れてきて、軽快な感じがします。
“空前の超豪華装丁と実力派演奏者陣による史上最強のクリスマス・オラトリオ!”とのタイトルの「J.S.バッハ クリスマス・オラトリオ BWV248」(CHANNEL CLASSICS CCS SA 20103)が店頭にあったので、ちょっと値段が高かったのですが、あまりにも豪華そうだったので衝動買いをしてしまいました。ジョス・ファン・フェルトホーフェン指揮、オランダ・バッハ協会管弦楽団、オランダ・バッハ協会合唱団による演奏です。左の写真がCDが入っているケースで、右の写真が、分厚い、写真がいっぱい掲載されている解説書とCDケースがおさまっているフェルト風のCDボックスです。
期待を込めて恐る恐る聞き始めましたが、うーん、これが史上最強かなぁ....、。確かにいい演奏なんでしょうが、第一部の冒頭から、ウーハーなしでもティンパニーが妙に響き、高音がクリアでなく、全体がぼやけた印象です。全体を通じて、低音域が響きすぎて、高音域がぼやけていたため、アンプで調整してみた所、まずまず聞きやすくなりました。多分、私のオーディオがあまり良くないんだとはおもうのですが......。
低音を抑え、高音を増強して、全体を聞きなおしてみました。全体的にまろやかでマイルドな雰囲気が漂っており、静かに横になって休みながら聞くと、ふわーっと天に昇って、雲の中に入って天使に囲まれているようで、心安らかになる感じです(いつも感じるのですが、音楽の印象を言葉で表現するのは本当に難しいですね)。BGMとしても良いかも知れません。史上最強というより、オーソドックスな真摯な演奏のように思います。でも、良く分からないのですが、レコーディングというか、最終的な音の調整があまり良くないのではと感じますが、どうでしょう。一度、オーディオ専門店の高級機種で聞いてみたいと思っています。
やっと、αレーベルのカフェ・ツィンマーマンによる「J.S.バッハ:さまざまな楽器による協奏曲集-Ⅰ(α013)、Ⅱ(α048)、Ⅲ(α071)」が揃いました。最小編成で、本当に素晴らしい生き生きとした演奏で、各パートのメロディーも良く聞き取れ、感動的でした。一挙に何回も何回も飽きずに聞きました。ここ2,3日は夜中も早朝もこれらのCDをかけっぱなしの状態です。今も、管弦楽組曲第1番を聞きながらブログを書いています。特に、第Ⅲ巻のブランデンブルク協奏曲第4番は特に惹き込まれました。何ともいえない躍動的な心躍る感覚は天にも登る程の感激でした(チョット大袈裟ですが...)。カフェ・ツィンマーマンの演奏スピードは全体的に速めですが、バッハの音楽はやはり演奏テンポが速めの方が、バッハの持っている本来のエネルギッシュな面が伝わりやすいのではないかと思います。これらの3つのCDを聞いて、いままで何回も聞いていた曲が、またく別の曲を聞いているような感覚になり、非常に新鮮に感じられました。私のとって過去最高の協奏曲集です。本当に素晴らしいの一言です。
ゼレンカ(1679-1745)の新譜を見つけました。METRONOME(MET CD 1082)で、Penelope Rapson指揮、Fiori Musicaliの演奏です。CDのカバー写真は、エルベ川の右土手から見たドレスデンの風景で、Bellotto, Bernardo(1720-80)による1748年製作の油絵のようです。この絵画の全景も見たくなります。作品は、①Requiem in C minor ZWV 45 (First UK recording)、②Miserere in C minor ZWV 57 、③Lamentatio pro Die Veneris Sancto ZWV 53、の3曲です。これらの曲の詳しい成り立ちは良く解りませんが、とにかく神聖な感じで美しい曲です。(英語解説では、第1曲目のrequiemにはバロック様式より新しいギャラント様式の所があり、ゼレンカの作品かどうか疑問が残る部分があるようですが、全体的にバロック様式でありながら、少し新しい風が流れているように感じます。間違っていたらすみません.....)