山ほどあるゴールドベルク変奏曲の録音のなかでも、このαレーベルのセリーヌ・フリッシュ嬢の演奏は、チェンバロの演奏の中では私の最高のお気に入りです(Alpha 014)。このCDには①ゴールドベルグ変奏曲(BWV 988)、以外にも、②ゴールドベルグ変奏曲の最初の8音のバスに基づく14のカノン(BWV 1087)、③ゴールドベルグ変奏曲第30変奏(クオドリヘッド)のドイツ民謡、の3つの部分から構成されている。②と③は今まで聴いたことが無かったため、興味深く聞きました。解説者の河内琢夫氏によれば、②の作曲年代は「変奏曲」の作曲からおよそ5年後の1747年頃と推定されており、「変奏曲」の初版楽譜の巻末に書き記されていたが、その後忘れられ、1975年にストラスブールで発見されたようです。また、「変奏曲」の第30変奏はクアドリヘッドと名づけられており、これはラテン語で「お好きなように」という意味だそうです。同氏は解説書で、”長大な変奏曲の最後にあたってバッハが行った軽い気晴らし、もしくは弾き手(聞き手)への「お疲れ様」とでも言いたげなサービスであろうか。”と述べています。このクアドオリヘッドには、当時の民謡の旋律が2つ使用されており、モトネタであるこの2つの歌が収録されている。非常に貴重なCDである。このCDには外国語(フランス語、ドイツ語、英語)の分厚く、良い紙で印刷された解説書が付いています。あまり内容は良く分からないのですが、演奏者のセリーヌ・フリッシュ嬢の若くて美しい写真が幾つか掲載されており、これも見所です!