筋書きのないドラマ、筋書きのあるドラマ

ロッテ戦を中心に、野球を好き勝手な視点から見るブログ

「寛容力」渡辺久信著

2009-04-21 17:18:52 | 野球

去年日本一となった埼玉西武ライオンズの監督渡辺さんの書かれた本。どんな経歴でどんなことを思って指導者になったのかとか、若手との関わり方で気をつけていることとか、ご本人の経験を綴っている。

指導者の指南書、といった位置づけになるのだろうか。

この「寛容力」で述べられている渡辺さんの指導法にはとても納得できることも、参考になる部分も多い。けど、あれこれ彼なりに模索してつかみ取った彼なりの方法だろうと感じる。監督さんにもいろんなタイプがあるように、世の上司の方々も「オレ流」を見つけるのが大変だ。

現役時代は「新人類」と呼ばれ、アイドルのような見かけとぶっ飛んだ言動で話題には事欠かなかった渡辺氏。ご本人はそれに対して物申したいこともあったようだが、その頃の「型にはまらない」姿勢が今も生きているようだ。それが、「固定観念を打ち砕く」という本書で述べられている渡辺さんの信念。いいと思ったら前例にとらわれずやってみる。これ、言うのは簡単だけど相当難。でもヒサノブならひらりとやってしまうようにも見える。

若手との関わり方にしても、「最近の若い人はわからない」と彼が言うはずがない気がする。何せご自分がそんな風に言われていたし、するする人懐こく周りにとけ込んでいける性格らしいので、打ち解けるのは得意なようで

台湾球界で3年間のコーチをしに行ったのに、言葉が通じなくてうまく説明できず、「こうするんだ」と見本を見せることにしたら、勝ってしまってそこで現役復帰することになってしまった。なんていうのも、柔軟性のありそうな彼らしい感じがして笑えた。でも、それも相手を伸ばしてやりたいという思いがあるからこそ。

「寛容力」すなわち怒らない。ミスには寛容にのびのびとプレイさせる。とっても今風。とっても渡辺っぽい。でも普通の人がこれをやれと言われると、とーっても難しいと思う。すぐに真似できそうなのは、「とことん話し合う」ことだろうか。それだって、世代のギャップでなかなかね。それをクリアできても「具体的に目標を定めてやる」ってことも、相手の力をしっかり見極められないとできないこと。

監督業すなわち上司は大変だなあと改めて思った。そうやってあの手この手で若手の力を引っ張り出そうとする。翻ってみると自分が部下の時代は自分のことだけ考えてれば良かった。気に入らないと上司の悪口をいっぱい言ってた 今にして思うと、ホントごめんなさい、という感じ。

世の中の上司の皆様、本当にお疲れ様です。久信氏も含め。