グレッグ・リドリー Alfred Gregory "Greg" Ridley
【パート】
ベース、ギター、ヴォーカル
【生没年月日】
1941年10月23日~2003年11月19日(62歳)
【出生地】
イングランド カンバーランド州カーライル
【経 歴】
ラムロッズ/The Ramrods(1963)
V.I.P.'s(1963~1967)
アート/Art(1967)
スプーキー・トゥース/Spooky Tooth(1967~1969)
ハンブル・パイ/Humble Pie(1969~1975)
ストレンジ・ブリュー/Strange Brew(1975)
スティーヴ・マリオット・オール・スターズ/Steve Marriott All Stars(1975~1976)
ハンブル・パイ/Humble Pie(2001~2002)
コスタ・ブランカ/Costa Blanca(2002)
「スプーキー・トゥース」「ハンブル・パイ」のベーシストとして知られる。
1960年代前半、「ディノ」の名で「Dino & the Danubes」(ディノ&ザ・ドナウ)というローカル・バンドにギタリストとして加入したことがリドリーの音楽活動の始まりである。
その後「The Dakotas」を経て、学友でバンド仲間だったマイク・ハリスンの在籍する「ラムロッズ」に、ベーシストとして1963年に加入。ラムロッズは翌64年に「ヴィップス」(The V.I.P.'s)と改名する。
1966年、V.I.P.'sは大幅なメンバー・チェンジを行い、ラインナップはマイク・ハリソン(keyboard, vocal)、ルーサー・グロヴナー(guitar)、グレッグ・リドリー(bass)、マイク・ケリー(drums)の4人となった。ちなみにこの年、短期間ではあるが、キース・エマーソンが在籍している。
1967年4月、サイケデリックな時代背景を反映して、バンドは「アート」(Art)と再び改名し、同年7月にはアルバム『Supernatural Fairy Tales』とシングル『What's That Sound?』を発表。
1967年10月、バンドはツアー先の西ドイツでヴォーカル兼キーボード奏者のゲイリー・ライトと出会う。アイランド・レーベルの社長でプロデューサーのクリス・ブラックウェルの提案によって、バンドはライトをメンバー加えた。こうしてメンバーが固まったアートは、新たに「スプーキー・トゥース」と名乗ることになる。
スプーキー・トゥースはブルースをベースとして、サイケデリックやアメリカン・ロックなどからも影響されたヘヴィーなサウンドを特徴としていた。
1968年1月、スプーキー・トゥースは『サンシャイン・ヘルプ・ミー』で、アイランド・レーベルからシングル・デビュー。続いて同年8月にはデビュー・アルバム『イッツ・オール・アバウト』を発表した。
1968年末、スプーキー・トゥースがスモール・フェイセスのオープニング・アクトを務めた際、リドリーはスティーヴ・マリオットからニュー・グループ「ハンブル・パイ」への参加を打診された。このプランを了承したリドリーは、1969年2月にはスプーキー・トゥースを脱退し、ハンブル・パイのメンバーとなった。
なおリドリー脱退後の同年5月に、セカンド・アルバム『スプーキー・トゥー』がリリースされたが、このアルバムは全米チャートで44位まで上昇(スプーキー・トゥース唯一の全米トップ50アルバム)、メディアからも高く評価されており、現在でもスプーキー・トゥースの最高傑作と言われている。
ハンブル・パイの結成当初のメンバーは、ピーター・フランプトン(guitar, vocal)、スティーヴ・マリオット(guitar, vocal)、グレッグ・リドリー(bass)、ジェリー・シャーリー(drums)である。この4人の集結は「スーパー・グループ」として大いに期待され、1969年4月に活動を開始した。
フランプトンとマリオットのスターふたりによる双頭バンドとして注目されたハンブル・パイだったが、ポップ、フォーク・ロック的指向を持つフランプトンとブルースやソウル指向のマリオットの、ふたりの音楽性の相違がはっきり現れてきたため、1971年秋にフランプトンが脱退。
新メンバーとして参加したのは元コロシアムのクレム・クレムソンである。彼の加入によってバンドの方向性は、マリオットの持つブルージーでソウルフルな路線に、より明確にシフトすることになる。
音楽性の進化にともない、その激しいライヴ・パフォーマンスが知られるようになる。またリドリーとシャーリーのコンビは、当時のロック界有数の強力なリズム・セクションとして評価されるようになった。
1973年、ハンブル・パイは初来日。ベック、ボガート&アピスと来日時期が重なっていたため、メディアからはあまり取り上げられなかったものの、ライヴ自体は中味の濃いエキサイティングなもので、ツアーは成功裡に終わった。
その後はツアーの連続によってメンバーが疲弊したため、1975年の「Goodbye Pie Tour」の後で、ハンブル・パイは解散する。
解散直前の1975年2月にリリースされたアルバム『ストリート・ラッツ』では、全11曲中リドリーが5曲でリード・ヴォーカルをとっている。
ハンブル・パイ解散後は、クレム・クレムソン、コージー・パウエルとともに「ストレンジ・ブリュー」を結成するが、すぐに解散してしまう。
また、スティーヴ・マリオット・オール・スターズの一員となり、マリオットのソロ・アルバム『マリオット』(1976年)のレコーディングでは全10曲中5曲に参加している。
そのほかマイク・パトゥとオリー・ハルソールが結成した「ボクサー」のライヴに参加するなどしたが、1976~77年頃には音楽業界から身を引いた。引退後はイングランド南西部のグロスターシャー州に住み、アンティーク家具の店を経営するほか、アンティークのトレーダーとしても働いた。
1998年、マイク・ハリソン、ルーサー・グロヴナー、グレッグ・リドリー、マイク・ケリーのオリジナル・メンバー4人でスプーキー・トゥースが再結成され、1999年に25年ぶりのニュー・アルバム『Cross Purpose』を発表した。
1991年に亡くなったスティーヴ・マリオットのメモリアル・コンサート(「スティーヴ・マリオット・トリビュート・コンサート」)が2001年4月14日に行われたが、この時にハンブル・パイが再結成され、ピーター・フランプトン、クレム・クレムソン、グレッグ・リドリー、ジェリー・シャーリーというラインナップで出演し、5曲を演奏した。
2002年には、リドリー、ジェリー・シャーリー、ボビー・テンチ、デイヴ・コルウェルというラインナップで「ハンブル・パイ」としてのアルバム『バック・オン・トラック』を発表したほか、「カンパニー・オブ・スネイクス」(Company of Snakes)との短期のドイツ・ツアーに参加している。
同年元ウイングスのジョフ・ブリトン(drums)率いる「Costa Blanca」に加入。
2002年後半に、リドリーは健康を害し、そのためハンブル・パイは解散する。
2003年5月にはライヴで演奏できるほど回復したが、その年11月19日、移住先であるスペインのバレンシア州アリカンテ県ハベアで、肺炎とその合併症により56歳で死去。
2005年、リドリーを追悼して、アンソロジー・アルバム『All I Ever Needed』がリリースされた。
【ディスコグラフィ】(☆ライヴ・アルバム)
<アート/Art>
◆アルバム
1967年 Supernatural Fairy Tales
<スプーキー・トゥース>/Spooky Tooth
◆アルバム
1968年 イッツ・オール・アバウト/It's All About(1971年US152位)
1969年 スプーキー・トゥー/Spooky Two(US44位)
1999年 Cross Purpose
<ハンブル・パイ/Humble Pie>
◆アルバム
1969年 アズ・セイフ・アズ・イエスタデイ・イズ/As Safe As Yesterday Is(UK32位)
1969年 タウン・アンド・カントリー/Town and Country
1970年 大地と海の歌/Humble Pie
1971年 ロック・オン/Rock On(US118位)
☆1971年 パフォーマンス~ロッキン・ザ・フィルモア/Performance Rockin' the Fillmore(US21位, UK32位)
1972年 スモーキン/Smokin'(US6位、UK20位)
1973年 イート・イット/Eat It(US13位, UK34位, 日本58位)
1974年 サンダーボックス/Thnderbox(US52位, 日本85位)
1975年 ストリート・ラッツ/Street Rats(US100位)
☆1996年 ライヴ・イン・コンサート/Humble Pie in Concert(1973年5月6日録音)
2002年 バック・オン・トラック/Back on Track
◆シングル
1969年 あいつ/Natural Born Bugie(UK4位)
1971年 ノー・ドクター/I Don't Need No Doctor(US73位)
1972年 ホット・アンド・ナスティ/Hot 'n' Nasty(US52位)
<スティーヴ・マリオット>
◆アルバム
1976年 Marriott
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