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ラマー・ウィリアムス

2024-11-05 00:23:03 | bass

ラマー・ウィリアムズ Lamar Williams


 【パート】

   ベース 

 【生没年月日】
   1949年1月14日~1983年1月21日(34歳没)

 【出生地】
   アメリカ合衆国ミシシッピ州ガルフポート

 【経 歴】
   オールマン・ブラザーズ・バンド/Allman Brothers Band(1972~1976)
   シー・レヴェル/Sea Level(1976~1980)
   シャープシューター・バンド/SharpShooter Band(1980~1981)


 ラマー・ウィリアムズは、オールマン・ブラザーズの2代目ベーシストである。

 1949年1月14日、ウィリアムズはミシシッピ州ガルフポートで生まれた。
 近くのミシシッピ州ハンズボロで育ったウィリアムズは、父が音楽好きだったこともあって子供の頃から音楽と接していたが、そのうち歌の伴奏のベースラインに惹かれるようになり、独学でベースを弾くようになった。とくにウィリアムズが影響を受けたのは、ジェームス・ジェマーソンやスタンリー・クラークなどである。
 14歳の時には、父もメンバーのひとりだったゴスペル・バンド「ディープ・サウス」で演奏するようになる。

 高校に進んだウィリアムズは、1965年に学校でジョン・リー・ジョンソンと出会う。
 ジョンソンはドラマーで、一緒にバンドを組むことになり、のち終生の友となるが、彼がのちにオールマン・ブラザーズ・バンドでバンドメイトになるジェイ・ジョハンニー・ジョハンソンことジェイモーである。ウィリアムズのベースはリズム&ブルースやジャズのフィーリングが豊かで、ジェイモーのドラミングにも影響を与えたと言われている。
 ウィリアムズとジェイモーはベイ・エリアの多くのバンドで演奏した。その中で最も知られているのが、1965年から1967年まで在籍したジョージ・ウッズ率いる「サウンズ・オブ・ソウル」である。

 1968年、ウィリアムズは徴兵され、アメリカ陸軍に入隊。
 配属先は特別部隊のバンドだったことから、軍の下士官クラブや基地のある地元住民のために演奏したが、バンドはカントリー&ウエスタンやラグタイムなどロックやR&B以外のジャンルもレパートリーとしていた。ウィリアムズはこの時期にさまざまな種類の音楽を受け入れることで、幅広い音楽性を養った。ウィリアムズ自身、のちに「音楽的に興味深い時期だった」と述べている。
 当時はベトナム戦争真っただ中であったため、ウィリアムスもやがて南ベトナムに派遣される。
 ウィリアムズ自身は平和主義者で、一貫してベトナム戦争に反対していた。そのため隊内では反抗的な態度を取ることもあったという。
 一説によると、南ベトナムの基地に到着したウィリアムズはまもなく脱走してジャングルに入って数ヵ月間村から村をさまよった。時には「部隊とはぐれた」として新しい部隊に加わったりしたという。また憲兵に逮捕されたこともあった。釈放されたものの、その後も憲兵に目をつけられることがあったが、何人かの黒人の憲兵はそのことを知らせてくれ、おかげウィリアムスは事なきを得たという。

 1970年、ウィリアムズは二等兵として陸軍を名誉除隊する。
 除隊手続き期間を終えると、「ファンガス・ブルース・バンド」とジャム・セッションを行ったりして日々を過ごしていた。
 1972年11月11日、オールマン・ブラザーズ・バンドのベーシスト、ベリー・オークリーがオートバイ事故により24歳の若さで死去する。オールマン・ブラザーズには友人のジェイモーが在籍しており、ウィリアムズはその繋がりからオーディションに参加することになった。ウィリアムズのオーディション中、バンドのもうひとりのドラマー、ブッチ・トラックスが突然「このオーディションはもう充分だ。リハーサルをしよう!」と言いだしたという。こうして1972年の終わり頃、ウィリアムズはオークリーの後任としてオールマン・ブラザーズに加入することになった。
 
 1973年8月、加入後初のアルバム「ブラザーズ&シスターズ」が発表される。
 全米1位の大ヒットを記録したこのアルバムは全7曲が収録されており、うちオークリーが2曲、ウィリアムズが5曲ベースを弾いている。オークリーは自由なアプローチのベースを展開していたが、ウィリアムズのベース・スタイルはオーソドックスでグルーヴィーなものである。結果的にバンドのリズム・セクションはよりアクティヴに進化したとも言える。

 ウィリアムズ加入後のオールマン・ブラザーズは全盛期を迎え、ライヴを行ったアリーナやスタジアムは聴衆でぎっしり埋まった。ニューヨーク州ワトキンズ・グレンで行われたサマー・ジャムでは約60万人もの聴衆の前で演奏している。
 バンドが巨大化するにつれ、メンバー間のエゴもぶつかり合うようになり、バンド内はリーヴェル、ウィリアムズ、ジェイモーがひとつのグループを形作るようになった。
 1976年、グレッグ・オールマンが麻薬に絡んだ事件の関係者となる。自分が逮捕されることを恐れたオールマンは、バンドのロード・マネージャーに責任がある旨偽証したことから、他のメンバーがグレッグとの演奏を拒否する事態となった。音楽的見解の相違、メンバー間の溝なども相まって、この年オールマン・ブラザーズ・バンドは解散した。

 解散後、ウィリアムズは、チャック・リーヴェル(keyboards)、ジェイモー(drums)、そしてグレッグ・オールマンのアルバムにも参加していたジミー・ノールズ(guitar)とともに、フュージョン色の濃い新たなサザン・ロック・バンド「シー・レヴェル」を結成

 シー・レヴェルは1978年までに3枚のアルバムを出し、着実に活動していたが、この頃オールマン・ブラザーズの再結成が持ち上がり、リーヴェル、ウィリアムズ、ジェイモーにも声がかかった。ジェイモーはオールマン・ブラザーズに復帰したが、ウィリアムズとリーヴェルはシー・レヴェルでの活動を継続したいと考え、このオファーを辞退した。
 シー・レヴェルはある程度の商業的成功を収めていたが、ウィリアムズはシー・レヴェル解散直前の1980年に脱退した。
 ウィリアムズは、オールマン・ブラザーズを再度脱退したジェイモーとともに、その後まもなくミシシッピ時代の友人であるウェイン・シャープのバンド、「シャープシューター・バンド」に加わる。

 1981年、ウィリアムズはツアー中に体調不良を訴え、診察の結果肺癌であることが判明した。医師は、ベトナム従軍中にアメリカ軍が散布した枯葉剤が原因だとしている。
 その後手術を受けたウィリアムズは、最期の1年のほとんどをカリフォルニア州ロサンゼルスの退役軍人の医療施設で過ごし、化学療法を受けていたが、34歳の誕生日の7日後の1983年1月21日にロサンゼルスで死去した。
 葬儀は故郷のミシシッピ州ガルフポートで執り行われ、遺体はミシシッピ州ビロクシの国立墓地に埋葬された。
 ウィリアムズの死後、非営利団体「ラマー・ウィリアムズ枯葉剤研究財団」が設立された。同財団は慈善コンサートの収益金を財団や他のベトナム戦争関連団体に寄付するなどの活動を行ったのち、ベトナム戦争退役軍人が抱える問題に取り組んでいる組織「ウェルカム・ホーム」社に統合された。
 2015年、ミシシッピ州ブルース・コミッションが公式に推薦するブルースの名所ガイド「ミシシッピ・ブルース・トレイル」は、ウィリアムズやジェイモーなどアメリカの音楽界に足跡を残した近隣のミュージシャンを称える「ガルフポート・ブギー」という標識を設置した。

 兄弟のひとりであるジェームズ・ウィリアムズもベーシストで、ミシシッピ州ランシングを拠点とするブルース・バンド「ルート・ドクター」の創設メンバーである。
 また息子のラマー・ウィリアムズJr.は、2019年に「ニュー・マスターサウンズ」にヴォーカリストとして参加したのち、「トラブル・ノー・モア」のヴォーカリストを務めている。トラブル・ノー・モアはオールマン・ブラザーズの曲を積極的にレパートリーに取り上げている。


【ディスコグラフィ】(☆=ライヴ・アルバム ★=コンピレーションアルバム)

<オールマン・ブラザーズ・バンド>

  1973年 ブラザーズ・アンド・シスターズ/Brothers and Sisters US1位, UK42位
  1975年 ウィン・ルーズ・オア・ドロウ/Win, Lose or Draw US5位
 ☆1976年 熱風/Wipe the Windows, Check the Oil, Dollar Gas US75位
 ★1989年 Dreams US103位
 ★1991年 オールマン・ブラザーズ・バンド・コレクション/A Decade of Hits 1969~1979 US39位
☆★1996年 The Best of the Allman Brothers Band Live
 ☆2005年 Nassau Coliseum, Uniondale NY : 5/1/73 ※録音1973年5月1日 US位

<シー・レヴェル>
  1977年 荒海/Sea Level
  1977年 海猫/Cats on the Coast オーストラリア99位
  1978年 On the Edge
  1979年 Long Walk on a Short Pier
  1980年 ボール・ルーム/Ball Room


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