
富士見中学高等学校演劇部@俳優座劇場
最初の台詞で、この世を去って行く人がいる気がする。
そして、それが志帆であることが次の場面でわかる。
学校始まって以来の東大を目指せる優等生。
演劇部の部員からも先生からも母からも妹からも
信頼が厚く、期待されている。
でも...彼女の描く夢は、東大ではなく、女優。
まわりには贅沢な悩みに見えてしまうのかな...
悩みすらも理解してもらえない。
我慢に我慢を重ねて、彼女は自分を維持していく。
まわりの期待を誇りとして。
ここまでは、どうして彼女が死んでしまうのか、
どうしてもわからなかった。
そのくらい、楽しそうな日々。
でも、我慢が大きかった分、反動も大きかった。
ある日、学校のガラスを全部割る。
その事件で、演劇部員から追いつめられ、退部。
コンクールの後、妹から皆に告げられる通夜の時間。
仲良しだと思っている人からの攻撃。
その揺り幅が、西澤ワールドだな。
でも、それが辛い...。
優等生の孤独。
誰一人、なぜガラスを割ったのかを聞く人はいなかった。
悩みの違い、立場の違い。
彼女は、何に絶望し、未来が見えなくなったのだろうか?
彼女の我慢が限界を超えたあたりで
私のココロに亀裂が入った音がした。
パンドラの箱が、思いもよらない衝撃に開いてしまった。
あとは、もう涙で記憶も曖昧...。
過去のトラウマ、ピンポイントで直撃。
それも桜のこの季節。
東京にいたくないこの季節。
彼女を救うことは出来なかったのかな...。
でも、1日限りのこの公演。
観ることができて、本当に良かった。