ゆるゆるしなやかに♪ ベルマダがいく!

2011年4月からベルギー生活をはじめました。
ベルギーでの生活等々、ゆるゆる綴っていきますね。

林檎の礼拝堂をみて静謐な力を感じる

2012-11-03 12:57:45 | Normandie(フランス)
今日は、今回の私個人的にかなりなメインイベントである、
「林檎の礼拝堂」を見に行くんですっ。

Falaiseという町から3kmほど離れたSt-Martin-de-Mieuxという村があり、
日本人アーティスト田窪恭治さんが10年以上の歳月をかけて修復をした小さな礼拝堂があり、
「林檎の礼拝堂」と呼ばれています。

ここは、Faliseの観光局が管理していて、
6月~9月までは、午後14:30~18:00まで開いていて見学可能らしいのですが、
その他の期間は、基本的にClosedされているらしく、
webで見た時は「えーーーっ♭見れないじゃん、むっちゃ残念~(泣)」と思ったのですが、
よくよく読んだら、「その他の期間は、相談に応じます」と書いてあったので、
メールで問あわせしてみました。

フランス語は、アクセント記号を表記するのに手間がかかるので、
ささっと英語で2行ぐらい書いて送ったんですが、、、
返事がフランス語で来た!?しかもかなりカジュアルな感じのフランス語。

まぁ、いいんだけど、、、
で、開けるのは問題ないよーっといってくれて、ただ、時間を指定して欲しいと書いてあったので、
午前11時にFalaiseのインフォメーションセンターに行くから一緒に行ってほしい。と
返事をしたら、返事がやたら遅い。。苦笑。
とうとう、当日の朝になっても返事が来ないけど、、、と、ちょっと不安になりながら、
インフォメーションセンターのあるFalaiseに着いたのが10時過ぎ。
あ!?メールが来たよ。今頃(笑)

一安心で11時に行ったけど、案内役のマダムが電話を一本かけてくれて、
「あー、今から(別の)マダムがくるからちょっと待ってて」と言われ、待つこと20分。

やってきたのは、Mireiileという感じのいい気さくなマダム。
60歳ぐらい?に見えるけど。

彼女の車に乗せてもらい、牧場の続く道を走り抜ける。
彼女は何も話さないので、「英語を話すの?」と聞いてみたら、
「ほとんど話せない」とのこと。
えー、それでよく観光インフォメーションセンターに勤めているなぁ~と思ったら、
なんと、ボランティアの人で、この林檎の礼拝堂の案内を専門でやってるらしい。
そーいえば、彼女の車のトランクに牛乳とか買い物かごが乗っかってたけど、、、
あれは、待ち合わせの前にFalaiseのマルシェで買い物してきたのかな?

とか妄想してる間に、ついた!

ポツン。
という言葉が似合いすぎるほど似合う。



礼拝堂の前には樹齢500年以上の大きな樹があり、静かな生命力を感じる。

Mireilleがカギを開けてくれて、中に入ると、、、
そこには、ノルマンディー地方の特産である林檎の樹が一面に描かれており、
屋根に嵌めた色ガラスの瓦越しに柔らかい光が入って来ていた。









なんというか、、、とても静かにみなぎる力のようなモノを感じる。

彼が最初にここを訪れた時、この礼拝堂は廃墟の状態だったらしい。
1987年にこの場所でこの礼拝堂を修復することで表現をしたいと決めてからの3年間は、
村人達との協力を得るためにこの地に移り住み、理解してもらうところから、
フランスや日本との調整、資金集めまで非常に苦労の連続で、ようやく多くの協力を得て
作業に取り組んだようです。

この林檎の壁画は、鉛板の上に何層も塗料を塗り、一番上に白を重ねて、
そこを釘やノミのようなもので引っ掻き、下の色を出して描くというもの。
そこに平面ではあるが、色の奥行きを感じさせる独特の美しさが出ている。


屋根は、廃墟ではあったが、使える部分は使い、特注した色ガラスを独自に配置したらしい。





奥の、のれんのかかった小さい部屋には、
どのように田窪さんが改築したかを示す記録や写真が壁に飾られていました。




Mireilleは、田窪さん本人とも何度も会ったことがあるようで、
彼は3人の子供を連れてFalaiseに住んでいたんだよ。と教えてくれた。

これは、礼拝堂の扉。


資金を出してくれた人たちの名前が刻まれている。
ほとんどが日本人の名前に見えたので、Mireilleに質問したら、
「そうなの。この礼拝堂は、日本の人のお金で修復できたのよ。」と。
後から調べてみたら、3億円ほどの資金を調達したそうだ。
額面から見ても、その大変さは想像を絶する。


初めてみた時にインスピレーションを感じてから着手までに3年。
その後10年余りをかけて完成。

自分が「やりたい」という思いをそこまで貫き通した力がここに詰まっている。

ふと、自分はそんな強烈な気持ちをそんなに長く貫いたことがあるのだろうかと振り返る。

やはり、「天才は、努力しつづける才能を持った人」をいうのだろうか。



彼のインタビュー記事をwebで見つけた。
http://www.ntt-f.co.jp/fusion/no30/tokusyu/tokusyu.htm

その中に「世過ぎしのぎ」という言葉があった。
そう、普通に世過ぎをしてくのが悪いこととは全然思わないが、
このインタビューを読んだ後、
ふと、簡単に日々さらさらと時を過ごしていき、
うまく世渡りしていくことばかりに自分が囚われているのではないか、
何か自分が自分で自分らしく大切に人生を生きているのかを問われている気がした。

そして、林檎といえば、、、ドイツの神学者ルターの有名な言葉を思い出します。

「明日、地球が滅びようとも 今日、私は林檎の樹を植える」

この礼拝堂の中にいると、希望を持ち続けることの凄さと辛さ、そしてその素晴らしさが
色とりどりの光とともに、自分に降りかかってくるようでした。


さぁ、あなたにとっての「林檎の樹」はなんですか?




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◆FalaiseのOffice de tourismeの該当サイト
http://en.falaise-tourisme.com/Saint-Vigor-Chapel,2,16,79.html




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