隈さんの学びと遊びの部屋

定年後にパソコンやスマホ、写真、家庭菜園、テニス、旅行などを楽しんでいますが、その時々に感じたことを綴っていきます。

天に星、地に花

2015-03-23 16:48:46 | 読書
 やや寒いですが、晴れのいい気候になりました!  これで桜も咲き始め、来週は花見となるでしょうか??
久しぶりに 感動した 読書ネタ です!
かなりの長編で苦労しましたが、 箒木 篷生(ははきぎ ほうせい) 先生の「天に 星、地に花」という長編時代小説です。
筑後川周辺の農村を舞台にして、大庄屋の次男坊である少年が医師になり、やがては村の診療所を作り、一生を捧げていく過程で起こる百姓一揆や百姓の凄惨生活を描き出しています。
江戸時代の久留米藩が舞台なので、知っている地名や方言、有名人なども出てきて、内容は暗い話が多いのですが、引き込まれていきます。

ここででてくるのが本の題名の 「星に天、地に花」 という名言ですが、インターネットで調べました。
これは武者小路実篤先生がよく色紙などに書かれていて、一般的によく知られていますが、この名言は明治時代の 高山樗牛が「天にありては星、地にありては花、人にありては愛、これ世に美しきものの最たらずや・・・・・」 と書いた文集を、実篤先生が読んで、好きなフレーズとして色紙等に書かれたのではないかと推測されるとありました。 これが事実なのかはわかりませんが、少なくとも時系列にはそうなるようです。
この小説ではこの名言は主人公の高松凌水の師匠である鎮水先生が長崎修行中のオランダ通詞人から書いてもらった 「星に愛、地に花、人に慈愛」 となっているので、元をたどるとオランダなどからきているのかもしれません。結局のところ、この名言の出所ははっきりしませんが、とても素敵な名言には間違いありませんし、この小説のテーマとなるのでしょう!

私の好きな「葉室 凛」先生の時代小説は多くは「武士」が主人公ですが、この箒木先生は農民を主に描いてるのが特徴だそうです! そしてこの主人公「高松 凌水」が実在の人物であるのか、インタネットではわかりませんでしたが、主人公の義理の弟となる「大石久敬」やその大石の孫となる「高松猪十郎」は実在の人物であるので、この江戸時代に久留米で診療所で開いて活躍した医師(史実)をモデルにしたものではないでしょうか?
歴史の一部や地名、方言、善導寺、ふな焼き、歌?など地元久留米ならでの話が面白いし、{親兄弟愛、師弟愛、そして、後半にでてくる「人間はお上が気に入らんことで、正しいこつなら、せにゃならんことがある」と農民に説く主人公の言葉は 今の世情に警鐘をならしているようにも思われます。 派手ではありませんが、じわじわとくる感動に涙がでてくる小説です 
皆様も一度、読まれたらどうでしょうか??

「恋歌」を読んで・・・・

2014-08-19 09:25:33 | 読書
全く、この作者(朝井まかて)や本の内容を知らなくて、 直木賞受賞作品 であることから読み始めましたが、久しぶりに、読み応えのある本に出合えました!! 
題名からは、「恋愛小説」だと連想しますよね!! これが違うんですね!!
私の好きな 「歴史小説」 なんです。主な内容は実在した歌人「中島歌子」の半生を描いた作品で、水戸藩士の林忠左衛門と結婚した主人公が幕末の水戸藩における「天狗党」と「諸生党」との内紛に巻き込まれていく様を史実とフィクションを交えて、主人公の弟子(三宅花圃)を通して語られています。
もちろん、歌子と林忠左衛門との愛情が根底に流れていますが、幕末時の水戸藩の対立する藩士の家族まで抹殺するという血と血を洗う「復習劇」を 人間の業 として描いているようにも思えます。それは今も変わらない?・・・・、最近のイスラエルとパレスチナとの争いなど・・・
何ともやりきれない気持ちになりますが、この本の結末では歌子が 「この復習劇を終わらせる」 ことで、なにか暖かくなる気持ちで読み終わることができます。

又、10月公開予定の映画で「柘榴坂の仇討」がありますが、その「桜田門外の変」の暗殺に間に合わなかったのがこの「林忠左衛門」でもあるようです。この映画に出てくることはないと思いますが、興味あるところです。

最後に  林忠左衛門の辞世の句と中島歌子の句 で、  「恋歌」 を・・・・・・

 かえらじと契るつらき別れかな 国のためとて仇ならむ身を 

 君にこそ恋しきふしは習いつれ さらば忘るることもしへよ 


 


「利休にたずねよ」を読んで!

2014-02-18 08:54:32 | 読書
この作者の「山本兼一」さんが近頃、57歳で亡くなられたそうで、若いですよね! 合掌です。
前回、「等伯」を読んで千利休に繋がり、映画でも話題になった「利休にたずねよ」の本を読むことになった訳ですが、この本では「歴史物語」に「謎解き」や「ラブストーリー」などの要素が加わり、面白く読めました。
ただ、お茶の世界の専門用語(今まで知らなかった茶道の世界が少しだけ分かった??)や難しい漢字(ふりがながほとんどにふってあったので、助かりました)などには苦労しました。
何度か、読まないと茶道の世界はわからないかも!!
構成的には「切腹」から始まり、そこに至るまでの利休の生い立ちを過去にさかのぼって「信長」、「秀吉」、「家康」、「古溪宗陳」、そして妻の「宗恩」達と絡めながら、「切腹」を命じられるわけや「わびさび」のお茶や美への探究、そして、利休の「緑釉の香合」の秘密を明らかにしていく。
この本の中で表紙にもなり、キーポイントの一つである「木槿(むくげ)」は中国名の木槿(もくきん)を音読みし、木槿(むくげ)、木槿花(もくきんか)と呼ばれるようになったもので、インドや中国が原産で、日本へは奈良時代に中国から渡来し、夏から秋にかけて白、紫、赤などの美しい花をつける。
白居易(白楽天)の詩の誤訳から一日花との誤解があるが、朝花が開き、夕方にはしぼんで、また翌朝開き、一重のもので2-3日。八重の長く咲くもので2週間くらい、一輪の花を楽しめる。早朝に開花し夕方には萎んでしまう「一日花」で、人の世の短い栄華喩え「槿花(きんか)一朝の夢」と表現される。( ※ウィキぺディアからいただきました)
この小説での木槿が利休の永遠の美の追求(わびさび?)と儚い栄華を象徴しているのではないかと感じました。
又、この本の表紙の挿画作家の「北村さゆり」さんは前々回読んだ「五峰の鷹」の挿画もされていました。H・Pをリンクさせてもらいましたので、ぜひクリックして見てください。
もう一度、読み返してお茶の世界や利休の魅力を堪能しよう!!
そして、観損なった映画「利休にたずねよ」もビデオでも早くみたいな~!!

福岡藩士と北海道月形町???

2014-02-07 16:31:41 | 読書
北海道樺戸郡月形町にある樺戸集治監と幕末・明治維新時の福岡藩士の関係とは??
この福岡藩士の 月形 潔 氏の苗字こそ この 月形町 の由来なのです!!
なぜ、遠~い、遠~い北海道に彼の名前が町名になったのか?? 
北九州出身の直木賞(「蜩の記」)作家 葉室 麟 の小説「月神」で語られています。

この「月神」は幕末・明治維新に実在した福岡藩士 月形洗蔵 と 潔 が主人公で「月の章」と「神の章」の2部構成となっています。
主なあらすじは「月の章」で、幕末の尊皇攘夷運動に乗り遅れた福岡藩で運動の先頭に立ち、長州や薩摩に乗り遅れまいと努力した月形洗蔵が、藩主の理解を得られず斬首されるまでの苦難が描かれ、
「神の章」では、洗蔵の従弟・月形潔が、冷遇される福岡藩士の一人として、北海道の獄舎建設と管理の任務に悩み、苦しみながら北海道最初の監獄「樺戸集治監」を創設し、初代典獄(所長)を務めた物語を描いています。
二人ともそれぞれの時代の激流のなかで理想と現実の間でもがきながらも闘う姿を「高杉晋作」「西郷隆盛」「藩主黒田長博」「永倉新八」「五寸釘寅吉(脱獄囚)」らと描いています。
どちらも実在の人物で時代も近いので小説としての展開は弱い様に思われますが、歴史の流れの中では、本人がいかに努力しようとも、またいくら大義がこちらにあろうとも思い通りにいかない時代に 「夜明け」を先導する「月」 になろうとした生涯を描いています。これが「月神」のようです??
小説の面白さもあるのですが、今、黒田官兵衛 で盛り上げっている福岡県が幕末・明治維新に薩摩や長州に後れをとり、 「何をしとったんか」、「何故、傑出した人物を輩出できんかったのか?」  考えてみれば、おかしいですよね?? その訳がこの「月神」を読めば、少しは・・・・??
「等伯」でもそうでしたが、その時代を生きた「人物」や「土地」や「作品」などにその場にいながら想像し、見ること、知ることが出来る 歴史小説は楽しい! 
ますます はまりそうです!!
( 画像はクリックすると大きくなります。月形町は札幌市のそう遠くないところにあるようですね)

「等伯」(安部龍太郎)を読んで・・・

2014-01-30 11:08:03 | 読書
安部龍太郎作「五峰の鷹」に続いて、「等伯」を読みました!!
今回も歴史小説で、安土桃山時代の絵師である長谷川等伯(信春) の生涯を戦国史とともに描いています
前回と同じようにどこまでが事実で、どこまでがフィクションなのかわからなくなる時がありますが、歴史的人物や宗教などが絡んで物語が進行していきます。
あらすじは 能登半島・七尾市の武家に生まれ、染物屋の長谷川家に婿養子にだされて、仏絵師として成長していきますが、戦国大名畠山家の内紛に巻き込まれ、京に家族と共に逃れます。その途中で比叡山の焼き討ち等に遭遇して、織田信長や豊臣秀吉、千利休らと関わっていきます。又、絵師として狩野派と対決して、長谷川派を結成していく生涯を描いています。
私は長谷川等伯の名前ぐらいしか知りませんでしたが、  「松林図屏風」  ( 東京国立博物館館所蔵 国宝 )は等伯が狩野派の圧力を受けながらも、独自の画風を編み出した代表作(水墨画)だそうです。芸術に一心不乱に打ち込む長谷川等伯の姿を仏道修行と絡めてドラマ化しています。
長編で、歴史、宗教、神社・仏閣など盛りだくさんででてくるので、歴史小説好きでないとやや大変かな・・・???
ところで、出身地である七尾市ですが、あの有名な和倉温泉の「加賀屋」のあるところなんですね?? 縁がないので知りませんでしたが、H・Pなどで見ると人口は約5万人ですが、美術館、演劇堂、ラッピング列車(クリックで拡大)などがある文化溢れる観光小都市のようです。一度は行ってみたいですね!!「加賀屋」みたいなすごく高い?旅館は無理でしょうが・・・・・・
又、話はそれますが、「松林図屏風」は東京国立博物館に著作権があるので調べました。リンクを貼るだけならOKということでリンクを貼ってます。
今度は「利休にたずねよ」に挑戦です!!