ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Carrie Underwood キャリー・アンダーウッド Carnival Ride

2007-11-05 | Carrie Underwoodキャリー・アンダーウッド レビューまとめ

 Carrie Underwood待望のセカンド。ファースト「Some Hearts」が600万枚という超モンスター・ヒットを達成したものの、”American Idol”という新しいスター製造システムで作り上げられてカントリー界に放り込まれた最初のカントリー・アーティストという事で何かと議論される事もある彼女。この大変なプレッシャーの中、このセカンド・アルバムも無事(!?)ポップ・チャートとカントリー・チャート両方で初登場1位をキッチリ獲得。いよいよ目前に迫ったCMA AwardでのFemale vocalist連続受賞への追い風になるでしょう。その作風は、もちろん基本はポップ基調ではあるものの、なかなかに骨のあるコンテンポラリー・カントリー・アルバムに仕上げられていると思います。「Some Hearts」は確かに親しみやすく彼女のエモーショナルな上手さは堪能出来たものの、サウンドが徹底して予定調和的で、カントリー・アルバムとしてはピンと来なかったのも事実。対してこのセカンドは、Martina McBrideを敬愛していると明言する彼女のカントリー・シンガーたらんとする意志を強く感じるものです。

 その意志は、オープニング曲"Flat on the Floor"のバンジョーと口琴(!)によるトラディショナルなイントロから早速発散されます。すかさずハードなエレクトリック・ギターが切れ込んできてコンテンポラリーなサウンドに転換するのですが、Carrieの歌声が塩っ辛くかなりソウルフル。時折シャウトまで飛び出して気合十分です。続く"All-American Girl"はイントロでフィーチャーされるフィドルが全編にわたりカントリー・フレイバーを振りまくステディなロッキン・カントリー。Trish Yearwoodの"Xxx's and Ooo's (An American Girl)"の改作かな?コーラスのメロディが良いハイライト・チューンです。"Crazy Dreams"は、ポップな打ち込みリズムとサザン・ロック・ギターでワイルドに弾むパーティー・ソング。ココでの彼女の声もなかなかにダウンホームで力があります。ライブでは盛り上がるでしょうね!この系統では、さらにハードな"Last Name"も注目。ほとんどBig & Rich的にヘヴィーなギター・サウンドにバンジョーやフィドルが絡みつき、Miranda Lambertに負けじとハードでスケール大きい歌声を聴かせてくれます。この手のサウンドといえば、かつてShania Twainが得意としてたものですが、Shaniaが徹底してポップでセクシーなイメージだったのに対し、このアルバムでのCarrieはダウンホームでアメリカの一小市民的な空気を醸し出しています。



 一方バラードでは、リード・シングルとして既にヒットしている壮大なバラード"So Small"。ドラマティックなストリングスをバックに、Carrieの魂溢れる歌声に圧倒されます。甘さとは無縁の力のあるソウル・ボイスです。他にもこの手の(アメリカのクリティックに言わせれば)パワー・バラードがいつか収録されてる中で、Randy Travisの"I Told You So"を取り上げている事がCarrieのカントリー志向を感じさせるトピックです。オーソドックスなカントリー・スタイルのバックに乗って、ジックリと丁寧に歌い上げられており、感動的です。カントリー・フレイバー云々を問うより、まずはこのチョイス自体に拍手を送るべきと思います。しかし、Randyの曲をやるとは思わんかったねぇ~。

(プロフィール) 1983年オクラホマはMuskogee生まれ。父親が製紙工場で働く一方、母親は小学校の先生をしていて、決して音楽家族ではありませんでした。しかしCarrieは3歳の頃から教会で歌い始め、周囲はそのただならぬ才能を感じざるを得ませんでした。そして両親や兄弟と違い、カントリー・ミュージックにのめりこんでいき、歌手になる夢をいだくように。Northeastern State Universityではその夢の為に放送ジャーナリズムを専攻し、学生テレビ局をプロデュースしたり学生新聞の記事を書くなど、多彩で精力的な活動をしていました。さらに学内でのカントリー・ショーにも出演し、Patsy Clineや Carter Familyなどのカントリー・レジェンドについても学んでいたとの事。この頃、友人から”American Idol”への挑戦を勧められたCarrieは、最初それを拒んでいました。しかし、今やらなければもうチャンスはないと気付いた彼女は、コンテストの前日の夜に母親と友人親子と共にコンテスト会場のあるセントルイスに向かい、締め切りの2時間前に会場に到着したのです。そしてそこでMartina McBrideのバラード"Phones Are Ringing All Over Town"を歌った事を皮切りに、ウィナーへの道を駆け上がっていきます。それにしても最初に歌ったのがMartinaの中程度のヒットである名曲"Phones Are Ringing All Over Town"(「Wiid Angels」収録)とは、相当に趣味が良いですね。私のフェイバリット・ソングですから(!?)。そのセンス侮れません。Martinaナンバーでは、堂々"Independence Day"もコンテストで歌って、レコーディングもしています。



 デビュー・シングル"Inside Your Heaven"は、カントリー・アーティストとして初めてポップ・チャート初登場1位という快挙を成し遂げたものの、カントリー・チャートでは52位(!)止まりで、肝心のカントリー専門ラジオ局ではなかなかかけてもらえません。う~ん、さすが保守的なバイブルベルト。しかし、そのカントリー局を睨んだ"Jesus, Take the Wheel"でいよいよカントリー界でもブレイク。結局は昨年2006年のCMA Awardで、Horizon部門だけでなく、Female vocalistでもウィナーをゲットしてしまうまでに登り詰めたのです。弩ポップなメジャー・システムによって大衆の前に姿を現した事によって避けられなくなった周囲からの期待と、自身の望むカントリー・アーティストとしての志向を、今後どのように絡ませて行くのか、目が離せないと思います。

 CarrieのMySpaceサイト → http://www.myspace.com/carrieunderwood



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5 コメント

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AMERICAN IDOL (COUNTRY FAN)
2009-04-27 21:52:18
今のカントリー アイドルには
うんざりする。 
CARRIE UNDERWOOD,TAYLOR SWIFT,
KELLY CLARKSON,
3人ともにアイドルだけに歌は下手でどうしようも
ない。歌手とは言えないレベルだ。
どんなに売れても評価はされない。
REBA McENTIREには誰にもかなわない。 

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今のカントリー (bigbird307)
2009-04-27 23:24:13
COUNTRY FANさん、貴重なご意見を入れていただき、有難うございます。たまにはお厳しいコメントも必要です。

そのお名前から、カントリー・ミュージック本来の姿への熱い思いを感じました。そして、今のカントリーがそれだけ幅広く、いろんな歌唱スタイルのタレントをカバーしている事があらためて浮き彫りになったと思います。

Rebaは私をカントリーに引き込んだ一人です。「For My Broken Heart」です。そして「My Kind of Country」。おっしゃるとおり、好き嫌いは置いといて、Rebaには誰もかないません。Patty Lovelessもかなわないと思います。カントリーを長く聴いている人は、皆わかっているでしょうね。(Rebaは、DVD「Country Legends Live」で取り上げました。アルバムで取り上げる機会が持てていません)

CarrieとTaylor(私はKelly聴いていません)は、歌の若さもありますが、基本的に歌唱方法がこれまでのカントリー・シンガーと全然ちがいますね。幸い私は受け入れられましたが、どうしても駄目、と言う方はおられると思います。そうだと残念ながら、メインストリーム系とは縁がないという事になってしまうのでしょう。
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え? (saaa)
2009-10-31 20:50:44
KellyはRebaとLIVEしてたこともあるけど、カントリーアイドルじゃなくてポップアイドルですよね。歌のうまさ的にはKellyのほうが声出てるなぁってかんじでしたよ。
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(/<.)ヾ(^^)ナクンジャナイヨ (山頂のシェフ)
2009-11-25 22:55:57
E~んじゃない? オラァ古いファンだけど、「これもあり」だなぁ~
しかも、1stより、この2ndの方が評価します。一発屋で終わらなかったし。
Some Heartsなんかいいなぁ~ 名曲ですよ。
3rdはまだ聞いてないけど…
RebaよりPattyより好きだなぁ~ でもでも、Lacy Daltonみたいに歳取って欲しいなぁ~
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訂正(^^ゞ (山頂のシェフ)
2009-11-25 23:20:05
Some Heartは1stでした。So Smallのまちがいでした。
All American Girlもノリノリです。
あとはRandy Travisのカバー、I Told You So 本家より聞きやすいぞ。
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