ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

ギャビー・バレット Gabby Barrett - Chapter & Verse

2024-02-11 | カントリー(女性)

 

2018年の「アメリカン・アイドル」シーズン16のファイナリストで、3位となったギャビー・バレットが、満を持してのセカンド・アルバムをリリースしました。リード・シングルの"Glory Days"も、じわじわとチャートを上がってきています。デビュー曲の "I Hope "がビルボード・カントリーエアプレイでトップまで登り、2020年のデビュー・アルバム「Goldmine」は女性によるカントリー・アルバムの第一週目のストリーミング記録を更新し、プラチナ・アルバムとなる売り上げを記録するなど順風満帆なキャリアをスタートさせた彼女。デビュー後の4年の歳月のなかで2人の子供を授かるという変化がありましたが、そのせいか、デビュー作で感じられたキラキラした野心のようなものはあまり感じられず、じっくりとエモーショナルな歌唱を堪能できるアルバムになっているように感じました。

 

 

しかし、しっかりと新たなコラボレーションが試みられていて、話題には事欠きません。やはりミランダ・ランバートと共作した"You're My Texas"が注目です。゛あなたは私の家/あなたは野生のブルーボネット(※テキサス州の州花)/私がどこを放浪していようと/あなたはナコードチス(※テキサスの町)の空としていてくれる/落ち着かない時に帽子をかぶる場所/あなたは私のテキサス゛ギャビーの夫のケイド・フォーナーがテキサス州出身ということで、特別な人をテキサスに喩えるラブ・ソングに仕上げられたようです。派手さはないけれども、膨らみあるボーカルが聴かせるミディアムの佳曲です。ちなみにキャビ―はペンシルベニア州出身です(プロフィールはコチラに記載しました)。

 

 

"Dance Like No One's Watching"は、ルーク・コムズがソングライターに名を連ねており、コーラスにも参加しています。タイトルやコーラスは、そもそも父親と娘がダンスした時に父親がかけた言葉。その後、娘が大学進学で家を出る場面を挟んで、最後に娘の結婚式で二人が伝統の親子のダンスを踊ってい場面になります。その中で、感情を抑えるのに四苦八苦している父親に、今度は娘からその言葉を語りかけるという内容です。カントリーでは定番の、人生の展開を3つの場面で表現しつつの父親賛歌です。ルークがこの曲を作った時、奥さんは第一子を妊娠中でしたが、まだ性別は分からなかったので、娘がいたギャビーに連絡してあげた、という事らしいです。

 

 

アルバムには、キリスト教に帰依するレリジャス曲もいくつか収録されていて、ラスト"The Verse: Doxology (Amen)"でもセイクリッド風コーラスで締めくくられます。ギャビーの信仰心を感じさせるエピソードとして、最近、夫への気遣いの為に、男性アーティストとのラブ・ソングのデュエットを断って来た事を明かしています。゛私は彼をとても尊敬しているし、彼の言うことに耳を傾ける。聖書には、私たちが夫のためにそうすることが書かれているの゛と彼女。そして、゛私はどんな事よりも、神のような結婚生活を大切にしている゛とも言います。華やかなショービジネスの世界での奇特な信仰心にファンからは、さらなるスターダムへのチャンスが失われている懸念の声も受けているようですが、彼女の気持ちは強いもののようです。

 

"Growin’ Up Raising You"

 

デビューの頃は、金ぴかのジャンプスーツや、マイケル・ジャクソンを尊敬し、スティーブン・タイラーと共演したい、と語っていた事にひっくり返りましたが、その後まもなく結婚し年月も重ね、そんな経過の中で生まれた新作に、成熟という言葉がふさわしいのかわかりませんが、そんな感じを受けてます。その独特の陰影ある歌声と正確無比な節回しが結構気に入っている者としては、もうちょっとヒット飛ばしてカントリー界を盛り上げて欲しいという気持ちもありますが、全編通してじっくりとそのボーカルを堪能できる穏やかなアルバムは有難いと思いました。

 

 



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