ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

ブレット・ヤング Brett Young - Across The Sheets

2023-08-06 | カントリー(男性)

魅力的なしわがれ声で洗練されたポップ・ソングを歌う、今のカントリー界でも異色のバラディア―といえるブレット・ヤング。そんな彼が、前作「Weekends Look a Little Different These Days」と同様な、8曲入りのアルバムをリリースしました。一応はアルバムという扱いのようですが、フル・アルバムで新曲をたっぷり聴きたいファンには少々物足りないでしょうかね。でも、今回の8曲はバラエティに富んで質の高い楽曲やブレットの歌唱が凝縮されたようで、楽しい30分間が堪能できると思いました。

その好調ぶりは、先行してシングルとしてリリースされた"Dance With You "から早速感じられます。"君を抱きしめることのできる曲を選んで/さあ、髪を下ろして/ベイビー、靴を脱いで/"人生はダンスだ "って言うけれど/もしそれが真実なら/君とだけ踊りたいんだ "と、ブレットのイメージそのままのロマンチックな歌詞が馴染みよいメロディーにのる、ミディアムの佳曲です。素朴さと洗練が交じり合ったソウルフルな歌声は、彼の独壇場ですね。

 

 

この曲についてブレットはインスタグラムでコメントを出しています。゛結婚式でのファースト・ダンスは、一生の間、一緒にスロー・ダンスを踊る唯一の人と踊るものだといつも想像していた。僕にとっては本当だったよ。絶望的なロマンチストと呼ばれるかもしれないけど、夢が叶う話は大好きなんだ゛前作収録のNo.1ヒット"Lady "でも歌われた、愛妻への思いがこのコメントにも感じられます。

"Dance With You "に続いて公表された"Back To Jesus"は、一転して躍動するアップテンポ曲。また、ギター・フレーズが印象的なスロー・ミディアムの”Unconfortable"、陰影ただようスローの”Love Goes On”、キャッチーなリフレインのハミングが粋なリズム感を醸し、ブレットも熱いパフォーマンスを聴かせる"I Did This To Me"などなど、密度の高い作品群が並んでいると思います。

 

 

一番話題を集めそうなのが、ラストの"Don't Take the Girl "でしょう。この曲、カントリー・ファンなら皆知っているとも言われる、ティム・マグロウの1994年の名作バラードです。ブレットは、この曲がリリースされた頃はティーンエイジャーで、カントリーミュージックのキャリアに進むのに大きな影響を与えた曲の一つだと語っています。あと、一つ前の"You Ain't Here To Kiss Me"は、デビュー・アルバム「Brett Young」収録の、初期のヒット曲の再録。オリジナルに対し、少し成熟しマイルドになった歌声を聴かせてくれます。

 

 

ミニ・アルバム的な作品が続いているのが、少々気がかりです。「Weekends Look a Little Different These Days」も、さらに新曲を追加したデラックス版が後にリリースされると思っていましたが、1曲削除したアコースティック・バージョンがリリースされたのみ。最近のメインストリーム・カントリー界は、すこしラフでアーシ―なタイプのアーティストが持てはやされている感じが有りますので、距離をおいて様子見しているのでしょうか。ただし、ヘッドライナーとしてツアーは精力的に廻っており、春のツアーに続いて9月からも本作のタイトルを冠したツアーが予定されています。ブレットの洗練された歌心溢れるソウルボイスは唯一無二のものと思いますので、今作からヒット曲が生まれる事を期待したいです。

 



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