ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Jeremy McComb ジェレミー・マッカム My Side Of Town

2008-12-21 | カントリー(男性)
 ポップ・カントリーにすっかり浸った体に、チョッとした新鮮な感覚とカントリー・ミュージックの源を感じさせてくれる活きのいいアーティスト、Jeremy McComb、2008年のデビュー・アルバムです。ノーハットでボサボサ・ヘアー。見るからにヤンチャで何かやってくれそうな若者です。このデビュー・アルバムも、ナッシュビル産ではなく、グラミー獲得暦もあるサザン・ロック・バンド、マーシャル・タッカー・バンドのPaul T. Riddleによって、サウス・カロライナはSpartanburgで録音された異色作。そのキレのある軽快なホンキー・トンク・サウンドと、ラフながらもダウン・ホームなテナー・ボーカルの組み合わせは、ロック的フィーリングを上手く隠し味にして、なかなかに洒脱でクールです。

    

 デビュー・シングルの"Wagon Wheel"、フィドルとトワンギーなギターがフィーチャーされたホンキー・トンク・シャッフルで、かつてのニュー・ウェイブ・ロック的な若い勢いに感激。いつの時代も、このクラシックなサウンドを愛する若者がこうして出てくるのです。次の"Slow Me Down"も、幾分モダンなロック感覚を加味した8ビート曲ですが、バックはホンキー・トンク・サウンドの体裁をキッチリ保ち、実にソリッドな音空間が広がります。ナイスですね。注目がシングルにもなっているカントリー・バラード"This Town Needs a Bar"。もうタイトルからしてカントリーの王道ですが、フィドルやマンドリン、そしてピアノが要所要所で心に訴えるエモーショナルなフレーズをつむぎ出し、Jeremyが力のあるクリアなテナー・ボイスでロンサム感タップリに聴かせてくれます。それが、けしてお涙頂戴的にならないのは、ミニマムなホンキー・トンク・サウンドをキッチリ守っている事と、Jeremyの声の適度な塩っ辛さのおかげだと思います。

    

 一方でこのアルバム、結構滑らかな肌触りも併せ持っていて、オルタナ的なカントリー・エンスーの自己満足には陥っていません。"We Were Something""You're Killin' Me"、ピアノのイントロが厳かさも感じさせる最新シングル"Cold"辺りはなかなかにメロウなスロー曲ですし、フィドルの印象的なイントロをフィーチャした"Miss Mexico"はスムーズな曲調のミディアム。"Day One"に到ってはファンキー・ビートがフィーチャーされていて異彩を放ちます。アルバム・トータルとしてエッジの効いたカントリー・アルバムとしてのイメージを保つのは、そのカントリー・フォーマットにならったプリミティブで硬いサウンドと、Jeremyの声の力、カントリー・シンガーとしての個性の強さの賜物と言えるでしょう。

    

 Jeremyが育ったのは、ワシントン東部とアイダホ北部の境、ブルーカラーの町で、彼曰く「そこの人たちは、リタイアするには良い町だって言ってるよ。小さい、本当に小さい町さ」父は生活のために週に6夜演奏するローカル・ミュージシャンで、Jeremyを自分と同じく音楽の世界で活躍させるつもりで、小さい頃から父親のアンプの後ろで寝るような生活をしていました。8歳の頃には既に、教室で友達といるよりホンキー・トンク・バーで過ごしている時間が多かったのです。「それが僕のやりたい事だったし、他にしたい事なんかなかったんだ」そして17歳でローカルのツアーバンドで活動を開始、21歳には早くもTrace Countyという、地元では人気のカントリー・バンドのフロント・マンとして頭角を現すほどになりました。と同時に、ワシントンの KIX-96というラジオ局で音楽ディレクターとDJまでもこなすほど多才でした。この仕事で有名なとコメディアンLarry the Cable Guyと出会い、2004年のLarryのツアー・マネージャーを任されたのです。24歳の時でした。ここでのJeremyによる音楽がParallel Entertainment(Montgomery GentryやJeff Foxworthyらが所属)のCEOであるJ.P. Williamsの耳に止まり、マネージメント契約を結ぶと共に、Jeremyをナッシュビルのブッキング・エージェントに紹介、さらにParellel Musicからのデビューへとつながっていくのです。

 ●JeremyのMySpaceサイトはコチラ
  (ここで、クリスマス・ソング"Baby It's Cold Outside"をデュエットしているのは、新人女性シンガーEmma Mae Jacob)

    
    Emma Mae Jacob


最新の画像もっと見る

コメントを投稿