なかなかわが国のポップ・ソングではお耳にかかれない、深みのあるバリトンのGood Voice。ジョニー・キャッシュが亡くなった頃に出てきた、まさにキャッシュの生まれ変わり。キャッシュと違い、声のエッジはマイルド、ルックスはまじめな好青年のイメージです。それもそのはず、子供の頃はずっと教会でバリトンとベースを歌っていたとの事。
そんな生い立ちからか、この2006年作の2枚目でも"Me and God"という自作曲を、あのブルーグラスのレジェンド、ラルフ・スタンレーと歌っています。コレ良い曲ですね。もちろん、タイトル曲も彼の声に合ったマッタリしたミディアムでさすがです。サウンドが、実に手堅く奇をてらわないホンキー・トンクサウンドで、彼の歌声がじっくり聞けます。プロデュースは、ブラッド・ペイズリーでおなじみのフランク・ロジャース。デビュー曲の"Long Black Train"のような必殺の1曲があれば良いのに、というのは欲張りでしょう。アメリカではダブル・プラチナム(200万枚)達成。
そして、その"Long Black Train"。彼は、ハンク・ウィリアムスのボックス・セット(どれ?)を聞いた後に書き上げたそう。そのハンクが影響を受けたであろう戦前のカントリー・ブルースの雰囲気、トツトツと前進するリズム、汽笛のようなドブロ・ギターの響き、啓示的な歌詞と歌声、どれを取っても名曲です。この曲で歌われる、罪を犯した者が乗せられて地獄へ行く「黒い列車」というテーマは、戦前の黒人ゴスペルでも聞かれるもので、牧師さんの説教物(激しい説教~歌)で聴いた事があります("The Black Diamond Express to Hell")。悪魔の運転する列車に乗るような罪を犯すなと。白黒ゴスペルのコモンストック。このような歴史ある伝統的なテーマを用いるところもうまいです。ジョッシュはこの曲で、あのグランド・オール・オープリーにデビューし、アンコールに応えるほど熱狂的に迎えられ、カントリー・ルーツ回帰のNeo-neo-traditionalistとして華々しい一歩を踏み足しています。
最新情報として、この4月にライマン公会堂でライブ・レコーディングをしたようですが、アメリカのとあるレストランの独占販売との事で、簡単に手に入るか心配なところです。
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