久々のジョー・ニコルズのニュー・アルバム。2000年代には大変な人気があり、私もお気に入りで、2007年の「Real Things」、2009年の「Old Things New」そして2012年「It's All Good」と熱心に取り上げていました。本作は2017年の「Never Gets Old」から5年も空いてのリリースですが、゛伝統派゛の彼の面目躍如と言える作風で、とても気に入っています。
近年はビルボード・チャートを賑わすようなことは無くなりましたが、「It's All Good」の次にリリースした2013年の「Crickets」の頃まではチャート・アクションも良く、アルバムはビルボード200で17位、同カントリー・アルバムで2位になっていました。シングルでも"Sunny and 75"や"Yeah"が同カントリー・エアプレイでトップを獲得してたくらいです。
この新作でトピックとなるのが、ブレイク・シェルトンとの共演"I Got Friends That Do"でしょう。20年来の友人である二人は、いつか共演したいと願っていましたが、スケジュールが合わず実現していませんでした。そんな二人の夢を実現させて歌った、いつでも助けの手を差し伸べてくれる古き良き友人たちと共に過ごした人生を讃える歌です。
トラディショナルなスタイルを貫いてきたとはいえ、いつもはモダンな曲も少々交えて彩を添えていたように思いますが、本作はより徹底してソリッドだったり落ち着いたカントリー曲を揃えている感じで、そこらが特に気に入っています。個人的なベストは"That’s How I Grew Up"。地味目のミディアム曲かもしれませんが、ジョーの滑らかなディープ・ボイス(最近なかなか聴かれなくなりました・・・)によるメロディアスなラインが染みます。゛世界が左へ行くとき、僕は右へ行く/ただ流れに逆らうだけ/墜落し、焼かれるのが常だ/血の味は知っている/(略)/僕は裏道の後部座席で育った/逃げ出した人と/古い教会の後ろの席で育ってたんだ/驚くべき恵みを学んだ場所/間違いなく、僕は僕が誰であったかを変えることはないよ/ほとんどのことは苦労して学んだ/でも、そうやって僕は成長したんだ゛
最近彼は、無名時代小さなラジオ局でDJをしていた頃のエピソードを話しています。誰も聴いていない深夜に大好きなマール・ハガードの曲を掛けたら、突然ディレクターから゛マール・ハガードなどかけた事はない!゛とクレームをつけられ、解雇されてしまったそうです。しかし2週間後、今度はそのディレクターが解雇され、そのラジオ局はクラシックなカントリーを専門に流す曲に変わったという顛末です。それほど敬愛するマール・ハガードのフォロワーにあたる、ジーン・ワトソンやキース・ホイットリーについてもとうとうと語り続けるというジョーのリアル・カントリー愛に敬意を表して見守り続けたいと思います。
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