ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

チョッと懐かしいカントリー・ミュージック・ライブ映像 Country Legends Live

2009-03-02 | アワード受賞・カントリー全般

 昨年、ご紹介させていただいた「Opry Video Classics」をリリースしたTime Life社が4年ほど前にもカントリー・ライブのアンソロジーDVD「Country Legends Live」シリーズをリリースしていました。このシリーズの全体像が明快に把握できていないのですが、バラ売り数枚から、3枚組みセットや7枚組みセットまで結構なシリーズのようです。内容は、1980年代から90年代のテレビで放送されたライブ映像で、Music City News主催、今はなきテレビ局TNNで放送していたアワードの映像をメイン・ソースにしています。会場はオープリー・ハウスです。おおよそ「Opry Video Classics」と現代の間をカバーしたものです。今回は、現在既にベテランになっているアーティストの若かりし頃の映像や今のメインストリームカントリーの起点になった音楽スタイルが記録されているバラ売りの「Country Legends Live」と「Country Legends Live volume 2」を見ましたので、是非ご紹介したいと思います。それぞれ80年代後半と、90年代前半のショーを捕らえた映像で、トラディショナルなストレート・カントリーの復活からソリッドなハード・カントリー化、そしてそこからさらに強いビートを持ち始めたポップ~ロッキン・カントリーへ移行する時期を垣間見せてくれて、とても興味深かったです。今から見ると、とてもバランスの取れた時代だったように見えるのです。なお、このDVDはリージョン1で、日本のDVDプレーヤーでは再生できません。


【Country Legends Live】

 このDVDは、1987年と1988年のMusic City News Awardsの映像を収録。まずは1987年からで、ホストはHank Williams Jr.とJohnny Cash(眼鏡をかけてる)。時代を感じますね~。

Born to Boogie(Hank Williams Jr.)

   

 近代カントリーの祖、ハンク・ウィリアムスの2世。彼も、父とは違うスタイルでレジェンドになりました。ここではホーン・セクションもバックにつけてのにぎやかなロッキン・ブギ。バックには、Big & Richのビッグ・ケニーみたいな帽子をかぶったギタリストがいます。ヤッパリ、時代はまわっているのですねぇ。

This Crazy Love  (Oak Ridge Boys)

   

 一時代を築いた、ボーカル・グループ。結構洗練されたポップ・ミディアム。もともと、原子爆弾研究の為、テネシー州オークリッジに移住してきた科学者を慰労する為にプレイしていたゴスペル・グループだったとの事。カントリー・ゴールド2008で来日したウィスキー・フォールズが、影響を受けたグループとして名前を挙げていました。

One Promise Too Late (Reba McEntire)

   

 コレは本当に素晴らしい、Rebaのストレート・カントリー時代のパフォーマンス。真っ赤なドレスで、現在から考えられないくらいカントリー・ガール風で垢抜けない・・・。でも、歌声は完成されたもので、素晴らしいです。歌声の質感は、ポップな歌を歌う今もこの当時も全く同じ。彼女はいつの時代もリアル・カントリー・シンガーなのです。

George Jones Living Legend Award

 ジョージ・ジョーンズの生涯の功績をたたえる賞の授与。プレゼンターはロレッタ・リン。過去の映像や関係者のコメントが流されます。結構面白い。

Sixteen Tons (Johnny Cash)

 マール・トラビスのクラシック曲を御大がゆとりのパフォーマンス。だいぶお姿も声もマイルドになっていますね。

Forever and Ever, Amen (Randy Travis)

 オープリーの最新メンバーとして紹介されて、このストレート・カントリーの名曲を歌う若々しいRandy Travis。この時期はまさに飛ぶ鳥を落とす勢い、実にありがたい映像でした。


 そして、翌年1988年の同アワードの映像が続きます。ホストは、バーバラ・マンドレルとスタットラー・ブラザーズ。

Do You Know You Are My Sunshine (The Statler Brothers)

   

 「Opry Video Classics」でも見れたコーラス・グループ。バーバラ・マンドレルと共同ホストとして出演。ココラあたりの時期まで、長い人気を誇っていました。今年カントリーの殿堂入り。

If It Don't Come Easy (Tanya Tucker)

   

 70年代に10代でデビューし、90年代前半まで高い人気を保っていた、しゃがれ声の女性シンガー。ノリの良いポップなシャッフル曲です。

Don't We All Have the Right? (Ricky Van Shelton)

   

 80年代の後半から90年代初めにかけて絶大な人気を誇った、トラディショナル・スタイルの美声男性シンガー。この深みと憂いと美しさを伴ったビロードの歌声は堪らなく魅力的です。

Cry, Cry, Cry (Highway 101)

   

 現在メインストリームで隆盛を極めているポップ~ロッキン・カントリーの元祖、起点となるのがこのHighway 101と言えると思います。リード・シンガーのカントリー・ガール、 ポーレット・カールソン(Paulette Carlson)は、キレのある素晴らしい、正真正銘のカントリー・ボイスの持ち主。しかし、その彼女を支える男性陣3人が長髪のロックン・ローラー風ルックスで、彼らの発するサウンドがシャープでエッジの効いたエレクトリックなロッキン・サウンドだったのです。作品のライター陣を見ると、90年代に花開くアーティスト、ソングライター達~Pam Tilis、Kix Brooks(Brooks & Dunn)、Gretchen Peters、Matraca Berg、の名が見られ、Highway 101が次の時代への橋渡しをした事が良く分かります。ここで見れるライブ演奏(見れて感激)のサウンドを聴くと、ロッキン・サウンドとは言ってもその音の重心はまだわりと高めの勢いで押してくる感じ。スタジオ録音と違い、ホントに4人のライブ演奏なので今では考えられないくらい隙間の多い音です。カントリーが現在に繋がる腹に来るようなダンス・ビートを手にするには、「Volume 2」に収録されている”アノ男”の登場を待たなければならなかったのです。なお、Highway 101は1993年のカントリー・ゴールドで熊本に来ていますが、キー・ウーマンのポーレットは1990年既に脱退。残念ながら全盛期の来日とはいきませんでした。

Eighteen Wheels and a Dozen Roses (Kathy Mattea)

 Kathy Matteaがチャート的に一番乗っていた頃のNo.1曲のライブ演奏。ギターを弾きながら歌う姿は若々しく華やかで、声も実にのびやかで素晴らしいです。これも見れて感激でした。



【Country Legends Live Volume 2】

時代は90年代に入って1993年。同じくMusic City News主催のSongwriter Awardsからの映像。この時代になると私にとってはおなじみの人たち~今は既に重鎮になっている~が大半で、彼らの若かりし頃の勢いに満ちたパフォーマンスが見れるのがポイントです。ホストはマーティ・スチュワートとロリー・モーガン。だいぶ馴染みが出てきます。実はこの時期(多分1992年)、NHK-BSでCMAアワードが放送されていまして、それと近い時期の映像ということで懐かしかったりもしました。

Boot Scootin' Boogie (Brooks & Dunn)

 Brooks & Dunnのデビュー・アルバムからの大ヒット・ナンバー。Kix Brooksが動き回り、Ronnie Dunnが伸びのあるカントリー・ボイス(この人は上手い!)でこのロッキン・カントリーの名曲を熱唱。しかし、サウンドの基本はホンキー・トンク的で現在からするとプリミティブで隙間の多い音に聴こえるのは、それだけ時代が移り変わったってことでしょうね。

Look At Us (Vince Gill)

 次から次へとスゴイ人が出てきます。若々しいヴィンス・ギルが、ナッシュビル・サウンド風バラードを切々と歌ってくれます。一番ヴィンスが映えるスタイルと思います。

Achy Breaky Heart (Billy Ray Cyrus)

   

 カントリー・フィールドにダンス・ビートの嵐を巻き起こした張本人ビリー・レイ・サイラス(Billy Ray Cyrus)。その野性味溢れるルックスと独特のバネのあるダンス・アクション、強烈な存在感です。そして一度聴いたら忘れられなくなる、ヘヴィなあの名ギター・リフ。この曲をキッカケにカントリー・ミュージックのビートがだんだん強くなっていったのです。ラストでレッド・ツェッペリンの"Heartbreaker"のギター・フレーズまで飛び出す始末!Billy Rayは一発屋だろう、なんてささやかれていましたがその後俳優業も掛け持ちしながらスターの座に君臨しました。そして、昨年ポップ・チャート1位で華々しくデビューしたマイリー・サイラス(Miley Cyrus)は、彼の1992年生まれの娘さんです。ちょうどこの破竹の勢いの頃に生まれた娘さんだったのね。嗚呼、もうそんなに年月が経ってしまったのだ・・・・

Billy The Kid (Billy Dean)

   

 この時期活躍していた若手のトラディショナル・シンガーです。ルックスが似てるJoe Nicholsを少し軽くした感じの声と言えるかな。当時から好きな曲でした。

I Still Believe In You (Vince Gill)

 ヴィンスは2曲演奏。当時の彼の勢いが分かろうと言うもの。コチラは大ヒットのバラードを特別にピアノのみで、椅子に腰掛けてしっとりと歌い上げているのが見ものです。

Keep It Between the Lines (Ricky Van Shelton)

 グレイトなRickyがコチラにも収録されています。こちらも本当に素晴らしいカントリー・バラード。Billy Rayのダンス・ビートの対極ですね。この幅広さが、カントリーの面白さです。

Midnight in Montgomery (Alan Jackson)

 コレは嬉しい!アラン・ジャクソンの生歌です。MCのロリーにも「才能溢れる」と紹介されています。ギターを持たずに歌に専念、若々しくキレのある声でエモーショナルに歌い上げます。凄く気合入ってる。珍しく髭を生やしてなくて、クールでハンサムなルックスも見所。

 本ディスク中のラスト5曲は、アワードとは関係なく、ソースも時代もバラバラなオムニバス収録のコーナーとなっています。ここは簡単に曲名だけ紹介しておきます。この中では、やっぱり全盛期の若々しいRandy Travisが歌う”必殺の名曲”を見れたのがありがたかったです。

Stand By Your Man (Tammy Wynette)
Folsom Prison Blues (Johnny Cash)
Sunday Morning Coming Down (Johnny Cash)
On the Other Hand (Randy Travis)
That's the Way Love Goes (Merle Haggard)



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