このブログでも、2008年のメジャー・デビュー以降、その作品
をフォローし続けて来たザック・ブラウン・バンドですが、ルー
ツ志向の「Welcome Home」からすると、そのパワーと勢いが
戻ってきたと言える待望の最新作です。というか、最初聴いた時
はそのサウンドに面食らいました。いわゆるEDMスタイルの電子
音が溢れていて、ザック・ブラウンの声にも無機的なエフェクト
がふんだんにかけられてる有様。以前にも、「Jekyll + Hyde」
での”Beautiful Drug”がそれ風でしたが、今回はより徹底してき
た感じ。リード・シングルの"Someone I Used to Know"で予
感は有りましたが、まだ序の口だったようです。
実はザック・ブラウンは、2017年に、バンドのコンポーザーで
あるNiko Moonらと共に、サー・ルーズヴェルトSir Rosevelt
というEDM/ポップ・プロジェクト・アルバムをリリースしてお
り(チャート的にはヒットしなかったよう)、どうもこの手の音
にこだわっているみたいで、本家のザック・ブラウン・バンド(
以下、ZBB)に導入してきたのです。
オープニングはこのクールなジャンプ・ナンバー
しかし、聴き慣れて来ると、元々雑食的に幅広い音楽性を持つ事
が魅力であるZBBらしさがしっかり根底にある事が感じられてき
ます。つまり、R&BやファンクのZBB流現代解釈と言いましょう
か。"Need This"あたりは、70年代のニュー・ソウルをベースに
「Jekyll + Hyde」で見せたアフリカ志向も垣間見せます。"God
Given"は、これも70年代のPファンク風ですね。"Shoofly Pie"も
うねるギターとベースのリフがクールなファンク曲。スロー曲の
方は、ハイウィメンで話題のブランディ・カーライルが参加した
"Finish What We Started"が注目。終盤で高らかに盛り上がる
ポップ・バラードです。そんな華やかなアルバムも、最後は一転、
清らかなピアノの調べをバックに歌われる”Leaving Love Behind”
でアコースティックに締めくくります。これ、シングルになるよう
です。
それでも複雑になるのは、そもそもZBBの魅力とは、その屈強な男た
ちの奏でる南部サウンドの確かな演奏テクニックと、オーガニック
なザック・ブラウンのギターだったはず、という事です。ここまで
電子的にしなくても。。。と思うのですが、経緯からすると、これ
がザック・ブラウンがどうしても出したい音だったのでしょうね。
音も声も、電子的な感じじゃなければ古臭く聴こえてしまう。。。
そういう危機感の現れのように思いました。初回のチャート成績は
上々でした。この新たな挑戦が、新たなファンを生み出す事を期待
しましょう。
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