★2021年のEP「29」を取り上げました★
2017年、デビュー作のタイトル曲"Every Little Thing"がビルボー
ドのカントリー・エアプレイで1位を獲り、RIAAのプラチナ・
シングルとなる売り上げを獲得して、一躍若手女性アーティスト
の注目株となったカーリー・ピアーズの、待望のセカンドです。
プロデュースはファースト同様、近年カントリー界のトップ・
アーティスト(マレン・モリス、キース・アーバンなど)との協
業で地位を固めていたバスビーBusbeeですが、残念ながらここで
のプロデュースが彼の遺作となりました。カーリーも、”バスビー、
あなたは私の音楽にこの世界での居場所を与えてくれた。長年に
わたって共有した2枚のアルバム、歌、おしゃべり、笑い、思い
出を大切にします”と悲しみの言葉を寄せています。
既に、リー・ブライスとのデュエット、 "I Hope You’re Happy
Now"(ライターにはルーク・コムズの名も)がヒット・チャー
トを上昇中。昨年、シングル・リリースされたオープニング
"Closer to You"でも感じられましたが、カントリーらしい爽快
な音創りに少しイメチェンしてきてますね。アコギやマンドリ
ンのサウンドがイントロなど要所で存在感を出していて、彼女
の音楽のルーツであるブルーグラスを想起させる音を取り入れ
たのでしょう。 "Heart’s Going Out of Its Mind"は牧歌的と言え
るくらいの雰囲気で、結構この手は好きです。
(口パクのようです)
それでも、全体のサウンドはサンプリングやデジタル音がそれと
なく幅を効かせる今風のもので、ファーストのカラーだったグル
ーヴィーなリズムは、より洗練されて ”Call Me”や”You Kissed Me
First”につながっているようです。一方、注目のバラードは、やはり、
お得意のファルセットが堪能できる"It Won't Always Be like This"と
思います。しとやかなピアノに導かれるこの曲は、ハイウィメン
のナタリー・ヘンビーらとカーリーの共作で、"Every Little Thing"
に肩を並べる名曲感が有ります。また、より歌い上げ系の "Love
Has No Heart"も良いです。
もう一つ、このアルバムを華やかにしているのが、最近めでたく
結婚した若手男性アーティスト、マイケル・レイMichael Rayとの
デュエット”Finish Your Sentences”でしょう。この曲、トーマス・
レットやケルシー・バレリーニらそうそうたるメンツが共作した
ナンバーで、そのトーマスとBig Machineの社長、スコット・ボル
チェッタが、”キミの新しいボーイフレンドと歌って欲しい”と贈っ
たものだそう。カーリーは当初、”もし別れちゃったら・・・”と
躊躇したようですが、”聴いてみると本当に興味深い曲で、ちょう
どレコーディング中に二人の仲も深まっていった事から、デュエ
ットしようとなった”との、ハッピーなお話をしています。
デビュー作は陰影ある音創りと、粒ぞろいの楽曲で個性的な作品
集でしたが、彼女のルックスのイメージからすると今作の明るめ
にシフトした方が合ってると感じます。ただ、その分予定調和っ
ぽくもなるわけですが、今作も楽曲のクオリティも十分で、アル
バム通して楽しめる、現代において、カントリーフレイバー溢れ
るポップ・アルバムだと思います。
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