アリソン・クラウス&ユニオン・ステイション名義のオリジナル・アルバムとしては、2004年の「Lonely Runs Both Ways」以来7年ぶりとなるニュー・アルバムです。その間、ベスト盤のリリース(゛Simple Love゛!)やロバート・プラントとのコラボ「Raising Sand」、そしてグラミー賞の受賞などで話題には事欠きませんでしたが、やはりオリジナル・アルバムのリリースは一大トピックですね。言うまでもなく彼女はブルーグラスがベースの人なのですが、そのフォーキーなカントリーを取り入れたスタイルで、カントリー・フィールドのアーティスト以上にカントリーの普及に貢献してきたと言って良いでしょう。わが国でも2009年のグラミーのマルチ受賞については広く取り上げられた事が記憶に新しいです。そしてこのアルバム、ジャケットのトーンはかつての彼女達のそれに比べると結構ダークな雰囲気。そこには、かつての大恐慌時代と現在アメリカの経済状況を重ね合わせたコンセプトがあるようです。
タイトル曲゛Paper Airplane゛は、一連のアリソンのマスターピースを書いてきたRobert Lee Castlemanのペンによる作品。これまでの彼の作品に比べると、少し地味目でどことなく影が感じられるような。。。それもそのはず、アリソンの歌う歌詞にはこんな一節が。「みんなカリフォルニアにはいろんな仕事があると言っていたけれど、私が見つけた仕事は福利窓口の前で待つ事だけだった」続く、ダン・タミンスキーがメイン・ボーカルのオーソドックスな゛Dust Bowl Children゛では、大恐慌の時代を振り返り「ほとんどの仕事は今や機械で処理されている」と歌い、現在の状況と照らし合わせます。そんな中、アリソンのエンジェル・ボイスの美しさが際立つ印象的なメロディが心を掴む“Lay My Burden Down”が、かつてのヒット曲を想起させる閃きを持っていて聴きものです。古いゴスペル・ソングと同名異曲、死による生の呪縛からの開放を歌ったゴスペル的ナンバーですが、主メロの流れるような旋律(そしてギター)と、ブリッジの不安げなマイナー調の対比がナイスです。
英国フォーク・ロック界の知る人ぞ知る名ギタリスト、リチャード・トンプソンの名曲をカバーした、スピリチュアルこの上ないスロー"Dimming of the day"。愛する人に自分の元に戻るよう切望する気持ちを、アリソンならではの神々しさと力が同居した美しい歌声で切々と訴えます。リチャード・トンプソンといえば、パティ・ラブレスも彼女の代表曲"Keep Your Distance"を見事にカバーしていた事が思い出されますが、センスの良いカントリー・アーティストの音楽に影響を与えている人として覚えておいて損はないでしょう。このアルバムでテーマとして多く取り上げられている”失われる関係”をシンボリックな比喩で描いた"Sinking Stone"では、ユニオン・ステイション~とりわけドブロのジェリー・ダグラスとギターのロン・ブロックのアンサンブル~によるキー・フレーズが見事に歌の世界を絵画的に表現していて唸らせてくれます。そしてラストでは、ウェスト・コースト・ロックのヒーロー、ジャクソン・ブラウンのデビュー・アルバムに収録の"My Opening Farewell"をカバー。原曲の良さが、ユニオン・ステイションの確かで美しい演奏とアリソンのエンジェルボイスで引き立てられ、カントリー~ブルーグラスでしか味わえない魅力が付与され現代に蘇ったと言えるでしょう。
タイトル曲゛Paper Airplane゛は、一連のアリソンのマスターピースを書いてきたRobert Lee Castlemanのペンによる作品。これまでの彼の作品に比べると、少し地味目でどことなく影が感じられるような。。。それもそのはず、アリソンの歌う歌詞にはこんな一節が。「みんなカリフォルニアにはいろんな仕事があると言っていたけれど、私が見つけた仕事は福利窓口の前で待つ事だけだった」続く、ダン・タミンスキーがメイン・ボーカルのオーソドックスな゛Dust Bowl Children゛では、大恐慌の時代を振り返り「ほとんどの仕事は今や機械で処理されている」と歌い、現在の状況と照らし合わせます。そんな中、アリソンのエンジェル・ボイスの美しさが際立つ印象的なメロディが心を掴む“Lay My Burden Down”が、かつてのヒット曲を想起させる閃きを持っていて聴きものです。古いゴスペル・ソングと同名異曲、死による生の呪縛からの開放を歌ったゴスペル的ナンバーですが、主メロの流れるような旋律(そしてギター)と、ブリッジの不安げなマイナー調の対比がナイスです。
英国フォーク・ロック界の知る人ぞ知る名ギタリスト、リチャード・トンプソンの名曲をカバーした、スピリチュアルこの上ないスロー"Dimming of the day"。愛する人に自分の元に戻るよう切望する気持ちを、アリソンならではの神々しさと力が同居した美しい歌声で切々と訴えます。リチャード・トンプソンといえば、パティ・ラブレスも彼女の代表曲"Keep Your Distance"を見事にカバーしていた事が思い出されますが、センスの良いカントリー・アーティストの音楽に影響を与えている人として覚えておいて損はないでしょう。このアルバムでテーマとして多く取り上げられている”失われる関係”をシンボリックな比喩で描いた"Sinking Stone"では、ユニオン・ステイション~とりわけドブロのジェリー・ダグラスとギターのロン・ブロックのアンサンブル~によるキー・フレーズが見事に歌の世界を絵画的に表現していて唸らせてくれます。そしてラストでは、ウェスト・コースト・ロックのヒーロー、ジャクソン・ブラウンのデビュー・アルバムに収録の"My Opening Farewell"をカバー。原曲の良さが、ユニオン・ステイションの確かで美しい演奏とアリソンのエンジェルボイスで引き立てられ、カントリー~ブルーグラスでしか味わえない魅力が付与され現代に蘇ったと言えるでしょう。
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