今年のCMAアワードでは新人賞にノミネートされた、今最も旬の若手ネオ・トラディショナル・カントリー・シンガー、クリス・ヤング。これは昨年2009年のブレイク・アルバムです。若干24歳の彼の歌声は、カントリー・ミュージックの王道、滑らかな心地よさも感じさせるバリトンのクルーナー。既に円熟の極みです。2006年の”Nashville Star”でウィナーになり、RCAと契約、Buddy Cannonのプロデュースによるデビュー・アルバムから数えて2枚目になる本作で、人気を確立したと言えるでしょう。「アルバム・タイトルThe Man I Wanted to Beは、僕がどんなアーティストであるか、そしてどんな人間なのかを皆に見せたい、と言う思いでつけたんだよ」と語るクリス。芸術はその人の人生を反映すべきもの、と信じる彼の人柄が感じれらるアルバムです。CMAが提供のインタビュー記事から、彼やスタッフの言葉を中心にご紹介します。
アルバム制作にあたって、クリスとプロデューサ、James Stroudが心に決めたコンセプトがありました。クリス曰く「僕たちはこのレコードを、真摯なものにしようと考えた。ルールは、”こっけいな歌、酒にまつわる歌は取り上げない”。僕たちは、クリント・ブラックClint Blackのデビュー・アルバム(1989年の「Killing Time」、トラディショナル~ストレート・カントリーの名盤!)のような、全ての曲がグレイトなアルバムを作りたかったんだ。」「僕は全ての曲を愛している。音楽アーティストにとって、そんなにいつもある事じゃないよ。でも僕はこのアルバムの全ての曲が好きなんだ。スタッフが次のシングルとしてどの曲を選んだとしても、僕はこう言うよ『それで行こう!』」
オープニングの"That Makes Me"はクリスもソングライティングに加わった、アップビートのナンバー。昔ながらのスタイルで行動する事を称えます。コチラもクリスが共作している最新シングル"Voices"について、クリスは語っています。「僕にとって家族がいかに大切かを歌ったものさ。僕は、お父さん、お母さん、そして姉や祖父母とは本当に密接な関係を保っているんだ。僕のように家族と近しく接している人は沢山いると思うよ」"The Dashboad"もクリスお気に入りの曲の一つ。「コレは戦争に赴く男を歌ったものなんだけど、その男が戻ってくる、というエンディングだったんで選曲したんだ。つまりハッピーエンドな歌なんだ。皆、悲しい結末の曲を書くことが多いよね。この曲は深刻なテーマをハッピーエンドで締めくくっている。こういうストーリーって、決して多くの人が語り合う題材として選ぶものではないよね。実は僕の従兄弟がちょうど今、アフガニスタンにいるんだ。本当に危険なところだよ。その彼が、この曲を気に入ってくれたんだ。クールなことだね」そして、トワンギーなカントリ-・ギターがイイ味出してるグルーヴィーなミディアム"Getting You Home"と、スローのタイトル曲"The Man I Wanted to Be"も、シングル・チャートでトップを獲得した佳曲です。
このアルバムには2曲のカバー曲が収録されています。トニー・ジョー・ホワイトTony Joe Whiteの"Rainy Night In Georgia"と、ウェイロン・ジェニングスの"Rose In Paradise"です。この2曲で、日本で最も有名なカントリー・レジェンド、ウィリー・ネルソンとデュエットしています。James Stroudによると、レコーディングの時、クリスはかなり緊張したそうですが、ウィリーのこんな一言のおかげでリラックスしてセッションに望めました。「こっちに来なよ。君の声がいかにグレイトか伝えたいんだ」
今のカントリー・フィールドは、少しづつクロスオーバーしたスタイルのアーティストが増えて来ていますが、その中でネオ・トラディショナル・スタイル(しっかりテンガロン・ハットを着用)と歌声を持つクリスの存在意義は大きいでしょう。その音楽への姿勢も頼もしく、末長い活躍が期待できると思います。
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