2007年CMAアワードで見事に歌い上げた4曲目のシングル"Stay"が今年に入ってチャートを駆け上がり、依然勢いのあるところを見せたSugarlandのセカンド。強力な女性シンガーJennifer Nettlesと経験豊かなソングライターKristian Bushによるデュオの2006年リリース作です。デビュー盤「Twice the Speed of Life」がマルチ・プラチナムのセールスで大成功。そしてこの2枚目、カラッと明るくキャッチーで引き締まった、実に質の高いロッキッシュ・カントリーが満載で、発売後1年以上たった今でもトップ10レベルを維持するロング・セラーを記録。完全に地位を確立しましたね。何をおいてもSugarlandイコールJennifer Nettles。その美貌に似つかわしくない、南部の香りがプンプンする強烈なソウル・ボイスは一度聴いたら忘れられなくなります。Blake Sheltonがホワイト・ソウル・マンなら、Jenniferは21世紀のホワイト・レディ・ソウル(Lady Soul)!
Sugarlandといえば、今やアメリカン・ハード・ロックの大御所 、ボン・ジョビ(学生の頃、女の子がカワイイって言ってたな)とのデュエット"Who Says You Can't Go Home"が話題になりました。このボン・ジョビのカントリー寄りの動きはハード・ロック・ファンをたいそう不安にさせたよう(最近の産経新聞日曜版に、そう書いてた)ですが、それだけSugarlandの存在がボン・ジョビが無視できないくらいに魅力的で、かつてのアメリカン・ロッカー、ジョン・クーガー・メレンキャンプ(John Mellencamp)も引き合いに出されるくらにロッキッシュでダウンホームなSugarlandのサウンドを、自身の新たな創作のモチベイションにしたかったのではないでしょうか。
シングルでカントリー1位にもなった""Settlin'"からタイトで小気味良いギター・サウンドが展開。Jenniferも全開で泥臭く高揚しますが、オープニングとブレイクでフィーチャーされるキーボードで上手くポップな装飾をして親しみも持たせます。ポップといえば、キャッチーなリフレインを持つ "Everyday America"がのっけからダンサブルなリズムとカリビアンなギターでマイアミ・ソウルのよう(というより、マイアミ・ソウルそのもの)な楽しさに溢れていてナイスです。Jenniferの声もど真ん中にソウルフル!今こんな歌が歌えるブラック・ピープルはいる?バラードの"These Are the Days"も結構センチメンタルなサウンドを伴う綺麗なバラード曲ですが、同じく彼女の声(Bushのしわがれ声もフィーチャー)によって実にアーシーで強力になっています。ハイ・ペースのロッキン・カントリー"Mean Girls"では、ナント!ブラッド・ペイズリーのリード・ギターをフィーチャー。今更ながら彼独特、コクを持つクリアな音色のスペイシーな早弾きは流石です。いまどきギター・サウンドで個性を出せるって、なかなか出来ることではありません。
このアルバム、ザックリ聴いちゃうと、ほとんどアメリカン・ロック?との印象になりますが、かつてのロック・アーティストが若者の理想や夢、ロマンを歌っていた(ロックってそういうもの)のに対し、ここでSugarland(そして多くのカントリー・アーティスト)が歌っているのは、アメリカ人の日常の生活であり、目の前の日々を生きる事に懸命な人たちの為の歌だったりするのです。例えば"One Blue Sky"では、洪水や自然災害(カトリーナからそれ程時間が経っていない時期でした・・・・)に立ち向かおうとする人を歌ったもの。そしてそんなカントリー伝統の手法を取りつつも、一方で、ロック的な、常道を逸脱しようとするパッションにあふれている事がSugarlandの強力な個性だというのが、もっぱらの彼らへの評価です。
そして、"Stay"。Jennifer Nettles単独作で、アコギ1本と、さりげないキーボードをバックに、心の奥底の情念を全て搾り出すかのように、切々と歌い上げられるバラード。やっぱり思い出されるのが、先のCMA アワードでのJenniferの歴史的なボーカル・パフォーマンスです。NHK-FMの放送でこの素晴らしい出来のライブ・レコーディングを聴いた時の感激と体に走った戦慄は、1965年パリのパレ・デ・スポールにおけるビートルズの"Rock'n Roll Music"(武道館のとはまるで次元が違うヨ)や、1973年ブリュッセルはフォレスト・ナショナルでのローリング・ストーンズの"Midnight Rambler"のライブ・パフォーマンスを初めて耳にした時の感激に匹敵するものでした(例えが的外れですみません)。
この"Stay"を始めJennifer Nettlesの歌声を聴くと、かつて一世を風靡し70年代終盤に消滅してしまったと思われていた、あの豊かなディープ・ソウル~サザン・ソウル(オーティス・レディング(Otis Redding)、アリサ・フランクリン(Aretha Franklin)、アル・グリーン(Al Green)等の系統)が、そしてその歌唱スタイルのエッセンスが、音楽スタイルや白黒のクロスオーバー化の中でソウル・ミュージックに憧れた白人達に引き継がれ、カントリー・ミュージックの中に染み込み今も生き続けていた事がハッキリと認識できます。ソウル臭を匂わせる女性シンガーとしては、Martina McBrideを筆頭に、Gretchen Wilson、Carrie Underwood、Little Big TownのKaren Fairchildなどが思い当たりますが、Jennifer Nettlesの声を張り上げた時の質感は実に濃厚で、ティナ・ターナーやチャカ・カーンらメインストリーム系でもなければ、ましてやもっと最近のホイットニー・ヒューストンらのブラコン系でもなく、やはり正真正銘サザン系。私は実力派ディープ・ソウル・シンガーの中でも究極のO.V.ライト(O.V.Wright)や、ジミー・ヒューズ(Jimmy Hughes)らを思い出してしまうのです。ジミー・ヒューズ("Why Not Tonight"が名曲だった)って男性のわりに声が高めだったりで、本当にJenniferソックリと思う。だからロックの連中が彼女に興味を示したわけです。
Jimmy Hughes
言うまでもなく、ジョージア州アトランタで結成された、元々はトリオ。皆ローカル・レベルでは既にそれなりの実績を持っていた人たちでした。Kristian Bushは、Billy Pilgrimというフォーク・ユニットの片割れ。既に2枚のアルバムをリリースしていました。そして今は脱退しているKristen Hallも、ソロ・アーティストとしてWindham Hillなどで4枚のフォーク・アルバムをリリース済みでした。キッカケは、HallからBushへの、共作を打診する電話。二人とも人生の分岐点と感じていた時期でした。そうして意気投合した二人が、有能なシンガーが必要と考えて目を付けたのが、Jennifer Nettles。アトランタのクラブでの確かな実績を見込まれての抜擢でした。彼らは既にクラブレベルの成功は手にしていた人たち、だから最初からこのトリオのターゲットはビッグな成功。結成4ヵ月後の最初のライブで大変な評判をとり、4回目で早くも1000人を集めてしまいます。そして早くもその2週間後、Mercury Recordsとの契約を、軽く獲得してしまったのです。
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Sugarlandといえば、今やアメリカン・ハード・ロックの大御所 、ボン・ジョビ(学生の頃、女の子がカワイイって言ってたな)とのデュエット"Who Says You Can't Go Home"が話題になりました。このボン・ジョビのカントリー寄りの動きはハード・ロック・ファンをたいそう不安にさせたよう(最近の産経新聞日曜版に、そう書いてた)ですが、それだけSugarlandの存在がボン・ジョビが無視できないくらいに魅力的で、かつてのアメリカン・ロッカー、ジョン・クーガー・メレンキャンプ(John Mellencamp)も引き合いに出されるくらにロッキッシュでダウンホームなSugarlandのサウンドを、自身の新たな創作のモチベイションにしたかったのではないでしょうか。
シングルでカントリー1位にもなった""Settlin'"からタイトで小気味良いギター・サウンドが展開。Jenniferも全開で泥臭く高揚しますが、オープニングとブレイクでフィーチャーされるキーボードで上手くポップな装飾をして親しみも持たせます。ポップといえば、キャッチーなリフレインを持つ "Everyday America"がのっけからダンサブルなリズムとカリビアンなギターでマイアミ・ソウルのよう(というより、マイアミ・ソウルそのもの)な楽しさに溢れていてナイスです。Jenniferの声もど真ん中にソウルフル!今こんな歌が歌えるブラック・ピープルはいる?バラードの"These Are the Days"も結構センチメンタルなサウンドを伴う綺麗なバラード曲ですが、同じく彼女の声(Bushのしわがれ声もフィーチャー)によって実にアーシーで強力になっています。ハイ・ペースのロッキン・カントリー"Mean Girls"では、ナント!ブラッド・ペイズリーのリード・ギターをフィーチャー。今更ながら彼独特、コクを持つクリアな音色のスペイシーな早弾きは流石です。いまどきギター・サウンドで個性を出せるって、なかなか出来ることではありません。
このアルバム、ザックリ聴いちゃうと、ほとんどアメリカン・ロック?との印象になりますが、かつてのロック・アーティストが若者の理想や夢、ロマンを歌っていた(ロックってそういうもの)のに対し、ここでSugarland(そして多くのカントリー・アーティスト)が歌っているのは、アメリカ人の日常の生活であり、目の前の日々を生きる事に懸命な人たちの為の歌だったりするのです。例えば"One Blue Sky"では、洪水や自然災害(カトリーナからそれ程時間が経っていない時期でした・・・・)に立ち向かおうとする人を歌ったもの。そしてそんなカントリー伝統の手法を取りつつも、一方で、ロック的な、常道を逸脱しようとするパッションにあふれている事がSugarlandの強力な個性だというのが、もっぱらの彼らへの評価です。
そして、"Stay"。Jennifer Nettles単独作で、アコギ1本と、さりげないキーボードをバックに、心の奥底の情念を全て搾り出すかのように、切々と歌い上げられるバラード。やっぱり思い出されるのが、先のCMA アワードでのJenniferの歴史的なボーカル・パフォーマンスです。NHK-FMの放送でこの素晴らしい出来のライブ・レコーディングを聴いた時の感激と体に走った戦慄は、1965年パリのパレ・デ・スポールにおけるビートルズの"Rock'n Roll Music"(武道館のとはまるで次元が違うヨ)や、1973年ブリュッセルはフォレスト・ナショナルでのローリング・ストーンズの"Midnight Rambler"のライブ・パフォーマンスを初めて耳にした時の感激に匹敵するものでした(例えが的外れですみません)。
この"Stay"を始めJennifer Nettlesの歌声を聴くと、かつて一世を風靡し70年代終盤に消滅してしまったと思われていた、あの豊かなディープ・ソウル~サザン・ソウル(オーティス・レディング(Otis Redding)、アリサ・フランクリン(Aretha Franklin)、アル・グリーン(Al Green)等の系統)が、そしてその歌唱スタイルのエッセンスが、音楽スタイルや白黒のクロスオーバー化の中でソウル・ミュージックに憧れた白人達に引き継がれ、カントリー・ミュージックの中に染み込み今も生き続けていた事がハッキリと認識できます。ソウル臭を匂わせる女性シンガーとしては、Martina McBrideを筆頭に、Gretchen Wilson、Carrie Underwood、Little Big TownのKaren Fairchildなどが思い当たりますが、Jennifer Nettlesの声を張り上げた時の質感は実に濃厚で、ティナ・ターナーやチャカ・カーンらメインストリーム系でもなければ、ましてやもっと最近のホイットニー・ヒューストンらのブラコン系でもなく、やはり正真正銘サザン系。私は実力派ディープ・ソウル・シンガーの中でも究極のO.V.ライト(O.V.Wright)や、ジミー・ヒューズ(Jimmy Hughes)らを思い出してしまうのです。ジミー・ヒューズ("Why Not Tonight"が名曲だった)って男性のわりに声が高めだったりで、本当にJenniferソックリと思う。だからロックの連中が彼女に興味を示したわけです。
Jimmy Hughes
言うまでもなく、ジョージア州アトランタで結成された、元々はトリオ。皆ローカル・レベルでは既にそれなりの実績を持っていた人たちでした。Kristian Bushは、Billy Pilgrimというフォーク・ユニットの片割れ。既に2枚のアルバムをリリースしていました。そして今は脱退しているKristen Hallも、ソロ・アーティストとしてWindham Hillなどで4枚のフォーク・アルバムをリリース済みでした。キッカケは、HallからBushへの、共作を打診する電話。二人とも人生の分岐点と感じていた時期でした。そうして意気投合した二人が、有能なシンガーが必要と考えて目を付けたのが、Jennifer Nettles。アトランタのクラブでの確かな実績を見込まれての抜擢でした。彼らは既にクラブレベルの成功は手にしていた人たち、だから最初からこのトリオのターゲットはビッグな成功。結成4ヵ月後の最初のライブで大変な評判をとり、4回目で早くも1000人を集めてしまいます。そして早くもその2週間後、Mercury Recordsとの契約を、軽く獲得してしまったのです。
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