札幌市内の都市公園。
午前中だけのつもりだったが,繰り返し飛来するときのパフォーマンスが,あまりにも素晴らしかったため,結局,昼食抜きで,丸1日,ハリオアマツバメを見ることになった。
地元,札幌に住む息子が,途中から合流したが,いい奴すぎて,息子も昼食抜き。
息子によると,ここで,2人で鳥見をするのは,6年ぶりだったらしい。
さて,この池は,水を飲むため,また,水浴びをするために,ハリオアマツバメの群れが,日に何度も訪れるところ。
この日は,10時半を過ぎた頃から,30分程度の間隔で,群れが飛来し,多いときは,50〜60羽の群れになっていた。また,午後,暑くなってからは,20分間隔程度に,飛来間隔が縮まってきた。
前触れがある。
最初は,1〜3羽程度が,上空に姿を見せて,様子見。
数が揃わないうちは,下に降りてくることはない。
こうして待つときの,ワクワクする感じが,堪らなく良い。
数が増えてきて,20〜30羽は集まってきたかな,という段階から,徐々に高度を下げる。
そして,1羽が水面に接したのを合図に,お祭りが始まる。
同時に,こちらも興奮状態に突入。
数十羽が,水面上を高速で飛び交うので,どの個体を狙ったら良いのかわからず,アワアワするばかり。
思い切って,1羽に絞っても,カメラのフレームに入れることさえ,むずかしい。
諸説あるが,ハヤブサの急降下時の速度を除けば,ハリオアマツバメが地球上で最も速く,約170km/h.という。
ひゃ〜,と,驚くしかないスピード。
撮影は,失敗続きだった。
それでも,慣れて来ると,何枚か,使えるものを撮ることはできた。
まず,名前の由来となった,尾羽の針,の確認。
画質がひどくなるが,拡大してみる。
確かに,ツンツンと突き出た,針状の羽軸が見える。
まさに,針尾(はりお)。 英名でも,Needle tail。
この羽軸,非常に固いらしい。
まさに,針尾(はりお)。 英名でも,Needle tail。
この羽軸,非常に固いらしい。
尾羽を広げると,こんな感じだった。
こうすると,「針尾」に見えない。
アマツバメのような凹尾ではない。
そして,背中は白。
上空を飛んでいるときは,見えない部分。
アマツバメは,背中が黒く,腰が白いが,ハリオアマツバメは,背中全体が白。
背中側からの写真をよく見ると,翼の根元側上部が,青く光っている。
光の当たり具合で,翼の一部に,構造色が出現。
アマツバメの鎌状の先細りの翼に比べると,翼の幅が広い。
集団で水上を飛び交っていたときは,この翼で,バタバタと音を立てていた。
スピードは出るようだが,この翼の形状のせいか,飛翔の「キレ」自体は,アマツバメの方が上,と感じる。
飛んでいるときは,足が格納されていて,基本,見えないが,水面に近いところでは,足を出す場面もしばしばあった。
アマツバメ同様,歩けない足。
食事も,排泄も,睡眠も,交接も,飛びながら行うので,足は,崖などにぶら下がることしかできなくなった。
食事も,排泄も,睡眠も,交接も,飛びながら行うので,足は,崖などにぶら下がることしかできなくなった。
この足でぶら下がった上で,羽軸が固く,しっかりした尾羽で体を支えるらしい。
これは,水飲みのため,口を大きく開けて,水面に迫っているところ。
気持ち悪いくらい,大きく口を開けている。
横から見ると,ほぼ90度。
すごいな。
大きく開いた口は,デューン砂の惑星に出てきたサンドワーム(砂虫)を連想させる。
何でも飲み込んでしまいそう。
口を開けて水面に寄る際,体をくの字に曲げて,飛ぶスピードにブレーキをかけていることがわかる。
超高速のままで,水に突っ込んだら,壊れてしまう。
水面では,水飲みついでに,水浴びもしているように見えた。
口を開けずに水面に接し,純粋に水浴びしているところも,観察できた。
水浴びは,全身,又は,お腹を水に浸けることで行っていた。
高速で飛びながらの水浴びなので,お腹が水にふれるだけで,石切り遊びのように,水飛沫が上がる。
飛びながら,翼の先端を水に浸ける行動も,頻回,見られたが,これはなんだったのだろう。
水面スレスレを飛んでいるから,偶然,翼の先が水面を切ってしまった,とも見ることができるが,翼で水面を切って,水浴びしている,とも見ることができる。
そして,こんな瞬間を捉えた写真もあった。
口に含んだ水が多すぎたので,首を振って,吐き出した,
のではなく,
わざと口に水を多めに含んで,飛びながら,その水を体に振りかけることによって,水浴びしている,というふうにも見える。
単に「まぁ」しているのではなく,首を振って,体に振りかけている。
スマホでは見づらいと思うが,水しぶきの飛び散り方に,注目してほしい。
体をきれいにするとともに,気化熱で空冷効果を高めている感じ。
そんなこと,聞いたこともないが,そうだったら,うんと楽しい。
そもそも,鳥って,30分おきの水分補給が必要なのだろうか?
鳥は,飛ぶことに特化して,体を進化させており,排泄物も,アンモニアを尿素に変えるではなく,尿酸に変えている。
尿素は,排泄するのに水を要するが,尿素は水を要しないから,飛ぶために,体を軽く保てる。
鳥は尿酸だから,人間や哺乳類と比較すると,水は,それほど,必要としないはず。
水を体内に入れると,体が重くなってしまい,飛ぶのに不利になってしまう。
あ,そっか。
量をあまり取れないから,回数で補っている,っていう理屈も通るかもしれないな。
量をあまり取れないから,回数で補っている,っていう理屈も通るかもしれないな。
でも,やっぱり,口に含んだ水で,空中シャワーを浴びている,考える方が楽しい。
大きく口を開けて水面をかすめても,水を飲まずに通過することもある。
高速過ぎて,水飲み失敗か?
下の写真のときは,前を飛ぶ仲間が立てた水しぶきが凄すぎて,水飲みを回避。
あゎゎ。
ここまで,いろんなことを書いてきたが,数が多く,また,動きが速いので,現在進行形で見ているときには,何が起きているのか,全然わかっていなかった。
見ているときにわからなかったいろいろなことが,写真を撮って,後で見ることで,わかってくる。
鳥を撮影する楽しみって,こういうことなんだ,と,改めて実感。
それにしても,カッコ良かったなぁ。
また,ここに来るのは,何年後になるのかな。
月とのツーショット写真を置いて,この記事の締めとしよう。
昼食抜きだったこともあり,この後に行ったサッポロビール園の生ビールは,最高に美味かった。
(2024/07/13 ハリオアマツバメ)