バードトレーニング

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心理学の本

2004年11月07日 | コラム
■心理学の本

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いずれも鳥のしつけについて書かれた本ではありませんが、鳥の行動を考える上での基礎となる心理学の原理について書かれた本をご紹介します。

■初心者にお勧め

人生思い通りにコトを運ぶ法 
 快適な人生はこの「オペラント」がつくる
久美 沙織
三笠書房
(2003/07)

★このHPのキーワードであるオペラント条件付けについてとてもわかりやすく書かれた本。面白くあっという間に読めてしまいます。さすが小説家が書いたものは違いますね。


うまくやるための強化の原理
―飼いネコから配偶者まで
カレン プライア (著), Karen Pryor (原著), 河嶋 孝 (翻訳), 杉山 尚子 (翻訳)
二瓶社
(1998/06)

★行動分析学の入門書としてとても良い本です。経験や勘に重きを置かれてきた動物のトレーニングの世界に「オペラント条件付け」という心理学の理論を初めて持ち込んだプライアが一般向けに書いた本です。イルカや犬のトレーニングをしている人たちのバイブルとも呼ばれています。クリッカートレーニングについても書かれています。アメリカでは第2版がでており、翻訳が待たれています。

■もっと知りたい方のために

アニマルラーニング―動物のしつけと訓練の科学
中島 定彦 (著)
ナカニシヤ出版
(2002/05)

★動物のトレーニングという切り口から、学習心理学について解説した本。すらすらと読める本ではありませんが、専門用語を丁寧に解説している本です。これから動物のトレーニングについて専門的に学びたいという人にお勧めです。上記2冊の本を読むと「この場合はどう考えればいいの?」という疑問がわいてくる方もいらっしゃると思います。この本で、その答えが見つかるかもしれません。


行動分析学入門
杉山 尚子 (著), 佐藤 方哉 (著), マリア・E. マロット (著), 島宗 理 (著), リチャード・W. マロット (著), Maria E. Malott (原著), Richard W. Malott (原著)
産業図書
(1998/04)


★プライアの「強化の原理」が面白い!と思ったらこの本を是非読んでください。かなり専門的な内容を含みますが、事例がたくさん載っており、会話形式で読みやすいので独学にも最適だと思います。



発情を防ぐ

2004年11月06日 | コラム
暖かくて、日が長くて、卵をたくさんうめるだけの栄養が体に蓄積されていると
さあ、繁殖の季節がやってきた! になってしまうのです。

卵をしばしば生んでしまう、発情に由来する攻撃な行動など問題が生じているのならば、環境を変えることが必要です。

■まずは、適正体重に
 多くの飼い鳥は、ぽっちゃりしています。その子の体格に合った適正体重を保つように、ゴハンの量をコントロールすることが必要です。
 まずは、毎日体重を測り、与えるゴハンの量を記録することからはじめましょう。無理なダイエットを鳥さんに強いて、栄養失調や餓死させてしまいがちなので、時間をかけてゆっくりと体重を減らしていきましょう。
 ダイエット中や適正な量のゴハンを食べている鳥さんには、クリッカートレーニングで色々教えてあげる楽しみを作ってあげましょう。

■毎日の生活を忙しくする
 やることがないと、毛づくろいや発情行為に没頭しがち。鳥さんの仕事を作って、発情以外の行動ができる環境を作ってやりましょう。鳥さんの仕事のうち、多くの時間を占めるのが採食活動です。飼い鳥では、この時間が圧倒的に短く、多くの鳥たちが退屈しています。採食活動を、遊びにした「宝さがし」でインコたち生活を充実させてあげましょう。発情の対象になるからとおもちゃは悪者扱いされることが多いですが、全てのおもちゃが悪影響を与えるわけではありません。発情防止対策に必要なおもちゃもあるのです。
こちらもご覧下さい
環境エンリッチメント
紙のおもちゃの作り方
→鳥の生活を豊かにするおもちゃの本を出版しました。

■発情を防ぐために暗い時間を十分に取りましょう。

朝は7時頃に起きて夜は10時過ぎに就寝という鳥たちも多いのでは?
人間に合わせて生活をすると、そうなってしまうのも仕方ないかもしれませんが、発情は明暗周期に影響を受けるといわれています。

頻繁に発情をするようなら、連続した暗期が12時間以上になるようにしましょう。つまり、日照時間(明るい時間)が12時間以下になるようにするのです。
また、発情を止めたいという場合は、もっと長く暗い時間を取ることが必要です。発情抑制効果がでる光周期は8時間以内(海老沢 2004)とされています。

遮光できるカバーなどでケージを覆い、静かな部屋で早めに寝かすなど工夫するようにしましょう。

また、暗くできるインコ専用の部屋があるのなら、タイマーを用いて明暗周期を自動的に設定することもできます。

■季節による温度変化を経験させる

季節による温度変化を経験させることで、長期にわたる発情を押さえることができます。

エアコンがほとんどの家庭で装備されている現在、室温は一年を通じて人間にとって心地の良い温度に保たれてしまいます。

また、病気の鳥を介護した経験のある方は、その鳥が回復した時、また別の鳥を迎えたときに、温度を下げることに恐怖心が生じたりすることもあるようです。

極端な低温や高温条件は別ですが、雛や病気治療中以外の健康な鳥であれば温度に対する適応力があります。

■発情を防ぐことのメリットは大きい

犬や猫は、健康や行動上の配慮から避妊手術をすることが推奨されています。しかし、ほ乳類と異なる体の構造を持つ鳥は、現在のところ避妊手術をすることができません。

飼育されている鳥は与えられた環境の中で生きていくことを余儀なくされています。私達が発情のしくみを知り、環境に配慮することで鳥は健康に過ごすことができるのです。

引用文献、参考文献
コンパニオンバード No.2 飼い鳥はなぜ発情するのか 44-49ページ
誠文堂新光社 2004年
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4416704631/



羽の顕微鏡写真

2004年11月05日 | コラム
セキセイインコとキンカチョウの抜けた羽を実体顕微鏡で観察。
それぞれの羽の大きさは1cm以下。



セキセイインコ:写真はクリックで別ウィンドウを開き、拡大することができます。
うすい緑色の個体のもの。
羽は羽軸にそって両側にある羽枝からなります。
羽枝は、無数の小羽枝からなります。
この写真では羽軸と羽枝、そして羽枝に45度の角度でついている小羽枝を見ることができます。



キンカチョウ:写真はクリックで別ウィンドウを開き、拡大することができます。
ノーマルのキンカチョウのもの



クレバーハンス 計算できる馬

2004年11月03日 | コラム
 計算ができる賢い馬として有名なハンスという馬がいた。

 ハンスの飼い主のオステンさんが算数の問題を出すと、計算して答えの数だけ前足で床を打って合図するのだ。足し算、引き算だけでなく、わり算やかけ算もできた。

 馬が計算できる訳がないと疑う人が、調査に乗り出した。飼い主が合図しているのではないかと、問題を出す人を変えてみたが、ハンスはやはり正しい解答を出した。ハンスは、計算できる賢い馬として、大変有名になった。

 しかし、ある心理学者が、ハンスは計算していたのではないと立証した。問題を出す人が答えを知らなかったり、誰もいないところでは、ハンスは、ずっと足を踏みならし続けたのだ。

 実は、調教師や観客が解答を知っている場合、彼らは無意識にハンスが答えの数だけ足を踏みならした時に無意識にちょっとした身振りや嘆声を出していた。

ハンスは、これを合図に足を踏みならすのをやめていただけだったのだ。



伊豆シャボテン公園のコンゴウインコのショー
もちろん、インコは足し算をしているのではなく…。