「米軍の対北朝鮮軍事作戦と拉致被害者救出作戦 講師:恵谷治氏」
レポート その4
『恵谷治氏の講演 3』
次にこの実例2、宣伝ビラについてお話しますとご記憶の方もいらっしゃると思いますが、産経新聞で一面トップにですね。
ソウルの久保田記者が反体制ビラを入手し、写真入りの記事が出たことがあります。
そのビラには金日成・金正日親子の10大嘘というタイトルで、北朝鮮の質の悪い紙で手書きで書いてあってビラがあって、いかにも北朝鮮で作られた反体制ビラと言うもので、久保田記者は実態を知っていたかどうかは分かりませんが、そういった報道が流れました。
そのビラを作った担当者とも会った事もありますが、実はこれは5030の作戦の一環です。
こんな事をまた大きな声で言っていいのかどうか分かりませんが、その内容を言いますとですね。
とにかく中国東北部で質の悪い紙を入手して、脱北者を集めてですね。
10大嘘と言う文章を、彼の言葉で言うと何十人も集めて手書きで一斉に書かせて、それをコッチェビと言いますが孤児と言いますか浮浪児たちに渡して各所で配る。
言う事をやった一枚がどういう経緯か知りませんが、産経新聞に届いた、と言うことですが。
その結果ですね。
産経新聞が報道した。
ところが、その担当に言わせるとですね。
全然効果が無かったと。
と言うのもですね。
あえて本物らしく北朝鮮の紙を使ったもんですから、質が悪くて回し読みするので破れて、あるいは屋外で撒いても雨なりその他で破れて、上手く行かなかったと言っておりました。
そこでですね、じゃあ今度はどうするか?
考えた結果、この際そういう北朝鮮内で作られたと言うふうな偽装は止めようと。
もう一つですね。
文章を読むと当然考えて書いたんですが、やはり北の人間が書いた文章ではないと言う指摘があったんです。
これは大変微妙なところですが、その反省を生かして北の人間のようなきちっとした文章に直してですね、印刷した。
印刷して大量にばら撒くんです。
と言う事でやった。
それで先ほど言った雨その他の問題がありますから、撒く方法もコッチェビ・孤児たちに持たせて撒くのも地域的な限界があると、言う事で風船に付けて、実はですね。
ご存知だと思いますが金大中が平壌に行く以前までは、韓国の安企部は公海に船を浮かべてどんどん風船を飛ばしていました。
その風船の一部が日本まで届いてですね。
これは北朝鮮謀略であるか?とか、ガスが詰まれていたのではないか?と公安当局が何回も大慌てした事がありましたが、私もその鑑定に行ったことがあります。
しかしこれは韓国が飛ばした物の一部が日本に気流の関係で届いたと言う事なんですが。
それに様々なラーメンを下に、とにかく風船の下に付けていく。
インスタントラーメンとかストッキングとかコンドームとか、とにかく軽くて住民が喜ぶような物をどんどん飛ばしていました。
この風船の計画は私は非常に有効だったと思うんですが、北朝鮮側もそういうものが飛んでくるわけで、「毒が塗ってあるので触ったらすぐ死ぬ」と言うふうに教育していたんですが、それも先ほど言ったように全国津々浦々に教育が行き渡るんですが、腹を空かしていたら死んでもいいやと思って食べてみれば美味かったと。
と言う事であっという間に当然広がると、言う事だったんですが。
南北頂上会談以降停止して、私は知らなかったもんですから安企部にその取材を是非やらせて欲しいと頼んでたんですが「もう今はやっておりません」と。
その分DIAが始めているんですが、先ほど言ったとにかく多くの人間に金日成の10大嘘、これはですね。
10大嘘というのは、金正日は白頭山で生まれた→生まれてはいないと、ソ連で生まれたんだとか。
我々から見れば普通の内容です。
もっと言いますとですね。
普通の内容と言うよりも北朝鮮で教育されている事実より、ちょっと違う事実を伝えていくのが非常に需要だと言うのが最近私は知りました。
というのも亡命者と話をしましてですね。
金日成の経歴の偽造問題がありますが、韓国が対北宣伝放送にまだ力を入れていた頃、教育放送と言うのがありまして、その中で韓国の解説員がですね。
ご存知だと思いますが東大の和田春樹教授の文献を引用してこことここがこう違うという解説をしていたそうです。
それを聴いていた脱北者から聞いたんですが、それを聴いただけでびっくりして逆に言うと納得できたと。
嘘であると言う事がよく分かったと。
逆にですね。
ご存知のように和田春樹教授は、北寄りの書き方をしております。
ところがそういう北の教育よりもかけ離れた説を伝えるとですね。
これは多分謀略だというふうに分かって、信用されない。
少し、北で言われる事のこことここが違うんだと言う事が説得力がある、と言うふうに伺った脱北者と話をしまして、なるほどそういう物かと思いました。
ですから親子10大嘘という物の中身と言う物は中身はたいした物では無いんですが、とにかくそれを行き渡らせる。
と言う事で実はこれが本物です。
これは初めてお見せします。(ビラを掲げて会場に見せる)
コーティングしてですね、これを風船につけて撒いております。
で、裏にお分かりだと思いますが金正日花と言うのをやっておりまして、この下は九九を書いてあります。
つまりこれを拾ってですね。
安全員が来たらさっと表を出せばですね。
花があって九九の勉強をしているというふうに考えてこれを作ったそうです。
この話をしておりましてですね。
この金正日花であればですね。
これを没収して全て焼き払える、あるいは切り刻める。
言う事で私はですね。
「折角写真を印刷するんであればここに将軍様の写真を使うべきだ」と。
そうするとですね。
これは切れないですね、ご真影を、あるいは燃やせない。
で裏のこの宣伝文はそのまんま、残ると。
「そうか、じゃあ次はそうしよう」と。
それが今どこまで進行しているのかは今ちょっと聞いてませんが、そういう事もやっております。
そういう意味でここに実例と書きました。
それと5030と先程言ったように、かつてはCIAがやった事を軍がやるという中でここに実例その4、外貨流入を遮断と言う、これは財務省その他、マネーロンダリング・偽札とかですね。
そういう表でも出来るわけですが、例えば麻薬なんかの摘発を表であればそれなりの刑事手続きが必要です。
しかし軍であればそれなりの活動が出来ますし、面白いことにですね。
米軍はJIATFという麻薬取締りの専門部隊を持っております。
軍がこれを、日本の麻取(=麻薬取締り)のような物ではなくて軍独自でやってるんで、実は私もその実態は知りませんが、軍の中でそういう活動が出来る体制が整っていると。
ですからこういった事も軍事オペレーションとして出来るんだろうと、と言うことです。
この5030というのはずっと現在進行形でありまして、流血の無い軍事作戦といいますか、北朝鮮をとにかく倒していく為のあらゆる手段・アイデアだと思います。
話は飛びますけどもベトナム戦争当時ですね。
いわゆるベトコンを倒す為にはどんなアイデアでもいい、これはCIAがやりましてですね。
センサーを落としてとか、とにかくあらゆる考えられる物・アイデアを募集して、実行可能なものからどんどんやった事があります。
結果的にはさほど効果は無かったんですが、私はそれに似たような事をこの5030でやってるんではないかと言うふうに思っています。
それでここにその次に2行、ご存知の大使と在韓米軍司令官の事を書きましたが、この人事はですね。
ブッシュ政権がいざ事がある時には明確な意思表示をするという布石。
この二人の経歴を見れば冷戦崩壊当時にヨーロッパにいた、あるいはそういう役職で経験豊富な二人の布陣と言うのはこれはブッシュ政権の意図が感じられると、いうふうに思っています。
ただいわゆる5020レベルの物、あるいは5026のような限定空爆ないし軍事オペレーションがあるかというと、基本的に私は無いだろうと、言うふうに考えています。
しかし、やるぞやるぞというその姿勢、それは先ほど言った117を投入したような言う形で金正日を怯えさせる。
言うことは常にやるでしょうが、実際問題のやればですね。
5027のこの作戦はもちろん2年ごとに改訂されていますが、結局大規模な地上軍を投入すると言う事ですから、これはブッシュ政権としても避けたい、と言うのが一点。
それからもう一つは今年になって、イランがご存知のように濃縮ウランを始めました。
お分かりのようにアメリカにとって見れば、優先順位は北朝鮮よりイランの方が高いわけで、このイランがどういう、今国連で討議されていますが、ロシアと中国の出方によってどうなって行くかによって、北朝鮮の方は変わっていく。
しかしもう一つ、私が聞いている限りはですね。
ブッシュ政権としては北朝鮮に対しての何らかのアクションを今年の前半までには起す。
おそらくそれはですね。
先の中間選挙を睨んだ動きにつながると思うんですが、何らかの形にすると聞いています。
そのためにもこの在韓米軍司令官と大使をこういうふうに布陣したんだろうと言うように思います。
・・・レポート5に続く・・・
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レポート その4
『恵谷治氏の講演 3』
次にこの実例2、宣伝ビラについてお話しますとご記憶の方もいらっしゃると思いますが、産経新聞で一面トップにですね。
ソウルの久保田記者が反体制ビラを入手し、写真入りの記事が出たことがあります。
そのビラには金日成・金正日親子の10大嘘というタイトルで、北朝鮮の質の悪い紙で手書きで書いてあってビラがあって、いかにも北朝鮮で作られた反体制ビラと言うもので、久保田記者は実態を知っていたかどうかは分かりませんが、そういった報道が流れました。
そのビラを作った担当者とも会った事もありますが、実はこれは5030の作戦の一環です。
こんな事をまた大きな声で言っていいのかどうか分かりませんが、その内容を言いますとですね。
とにかく中国東北部で質の悪い紙を入手して、脱北者を集めてですね。
10大嘘と言う文章を、彼の言葉で言うと何十人も集めて手書きで一斉に書かせて、それをコッチェビと言いますが孤児と言いますか浮浪児たちに渡して各所で配る。
言う事をやった一枚がどういう経緯か知りませんが、産経新聞に届いた、と言うことですが。
その結果ですね。
産経新聞が報道した。
ところが、その担当に言わせるとですね。
全然効果が無かったと。
と言うのもですね。
あえて本物らしく北朝鮮の紙を使ったもんですから、質が悪くて回し読みするので破れて、あるいは屋外で撒いても雨なりその他で破れて、上手く行かなかったと言っておりました。
そこでですね、じゃあ今度はどうするか?
考えた結果、この際そういう北朝鮮内で作られたと言うふうな偽装は止めようと。
もう一つですね。
文章を読むと当然考えて書いたんですが、やはり北の人間が書いた文章ではないと言う指摘があったんです。
これは大変微妙なところですが、その反省を生かして北の人間のようなきちっとした文章に直してですね、印刷した。
印刷して大量にばら撒くんです。
と言う事でやった。
それで先ほど言った雨その他の問題がありますから、撒く方法もコッチェビ・孤児たちに持たせて撒くのも地域的な限界があると、言う事で風船に付けて、実はですね。
ご存知だと思いますが金大中が平壌に行く以前までは、韓国の安企部は公海に船を浮かべてどんどん風船を飛ばしていました。
その風船の一部が日本まで届いてですね。
これは北朝鮮謀略であるか?とか、ガスが詰まれていたのではないか?と公安当局が何回も大慌てした事がありましたが、私もその鑑定に行ったことがあります。
しかしこれは韓国が飛ばした物の一部が日本に気流の関係で届いたと言う事なんですが。
それに様々なラーメンを下に、とにかく風船の下に付けていく。
インスタントラーメンとかストッキングとかコンドームとか、とにかく軽くて住民が喜ぶような物をどんどん飛ばしていました。
この風船の計画は私は非常に有効だったと思うんですが、北朝鮮側もそういうものが飛んでくるわけで、「毒が塗ってあるので触ったらすぐ死ぬ」と言うふうに教育していたんですが、それも先ほど言ったように全国津々浦々に教育が行き渡るんですが、腹を空かしていたら死んでもいいやと思って食べてみれば美味かったと。
と言う事であっという間に当然広がると、言う事だったんですが。
南北頂上会談以降停止して、私は知らなかったもんですから安企部にその取材を是非やらせて欲しいと頼んでたんですが「もう今はやっておりません」と。
その分DIAが始めているんですが、先ほど言ったとにかく多くの人間に金日成の10大嘘、これはですね。
10大嘘というのは、金正日は白頭山で生まれた→生まれてはいないと、ソ連で生まれたんだとか。
我々から見れば普通の内容です。
もっと言いますとですね。
普通の内容と言うよりも北朝鮮で教育されている事実より、ちょっと違う事実を伝えていくのが非常に需要だと言うのが最近私は知りました。
というのも亡命者と話をしましてですね。
金日成の経歴の偽造問題がありますが、韓国が対北宣伝放送にまだ力を入れていた頃、教育放送と言うのがありまして、その中で韓国の解説員がですね。
ご存知だと思いますが東大の和田春樹教授の文献を引用してこことここがこう違うという解説をしていたそうです。
それを聴いていた脱北者から聞いたんですが、それを聴いただけでびっくりして逆に言うと納得できたと。
嘘であると言う事がよく分かったと。
逆にですね。
ご存知のように和田春樹教授は、北寄りの書き方をしております。
ところがそういう北の教育よりもかけ離れた説を伝えるとですね。
これは多分謀略だというふうに分かって、信用されない。
少し、北で言われる事のこことここが違うんだと言う事が説得力がある、と言うふうに伺った脱北者と話をしまして、なるほどそういう物かと思いました。
ですから親子10大嘘という物の中身と言う物は中身はたいした物では無いんですが、とにかくそれを行き渡らせる。
と言う事で実はこれが本物です。
これは初めてお見せします。(ビラを掲げて会場に見せる)
コーティングしてですね、これを風船につけて撒いております。
で、裏にお分かりだと思いますが金正日花と言うのをやっておりまして、この下は九九を書いてあります。
つまりこれを拾ってですね。
安全員が来たらさっと表を出せばですね。
花があって九九の勉強をしているというふうに考えてこれを作ったそうです。
この話をしておりましてですね。
この金正日花であればですね。
これを没収して全て焼き払える、あるいは切り刻める。
言う事で私はですね。
「折角写真を印刷するんであればここに将軍様の写真を使うべきだ」と。
そうするとですね。
これは切れないですね、ご真影を、あるいは燃やせない。
で裏のこの宣伝文はそのまんま、残ると。
「そうか、じゃあ次はそうしよう」と。
それが今どこまで進行しているのかは今ちょっと聞いてませんが、そういう事もやっております。
そういう意味でここに実例と書きました。
それと5030と先程言ったように、かつてはCIAがやった事を軍がやるという中でここに実例その4、外貨流入を遮断と言う、これは財務省その他、マネーロンダリング・偽札とかですね。
そういう表でも出来るわけですが、例えば麻薬なんかの摘発を表であればそれなりの刑事手続きが必要です。
しかし軍であればそれなりの活動が出来ますし、面白いことにですね。
米軍はJIATFという麻薬取締りの専門部隊を持っております。
軍がこれを、日本の麻取(=麻薬取締り)のような物ではなくて軍独自でやってるんで、実は私もその実態は知りませんが、軍の中でそういう活動が出来る体制が整っていると。
ですからこういった事も軍事オペレーションとして出来るんだろうと、と言うことです。
この5030というのはずっと現在進行形でありまして、流血の無い軍事作戦といいますか、北朝鮮をとにかく倒していく為のあらゆる手段・アイデアだと思います。
話は飛びますけどもベトナム戦争当時ですね。
いわゆるベトコンを倒す為にはどんなアイデアでもいい、これはCIAがやりましてですね。
センサーを落としてとか、とにかくあらゆる考えられる物・アイデアを募集して、実行可能なものからどんどんやった事があります。
結果的にはさほど効果は無かったんですが、私はそれに似たような事をこの5030でやってるんではないかと言うふうに思っています。
それでここにその次に2行、ご存知の大使と在韓米軍司令官の事を書きましたが、この人事はですね。
ブッシュ政権がいざ事がある時には明確な意思表示をするという布石。
この二人の経歴を見れば冷戦崩壊当時にヨーロッパにいた、あるいはそういう役職で経験豊富な二人の布陣と言うのはこれはブッシュ政権の意図が感じられると、いうふうに思っています。
ただいわゆる5020レベルの物、あるいは5026のような限定空爆ないし軍事オペレーションがあるかというと、基本的に私は無いだろうと、言うふうに考えています。
しかし、やるぞやるぞというその姿勢、それは先ほど言った117を投入したような言う形で金正日を怯えさせる。
言うことは常にやるでしょうが、実際問題のやればですね。
5027のこの作戦はもちろん2年ごとに改訂されていますが、結局大規模な地上軍を投入すると言う事ですから、これはブッシュ政権としても避けたい、と言うのが一点。
それからもう一つは今年になって、イランがご存知のように濃縮ウランを始めました。
お分かりのようにアメリカにとって見れば、優先順位は北朝鮮よりイランの方が高いわけで、このイランがどういう、今国連で討議されていますが、ロシアと中国の出方によってどうなって行くかによって、北朝鮮の方は変わっていく。
しかしもう一つ、私が聞いている限りはですね。
ブッシュ政権としては北朝鮮に対しての何らかのアクションを今年の前半までには起す。
おそらくそれはですね。
先の中間選挙を睨んだ動きにつながると思うんですが、何らかの形にすると聞いています。
そのためにもこの在韓米軍司令官と大使をこういうふうに布陣したんだろうと言うように思います。
・・・レポート5に続く・・・
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