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拉致の解決を願って
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古川了子さんを救出する千葉集会in市原 真鍋氏講演(3)

2007-12-15 | 集会テキスト
古川了子さんを救出する千葉集会in市原
07.11.17 市原市辰巳公民館にて

『真鍋貞樹 特定失踪者問題調査会専務理事の講演 その3』

では、これから先はかなり推測も含まれているので、ちょっと私も気をつけながら申し上げますが、木村かおるさんは北朝鮮でタイ人の女性だけではなく、他の関係も日本語を教えていたと、1割ほど推測しています。
大韓航空機の金賢姫の告白本を丹念に読むと、小さく載っているんです。
それは何かと言うと金賢姫は田口八重子さんに、日本語を教わっているわけじゃないんですよ。
田口八重子さんに日本人女性の生活習慣・仕草・会話などを教わっていて、日本語は他の日本人に教わっているのです。
その本に書いてあるんです。
その他の日本人とは誰かというと「1960年代に来た日本人」て書いてあるんです。
当時帰国事業と言うのがありました。
その帰国事業で北朝鮮に行った日本人と書いてあるんです。
木村かおるさんの失踪は1960年ですね。
金賢姫がその人に日本語を教わった時には、その日本人女性は中年だったという事です。
彼女が教わっていたのは1980年の前半くらいかな?
木村さんは20歳の時の失踪だから、40歳くらいの時に金賢姫に日本語を教えたのではないか?という事になります。これはかなり推測ですけど。

金賢姫は日本語をどこで教わったか?と言うと、平壌外国語大学で教わっていたのです。
その教わっていた先生が日本人だったという事です。
金賢姫が大学を中退して工作員に再教育されていくわけですけども、別れ際のやり取りがこの本に書いてあるんですけども、「この先生はとても私を誉めてくれた」と書いてあります。
「とても素晴らしい成績で、成績が良くて一生懸命頑張った」と。そして別れ際に『お元気で』って言ってくれました」と。
「大学を出て行くとき、最後まで見送ってくれた先生です」と書いてあるんです。

タイ人の女性が同じように言うんです。日本語の先生が、「お元気で~」って、「お元気ですか~」って言いながら部屋に入ってきたと。
タイ人の女性も2ヶ月ほど、木村かおるさんに日本語を教わったんですけど、とっても優しい先生で毎日のようにキャンディをくれていたとのことです。
このキャンディがポイントなんです。
授業の時には「お元気ですか?ご飯はちゃんと食べていますか?よく眠れましたか?」と非常に優しく接してくれたとのことです。

その話を木村かおるさんのお姉さんに伝えると「彼女は子供の頃からキャンディが大好きで、看護婦になっても患者さんとか、おじいちゃんや子供を見るたびにキャンディを配り歩いてた」と言う話をされました。
で、「お元気ですか?」というふうにしょっちゅう言っていた。
タイ人女性に、私が「先生の歩き方はどうですか?」と言うふうに言ったら、再現いたしますと、手を膝の上に乗せてこういう感じで歩いていくんです。(真鍋氏その場で歩く仕草を真似てみせる)

こういう感じで歩いて内股で来て「お元気ですか?」というふうに。
これは、木村かおるさんの人物像と全く一致するのです。
そういう木村かおるさんだったんです。

それで話はだんだん飛びますけど、一連の事は金賢姫とは実はアノーチャさんと、アノーチャさんと言うのは、ジェンキンスさんが見たというタイ人の拉致被害者ですね。
アノーチャさんはどこで拉致されたか?と言うとマカオですね。
金賢姫もマカオなんです。
同じホテルです。
アノーチャさんが働いていたホテルに、金賢姫は泊まっているんです。

アノーチャさんと一緒に拉致された孔さんと友達だったのが、さっき言った韓国の女優の崔銀姫さんが北朝鮮で知り合って、と言う話からつながって言ったという事ですね。
そうするとアノーチャさんがジェンキンスさんと曽我さんで、そしてめぐみちゃんでと繋がります。
そして、めぐみちゃんを見たのが安明進で、安明進が見たのが古川さんという事です。
ちょっと風が吹けば桶屋が儲かるみたいですけど、こういうふうに丹念に一つ一つを追いかけていけば、関係性が明らかになっていくというふうに見ています。まだ点線の部分が多いんですが。

こういった作業を日々コツコツとやっていると、個別の古川了子さんの事件や特定失踪者と言われている人の名前が出てくるわけですよね。
古川了子さんのみならず、安明進が見たという加藤久美子さんと言う女性もいますし、名前の分からない安明進に日本語を教えた日本人と言う人もいるわけです。
アヒル歩きの女性と言っている。
安明進に特定失踪者の写真を見てもらったけど安明進はどの女性も違っているといっていました。
足が悪くて何かこういう感じで歩いていたという先生で、顔は良く覚えているんだけど名前とかはもちろん判らないけれども、日本人だという事は間違いない。

安明進は一杯そういう証言をしています。
まだ他にも出てくる可能性がいくつかあるんですけど、今日はこれくらいに留めておきます。
もちろん日本の警察当局もこうした作業をやっているはずなんですけど、外務省もやっているはずなんですけど、まぁ、ため息で終わっています。

それで時間もないので今後のことに移ります。
今後のことで一番の超短期的なお話は米朝ですね。
北朝鮮とアメリカの急接近と言う姿をどういうふうにみるべきか?という事がとても重要だと思います。
我々と言うか私も個人的にびっくりです。
あれほど敵対していた米朝が180度変わって、いまやパートナーとなっています。
この転換点はどうしてか?という事なんです。
おそらく皆さんの認識では、アメリカ裏切ったな、と思われていると思うんですけど、私はそう見ていません。
裏切るも何も、「そんなの関係ない」です。

一番のポイントはですね。
これはあくまでも私の意見ですから、異論・反論・オブジェクションが皆さんにもあると思います。
議論と言うか、いろいろ意見交換をしたいわけですが、このややこしい東アジアの地形。
中国、ロシアが大きく、日本が大きく、アメリカがスーパービックと。
この中に韓国も今やベスト10に入っているくらいの経済大国ですね。
ここに、北朝鮮という小さな何ともえげつない親分によって、2000万人の人民が苦しめられている体制の国があり、「古典的李王朝時代の封建制的、専制的、全体主義国家」です。
この状況の中で、核は作るわ拉致はするわ麻薬は作るわ偽札は作るわ、片やイラン・イラクと核兵器の交換をしたり、悪さばっかりしているという事から、アメリカはテロ支援国国家という事になりました。
で、今テロ支援国国家指定を来月中か再来月には解除しようとするのはどうしてですか?

この謎を解く一つの鍵は誰も分かってないですけど、分かっているのはアメリカのブッシュさんとライスとヒル位という数人しかわからないでしょう。
アメリカも非常に複雑な国で、与党野党もあるし、右もあれば左もいるし、と言う中で非常に大きな政策転換をしているのです。
しかし、実は政策転換でも何でもないという事です。
元々だったんです。

それはどういう意味か?
皆さんに「北朝鮮にとって最も怖い国はどこでしょう?」と質問をしたらどう皆さんはお答えします?
アメリカだと思われる方?
北朝鮮にとって最も嫌な国、最もこんちきしょうと思う国、最もプレッシャーを感じる国です。
北朝鮮がプレッシャーを感じる国です。
日本のおおよその人は、ずっとアメリカが北朝鮮を敵対視しているから、アメリカにプレッシャーを感じているんだろうと思いがちです。
中国なんです。
北朝鮮にとって歴史的に、朝鮮の歴史から始まって今日に至るまで最もプレッシャーを受けるのは中国なんです。
中国からのプレッシャーを止めるためにはどうすればいいですか?
(会場より「アメリカを」の声)そう。
単純でしょう?

だからここは北朝鮮がアメリカと手を握ると言う意味は、中国を押さえるための北朝鮮としての最大の武器になるということです。
朝鮮半島以下、北、南、日本、そして台湾と言う地政学的な、業界用語で「ヘゲモニー(hegemony)」と言うんですけどね。
覇権とも言いますけどね。
ヘゲモニーをキープするために、米国がここを確保するという事は非常に重要です。
米朝のお互いのメリットが最大に一致するんです。
この最大のメリットをどこが一番嫌がります?
中国が一番嫌がるのです。
この構造は昔から変わらない。
政策転換でも何でもないんです。

うちの代表の荒木とも、この辺の見解は違っていますからね。
荒木の意見も良く聞いてください。
荒木との認識の違いは、アメリカにとって北朝鮮は全く価値が無い地域かどうかです。
米国は北朝鮮のことはどうでもいいと思っているから、拉致問題なんかもどうでも良いんだ考えているという見解を荒木は言っていました。
で、私と議論になっています。
今でも解決されていません。

確かにアメリカは北のことなんかはどうでも良いと思っているんです。
政策的に地政学的には重要だけども、石油が出るわけでもないし、ビジネスパートナーとしてもそんなもの、1万対1くらいのものです。
しかし、地政学的なものと、何よりも日本へのプレッシャーとしてここを押さえると言うのは、囲碁をやってらっしゃる方はお分かりと思いますが、日本を押さえるために朝鮮半島を押さえているんです。

もう一つの構造として皆さんが、私も含めて誤解する事は、日本にとってもっともプレッシャーを感じる国はどこですか?
日本が最もプレッシャーを感じる国。
いろんな意味で。
中国?北朝鮮ですか?韓国ですか?ロシア?アメリカ?

私の意見はアメリカです。
何故、アメリカが第二次世界大戦を起こしたか?
何故、日本を中途半端な自立国にさせましたか?
米国の東アジア戦略は、如何に日本と言うものをアメリカの傘下に置くか、という事です。
要するに日本に自由にさせたくないという事なんです。
この極東アジアの地域で。

だから日本にとっての最大のプレッシャーはアメリカなんです。
アメリカのプレッシャーから独立しようとすると叩かれる。
だから安倍政権を最も嫌ったのは、中国でも韓国でも北朝鮮でもない。
ここです。(アメリカの文字を差し示す)
自立したら困るんです、アメリカは。
だから日米同盟の意味はお互いに守りあうという事じゃないでしょ?ご存知の通り。
要するに日米同盟の意味はアメリカの威信の元に日本を置くということであり、国際政治的なパワー・ポリティクスの問題であるわけですね。

これには異論・オブジェクションいろいろ皆さんあると思いますけど、こういうような構造で見たらアメリカと北朝鮮が手を結ぶと言うのは、今日何の不思議もありません。
むしろ遅かった。
遅かったと言うのには、中国の歴史があります。
アメリカが朝鮮半島に出張っていくことには、中国は、小平以前にそんな事をやったら許されないわけですね。
中国はいまや資本主義国家以上に資本主義ですから、金が全てですよね。
お金が全ての国になっているから、今ここで北がへんてこな事をされると、それこそ株価が下がると言う世界です。
共産主義国家でなんで株価が下がる事を心配するのか?と言うと、みんな株・株・株なんですよ、中国は。
古典的・19世紀的資本主義ですよね?
だからここで何かあったら困るから、アメリカと北が手を握って、北朝鮮がそこそこ大人しくするならええやないか、という事で妥協が成立したという事です。

ここで問題になっているのは、アメリカのテロ支援国家指定解除問題ですね。
テロ支援国家解除する要件と言うのは皆さんご存知ですね?
核廃棄がひとつ。
もうひとつがよど号、それから拉致。
で、今福田さんが(アメリカに)行って家族会のメンバーが行って拉致もリンクしてくれと言ってるんですね。
テロ支援解除に要件として拉致問題も入れてくれと言っています。
これはよど号も含めてなんですけど、これはもう完全にアメリカの方の空気は「関係ない」っていう状況なんです。

よど号が非常に微妙なんです。
よど号と言うのがあるからテロ支援国家ではないんです。
よど号の事件は1970年ですから、はるか前の事件でテロ支援の要件でも何でもないんです。
ただよど号の関係者が日本赤軍・連合赤軍などを通じて、中東などでテロ行為のリンケージを持っている。
偽札のリンケージを持っている。

田中義三と言うのがカンボジアで捕まりましたけど、何をやっていたか?と言うと偽札のロンダリングですよね。
そういうことからテロ支援国家のひとつの条件として加わったんのですけども、まぁ微妙な問題です。

よど号がどうなるかと言うのが、今後のテロ支援国家の解除の問題とリンクします。
早い話が北朝鮮がよど号の関係者、奥さんや子供を含めて全員日本に帰国させる。
これで米国はテロ支援国家の指定解除をする。
で何を言うかと言うと、北朝鮮は、「よど号は勝手に来た」と言うのです。
で、有本さんとか松木さんとか石岡さんの事件も、「あれはよど号の人間が勝手に拉致した」、「後は知らん」、「そんなの関係ない」で終わっちゃう。

と言うような状況で、ここからがポイントなんですけど、よど号が帰って来たら日本の高村さんも言ってますが「一定の進展」だから日朝国交正常化へという話に走るでしょう?
それに対して救う会・家族会はとりあえず駄目だといいます。
で、私はそれに対してちょっと異論があるんです。
これは何故と言うと、よど号を帰すことによって松木さん、有本さん、石岡さんのみならず、さっきいろんな絵を描きましたね?
リンケージが明らかになってくるんです。
拉致のリンケージが。

だから私としてはよど号を早く返してもらいたい。
帰して早くゲロって欲しい。
そうすることによって特定失踪者の様々な情報が得られるかも知れない。
だからそれは小さな進展である。
ホンの一部の進展である。
だからすぐに日朝国交正常化せよ、って言うんじゃないんですよ。
早いところよど号を返してもらって、皆でよってたかって、少しでも何かこの特定失踪者の情報を得たいという気持ちが、私にはあるんです。

今のままで流れますと、進展の定義を巡って大きな食い違いが生まれて来ます。
要するに一部の拉致被害者の方が帰って来るとかした場合ですね。
それはそれでハッピーな事です。
5人でも10人でも帰って来られれば、それはそれでハッピーです。
しかし問題は、それでおしまいにされてしまう可能性が大きいという事です。

ハッピーな世界とアンハッピーな世界が明確に分かれてしまうわけですね。
アンハッピーな世界の人たちとは、この特定失踪者と言われる人たちのことです。
そこを置き去りにしないで欲しいという事を最後の最後まで言っていかなくてはいけないんです。
でも、だからハッピーな人が帰ってきてはいけない、とは言えません。
よど号なり何なりが帰ってくる、5人なりが帰ってくると、それは帰るな、という事は絶対に言えない。

5年前の蓮池さん、曽我さん、地村さんの時は、部分的に帰ってきて、「ハイこれでおしまいですよ、日本政府もおしまいにしましょうね」と、これで小泉さんも手を打ったわけですね。
しかし、あにはからんやと言う世界が生まれました。
だから、また同じ問題が起こるのです。
その時に、やはり日本人は賢くならにゃいかんと思います。

5人10人帰ってきましたのでおしまいだね、という事にはならないと思わないといけません。
帰って来る人に対して、帰るな、と言うことは無いはずです。

私としては、こういう事を、期待と言うより想像するのも嫌ですけど、繰り返していくより解決の方向性は無いのではないかと思っています。
一人でも二人でも三人でも5人でも、少しずつでもいいからとにかく返せと。
とにかく全員帰して来たら、日朝国交正常化OKと。
1兆円でも2兆円でも3兆円でもどんどんODAやればいいじゃないかと、いう事です。

そうすると怒られるかもしれませんけど、ODAって誰のためにやるんですか?
北朝鮮へのODA。
ODAをやるのは日本のためです。
日本の企業のためという事では無いですよ。
朝鮮半島は極東アジアの物流の重要な拠点ですよね?
鉄道、道路、港湾、船その他、ここがぶっちぎれているため、迂回していかなければならない。
100年後の構想には、ここに鉄道を全部敷くとかですね。
超エクスプレスとか、計画いろいろありますよね?
今、アジアハイウェイとか言って、ずっとインドシナ半島まで行って結ぼうとかいう計画がありますよね。
世界中に物流なり人の流れなりをつくろうとしているときに、日本だけがそのルートから残される可能性がある。
朝鮮半島に早いとこそういうルートを作るという事は、長期的に見て日本の利益になる。

ただし、があるのですね。
短期的には利権が発生するのです。
ここがODAの難しいところ。
ODAと言うのは本当に麻薬と言うか、悪にもなるし善にもなるんですけど、悪の方を置いておいて、善の方で見ると長期的に朝鮮半島に対してODAを投資して、鉄道だ、道路だ、港湾だ、情報だ、インターネットだと整備することによって、長期的な日本の利益になる。
しかし短期的にはいろいろ、キックバックだとか何だとか、議員の利権だとか、いやらしいことがあるから困っちゃうんですけど。

こうした認識をしたところで、私としては日朝国交正常化といっても、今の体制で日朝国交正常化をするのは嫌です。
嫌いです。
絶対駄目です。
北朝鮮が普通の民主的な国に生まれ変わった後に「日朝国交“完全”正常化」するといった方が正解ですね。

日朝国交正常化、正常化といいますけども、これには「まやかし」があるのはご理解いただけますよね?
政府が言う日朝国交正常化と言うのは、大使館を置くか置かないかだけです。
よく言われるんですよ。
「早いところ正常化すれば真鍋は自由に調査して来られるから良いじゃないか」と。
馬鹿言いなさんな、と思います。

大使館を置くだけで、真鍋がのこのこ行ってあの国で「特定失踪者知りませんか?工作員知りませんか?」ってやっていたら、すぐにお山行きって言う世界です。
お山っていうのは、強制収容所ですね。
日朝国交正常化の意味は大使館要員を交換する、と言うだけのことです。

日朝国交正常化しなくったって、今は経済制裁があるから行きませんけど、行こうと思えば行けたわけですよ、北朝鮮に。
しょっちゅう日本人が行っていたし、しょっちゅう北朝鮮からも日本にビジネスで来ていたんです。
在日の人も行ったり来たりしていたんです、制限はあるけれども。
だから何も変わらないです。
ただ、大使館を置くか置かないかと言うことです。

完全な意味での日朝国交正常化への道のりと言うのはまだまだいろんな事をやらなきゃいけない、考えなきゃいけない、というふうに思っております。

ちょっと長すぎましたか?
宜しいですか?
まぁそんなところで・・・(拍手)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このエントリーのテキストは、真鍋氏ご本人の手による加筆・修正を頂いた上で公開をしております。

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