今日のひとネタ

日常ふと浮かんだことを思いのままに。更新は基本的に毎日。笑っていただければ幸いです。

「フロムK」と「鉄槌!」

2014年07月15日 | ブックレビュー

 どちらも漫画家いしかわじゅんさんの著作です。「フロムK」は漫画で「鉄槌!」は活字のみ。「フロムK」は漫画アクション連載中に毎回読んでて、単行本が発売されるとすぐに買いました。単行本発売は1989年9月です。25年前ですが、今でも時々引っ張り出すと新しい発見があったりします。

 これはなんというジャンルになるのでしょう。いしかわさんが自らの身の周りに起こったことを描くもので1回は4ページ。いしかわさんはもちろんアシスタントや編集者、知り合いの漫画家など様々な業界人が登場します。なにしろ今をときめく(?)杉作J太郎さんはちょくちょく出るし、映画評論家としてすっかり有名になった町山智浩さんは当時宝島の編集者で「バカの町山」として一度だけ登場してます。

 それで、そのいしかわさんがスキー帰りの高速バスで、休憩中にトイレに寄った際に置き去りにされてしまうという事件が起きます。何しろ雪の中に取り残された上に、他のバスに拾って貰って追いついたときも先のバスの乗務員が謝りもせずヘラヘラ笑ってたと。その話を「死んでたかもしれねーんだぞ バカヤロー!」と「フロムK」に描いたところ、なんとそのバス会社から名誉毀損で訴えられてしまいました。

 そのバス会社は出版社にとってはスポンサーであって、弱腰になる出版社を尻目にいしかわさんは自らの名誉と正義を守るために単身立ち上がって裁判に臨み…という経緯を書いたのが「鉄槌」です。ただ、この「鉄槌!」が出版されたのは2000年9月。「フロムK」の出版の11年後です。

 「フロムK」のあともいしかわさんは漫画家としてのみでなく、テレビのコメンテーターから漫画評論までより一層活躍しているわけで、この圧力で社会的に抹殺されたわけではないのは知ってましたが、この裁判の決着がどうなったかは知りませんでした。なにしろ私が「鉄槌」を読んだのが先月なので。

 この話に興味のある人は是非「フロムK」と「鉄槌!」を読んでみて下さい。「鉄槌!」を読んで、裁判というかそれにまつわる人間関係が予想外の展開を見せるところに非常に驚かされたわけですが、素朴な感想として「素人が裁判に関わるのは大変」「弁護士の仕事ってどうなってんの?」など。ただ、これらの作品はどっちも中古でしか買えないようですね。残念。