今日はとても寒いので、
飛蔵の似合う日だなと思いました、
なのでちょっとだけ
飛蔵。
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「さむ…」
さすがに冷たい風には我慢が出来ず、蔵馬は両手をこすり合わせた。
21時、もう駅前ははしゃいだ若者は少なくなり、
仕事帰りで急ぎ足の人ばかりだ。
長い髪は肩の辺りで少し揺れた。
マフラーがあっても、寒さは体を刺すようだった。
心なしか急ぎ足の人が多く、蔵馬も少し急ぎ気味になっていた…。冬も近くなり、
この時期帰りが遅いのは余り嬉しくない。
電車でふと写った顔も疲れていて、今日は何…買って帰ろうと思い…ふと、
見えたもの…自動販売機の前で立ち止まった。
缶コーヒー――普段は余り気にならないものでも、寒い夜には気になってしまう。
あ――。
小さく息をついて、蔵馬は少し笑った。
――好きなミルクティがあった。
少し濃い甘さが好きだった。
小銭を入れて――ガチャ、と言う音がした。
飲みながら帰ろう――そう思い、紅茶を取り出す――その瞬間。
「――え?」
何…が、手に重なった。
冷たい――でも覚えのある――。
「寒いだろう」
低い、声――。
「飛影――?」
振り返るその瞳は大きく見開かれて――。
「帰らなくて良いのか」
この気配…。飛影――。まさかと思いながら、聞こえる声は確かなもので。
「どうし、て」
包むような妖気…飛影以外に、こんな気配はない。
かじかむ手に重なる飛影の手は冷たく…けれど直ぐに、温もりに変わった。
「なんて顔してる」
呆れたような声が響いて、小さな肩が震えた。
「だ、だって…まさか」
こんなところに来るなんて。
「来ちゃいけないか」
「そんな…」
でも、いつの間に…どうして、頭の中を駆け巡るものが、言葉にまとまらなかった。
「俺だって、会いたくなるときがある」
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