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野田地図 NODA・MAP 第17回公演 『エッグ』

2012-10-25 | 舞台/DVD

東京芸術劇場で、野田地図 NODA・MAP 第17回公演 『エッグ』 10月24日 開演14:00 を観てきました。

※若干のネタバレがありますのでご注意くださいませ。

【作・演出】野田秀樹
【音楽】椎名林檎
【美術】堀尾幸男
【照明】小川幾雄
【衣装】ひびのこづえ
【音響・効果】高都幸男
【振付】黒田育世
【映像】奥秀太郎
【美粧】柘植伊佐夫
【舞台装置】瀬崎将孝
【キャスト】
妻夫木聡:阿倍比羅夫
深津絵里:苺イチエ
仲村トオル:粒来幸吉
秋山菜津子:オーナー
大倉孝二:平川
藤井隆:お床山
野田秀樹:劇場案内係・芸術監督
橋爪功:消田監督
【ストーリー】
集団就職の女学生を引率してきた女教師が登場。そこから、時代と虚構が錯綜しつつ、寺山修司脚本の『エッグ』という物語が始まっていく。
そもそも“エッグ”とはなんなのか? ただのスポーツではなく、実は第二次世界大戦時の満州で起こったあの忌まわしい細菌兵器に関わることだった。。

公式HPはこちらです → 野田地図 NODA・MAP 『エッグ』 


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最初の舞台装置は、劇場改装を思わせるような灰色の建築資材が舞台上にごろごろ。物語が始まると、可動式(キャスター付き)ロッカールームのロッカーが幾つも並び、その中を登場人物たちは出入りを繰り返し、ロッカーやシャワーブースやそのほかいろいろなものに転用されていきます。このあたりはとても演劇的で好きなテイストではありますね♪

時代と空間が錯綜し伏線が張ってありますけど、夢の遊眠社を思えば、ぐっとわかりやすかったですね。入れ子式の多重構造で訳がわからないということはなくなっています。
近年、野田さんの作品は生々しくなり、言葉遊びもなくなり、台詞も聞き取りやすく、あの異常なまでのスピード感とエネルギーはなくなりました。当時、言葉遊びが多いうえに、台詞が早すぎて耳がついていかないので余計に訳がわからず、わざわざ脚本集を購入したくらいです(笑
虚構の卵を使ったスポーツ“エッグ”。これはただのスポーツではなく、細菌兵器を作る作業をスポーツに見立てたものだったというくだりにぞっとしました。。
笑って観ていたのがこれだったとは。。という感じです。時代、戦争、格差、貧困、これらの上のほうでいつもそつなく、自分たちの利益と保身だけに生きている階級のものたち。歯噛みするような憤りと気持ち悪さを感じました。
ラストシーンにも救いはなく、胸に棘が刺さったような気持ちになりました。天井近い丸窓から差し込む光がとても悲しく、けれど美しく人物に降り注いでいたのが印象的でした。

野田秀樹さんはストーリーテラーのような存在で登場しております。どうしてこの方の女装はおかしいんでしょうね?かなり好きです♪
主要キャストのみなさんはどなたも身体表現ができていて、笑いも滑らず、上手くておもしろかったですね。千秋楽も近く、芝居自体がこなれてきているのだと思います。
特に、大倉孝二さんはナイロン100℃で鍛えられているのか、あの長身で軟体動物のような柔らかな動き、瞬時にふにゃっと脱力できる身体能力には驚きます。
意外だったのは、妻夫木聡さんが思っていたより動けて嫌味なくおもしろかったことです。大倉孝二さんほどではないにしろ、くるっという感じで自然に崩れ落ちたりしていましたし。結構、難しいと思うんです、自然に脱力して倒れたりする演技って。どうしても、「これから倒れるぞ!」というのが観客にわかってしまうことが多いですし。あくまでも演技なわけですし、自分も怪我しないためには必要なんでしょうけど、それが観えるとこちら側は瞬間的にでも現実に戻ってしまうんですよね。。正直、いただけないです。
仲村トオルさんは、がんばってこのカンパニーについていったという感じです。役柄とはいえ、もう少しご自身の魅力が全面に出ているとよいかなぁ~などと思いました。
深津絵里さんはお綺麗なのにかっ飛んでいてそれでいてどこかかわいらしく、やっぱり素敵な女優さんだと再確認いたしました。
秋山菜津子さんはすごい存在感と迫力で、酷薄さが見事に出ておりました。
藤井隆さんも意外にすんなりとこの場になじんでおり、悪目立ちしなくてよかったですね。最近、お笑いの方が舞台に出演されることが多くなってきていますけど、本業の方より自然体で上手かったりするこもままあり。本業の方々にはがんばっていただきたいものです。
橋爪功さんは映像でもどの役をおやりになっても、全て「橋爪功」になってしまうのに、やはり上手いしおもしろいのは何故なんでしょう? あの飄々としたさまは誰にも真似ができませんね。

カーテンコールは3回。特にキャストの紹介などはなし。

あ。。俳優の吹越満さんご来場でしたよ♪ ほかにも俳優さんたちがいらしていたようです。ほかの方は未確認ですけども


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終演後の夕暮れ時の東京芸術劇場。池袋駅西口から斜め左側に直進、徒歩2分。ものすご~くわかりやすい場所にあります。




正面入口付近にある人型のトピアリー、なんだかおもしろい^^ 使ってある植物はなんだろう。。?




購入したパンフレット、1000円也。椎名林檎さんのCDとセットだと3000円だそうです。ぱかぱか売れておりました~




今回のフライヤーから気になるものを♪ 12月の観劇予定はまだ2本だからチケット購入を検討中。




こちらの『祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~』、KERAバージョンはすでにチケット購入済み♪ 蜷川バージョンは先行抽選待ち、どうか抽選に当たりますように。


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余談です。
物語上にあった細菌兵器、ワクチンの製造に卵を使うというのがあります。確かにワクチン製造には卵、鶏卵を使用するんですよね。
実は私、以前に某研究所に勤務していたことがありまして。といっても、普通の事務ですけどね(笑
そこでは研究以外にワクチンの製造も行っており、インフルエンザワクチンは卵を使って製造し、凍結乾燥(フリーズドライ)して製品になります。製造棟は独特のむわっ~とした匂いが立ち込めていて、慣れないと結構きついかもしれないですね。
なんてことを、またぞろ思い出したのでした。


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