つれづれな日々のつぶやき♪

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「演劇のはかない一夜は人生のように愛おしい」

2009-10-04 | 言葉/エッセイ



09.10.4付けの朝日新聞、朝日求人の「仕事力」に、劇作家・演出家・役者の野田秀樹さんが文章を書いていました。
20代の頃からずっと作り続けている芝居のこと、演劇が文化に与える影響についてなど、平易な表現で率直に現実もふまえて書いてありました。


(前略)
演劇もビデオ化されるようになりましたが、やはりこれほど再生しにくいものはなく、現場で味わったものはたとえ翌日でも再生できない、非常に「はかない一夜」があるわけですね。だから芝居を演じてその感覚を味わうと、親からいくら責められても、人からつまらない芝居だと言われても戻れない(笑)。お金にはならない職業なのに、ずっと演劇の世界で生きていく理由はその魅力にあるのかもしれません。
(中略)
 この再生文化最盛期の時代に、演劇は影響を与えるかと言えば、それは非常に小さいものでしょう。生涯演劇にまったく関係なく死んでいく人のほうが膨大に多いわけですから。ただ、送り手の思い込みとしては、目の前で、生きた人間が汗を出し、声を出す姿は本当に強い。だから長くその感覚が続いて、後の人生のどこかでフラッシュバックするように出てきたり、突然理解出来たりする瞬間が訪れると思っています。
 もちろん、感動して「ああ、よかった」と涙を流し完結してしまう芝居がいいという人もいます。カタルシスを与えて、泣かせるのも演劇の力の一つですよね。でも、僕が信じている演劇の力はそうじゃない。観た時には完璧に理解されず、「あれはなんだったんだろう」ということがあっても、それをため込んで持っていてくれればいい。
 おそらく文化や芸術というものは、演劇はもちろん、美術や音楽も含めてそれに触れるたびに、ずっと長く人間の中に蓄えられて人生の底に流れ続けていくのだと思う。何かすぐに答えをくれるわけでもなく、能力が飛躍するわけでもない。でもだからこそ、人生がギスギスしないように生きるには必要なのだと思います。


とても素敵な文章と言葉だと思いました。
僭越ながら自分が常々感じていたことと、重なる部分が多かったので、感慨深いですね。。

また舞台を観に行きたくなりました♪

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