散歩のついでに、自家製パンを作って販売している店に立ち寄った。
もう夕やみ迫るころで、ウリの菓子パンや調理パンはかなり少なくなっていた。
棚の高いところにある食パンが目に入った。
ビニールの袋の口を開けたまま陳列している。
焼きあがった後の湿気を飛ばしているらしい。
「ホヤホヤよ」という感じに惹かれて、買ってしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/d9/44738caa31b32caf054372e4c82eaf98.jpg)
帰宅して、トーストもしないで一枚を食べた。
やわらかすぎて、パンではない物を食べている感じ。
ほんのりとした甘さと切なさが口に広がる。
高校生の時、
木炭デッサンするためにパンを一斤買ったっけ。
真ん中をごっそりとちぎって、半分食べて、半分を手の中で丸めて
イーゼルに架かったデッサンに向かう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/73/d94ffc2da59ea2b6337212f56c4bafc4.jpg)
ハンサムな石膏たちを見つめて息をのむ。、
暗くて静かな美術室の壁際で、
どこか遠くを見つめている
遠い国の、遠い昔の
英雄たち、
その視線の先が見えなくて、
もどかしく、ちょっとさびしかった午後。
あのときの味!
食パンの味!!