アルキスト
このことばは、「まさこ造語」です。
どこのうちにもあるでしょう。家の中だけで通じる言葉。
かつて、連れあいと私は、午後になると「アルキストしようか」
と、連れだって家を出たのです。
何のことはない、ただの散歩です。
自転車やバスでも楽な道だったので、
あえて歩くときは、「アルキストする」のでした。
最近、ふたたびアルキストをしています。
よく歩いた頃を思い出したのです。
子どものとき、歩くのはとても好きだったのも、思い出したのです。
体育なんか好きではなかったのに、
歩くのだけは平気でした。
人間の足って案外力があるんですね。
一歩一歩は小さいのに、一時間もすると遠いところへ移動しています。
初めての道!
見たことがない横町!
全く未知の世界が開けて、知らない場所に旅人のように立っているのです。
町田市では、散歩に出て帰ってこないお年寄りの行方を尋ねる放送が
時々流れていますが、
人の心配をよそに、
ほんとうは、素敵な道や、町角や、花園で帰る時を忘れてしまうのかもしれないと、
ふと、思うのです。
まだ、私は、それほどの、どきめく場所を発見していないのですが。
次の角を曲がったら、まだ見ぬ世界があるかもしれない。
そんな夢を見るアルキストでいたいものです。
はや、山茶花の咲く朝の散歩道