急に飼っていた鳥のことを思い出した。
彼は人の言葉もどきをしゃべったから、たぶん雄だと思う。
彼は、巣箱の上にちょこんと座って、ふかした芋や、炊いたご飯を喜んで食べる鳥だった。
ふかした芋。
彼は少し発酵して酒臭くなった芋を喜んで食べて、鳥のくせに酔っ払って暴れていた。
白米は炊いたご飯のにおいが部屋に漂うと、食べたくて鳴き声でアピールした。
その彼は、忘れもしない昔の同僚の誕生日に虹の橋のたもとに旅立った。
彼がまだ生きているとき、もし、彼がいなくなって、主なき巣箱を見たらどんなに寂しいだろうと思ったのであるが、そのことはすっかり忘れ、今、不意にそのことを思い出した。
彼は亡き父の初七日の日にうちに来た鳥である。
瀕死の状態で、助かるかなあと思ったが、母と妹の懸命の看病で生きながらえた鳥。
そういえば、明日は亡き父の誕生日。
彼を思い出したことも偶然ではあるまい。
そんなことを思った、ИКМТであった。