巨樹に魅せられて

巨樹巡りを趣味としていますが、気がつくと神社巡り。その周辺の話題もココに書き留めています。

「日本の凄い神木」(本田不二雄著, 2022年)

2023-03-17 07:46:38 | 
という本が昨年発行されました。

「地球の歩き方」シリーズの一冊です。
こんな風に近年、巨樹の本が出版されたり、
テレビで巨樹特集番組が組まれたり、
巨樹ファンとしてはうれしいことです。

ひとつには、
SNS(Instagram、FB、Twitter)の影響があると思います。
実数としては少ない巨樹ファンがこぞって投稿し、
知り合いになれるのです。

日本の凄い神木」(Gakken)に掲載された写真にも、
私がインスタで知り合いになった巨樹マニアの作品が入っていますし。

著者の本田氏を取材した記事が目に留まりました。
神木探偵」の著者でもあります。

気になる「木」 命感じて
 人々が神聖視 災禍生き抜いた巨樹を巡る
 ガイド本「地球の歩き方」シリーズで、全都道府県の神木や巨樹を秘話や歴史とともに紹介する「日本の凄(すご)い神木」(Gakken)が昨秋、出版された。東京23区内にも震災や戦災をくぐり抜けた巨樹はあちこちにある。この本の著者で、寺社や仏像のミステリーを探究する神仏探偵の本田不二雄さん(59)に案内され、本に収録された木を巡った。
 都営三田線白金高輪駅から徒歩五分。かつて熊本藩細川家の下屋敷があった港区高輪地区総合支所裏手の高台に「旧細川邸のシイ」(同区高輪一)はそびえ立つ。「いい。幹囲が八メートル以上あるのは相当大きいね」。本田さんは見上げながら目を細めた。
 主幹は切断されているものの、樹高は十メートル以上。一部の根が土から浮き出て、ところどころ表面の木皮も剥がれている。本田さんは「それでも周囲に若木を張り巡らせる。知られざる都心の主だ」と力を込める。意識してみると、度重なる震災、火災を乗り越えた命の力強さを、確かに感じる。だが、近隣住民らしき人は見向きもせずに、通り過ぎていった。
 本田さんによると、東京の神社や寺の境内で見かけるのはイチョウの巨木。他の木に比べ、葉や幹に水分が多く含まれるため燃えにくく、防火のために植えられたという。
 なかでも善福寺(港区元麻布一)のイチョウは圧巻。寺のホームページによると樹齢は推定七百五十年以上、都内最古の古木で、国の天然記念物の指定を受けている。根がせり上がり、乳と呼ばれる大きな気根が垂れている。
 寺によると、訪れた親鸞が立ち寄った記念に、持っていたつえを地に差したところ、枝葉が繁茂したと伝わる。一九四五年の東京大空襲で本堂が全焼した際、イチョウにもかなりの被害があったが見事に再生した。秋には見事な黄金色に輝き、見物に訪れる人も少なくない。
 東急大井町線等々力駅から徒歩十五分。閑静な住宅街の中にある善養寺(世田谷区野毛二)には、優美な大カヤがたたずんでいた。環境省のデータベースによると、樹高約二十メートル、幹回り五・四メートル。地面近くに、緑の葉をつけた枝がしだれ、幹がせりあがる。大きなうろの中には石造りの五輪の塔が奉安されていた。
 カヤには伝説がある。寺の長老真保龍敞(しんぽりゅうしょう)さん(89)の話では、寺近くの野毛大塚古墳に眠る姫が、多摩川べりのサワガニの親子を助けた際、お礼にもらったカヤの実が成長したという。
 樹齢は相当古く、高齢の大樹を枯らすまいと、年に二、三回、土を掘って栄養剤を与えている。「歴史を見てきたカヤは寺の象徴。これからも保護していかなくては」と話した。
 この本では、人々から神聖視されている全国の巨樹、神木約二百五十柱を紹介。東京二十三区内にある巨樹として、ほかに「新田神社の御神木」(大田区矢口一)も収録されている。この四柱はいずれも、災害や空襲を乗り越え、人々が何らかの形でかかわり、生き延びてきた。
 だからこそ、本田さんは言う。「身近なところに巨樹はあるし、どの木も見れば、圧倒的な命の力強さを感じられるはず。本を通じ、自分の町の、自分だけのご神木を見つけてもらえたら」
 文・山下葉月/写真・由木直子、中西祥子

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