今年、Wツールに世界選手権を征しトリプルクラウンを達成したタディ・ポガチャルの強さばかりが際立つUAEチーム・エミュレーツですが、ツアー・ダウンアンダーから始まったワールドツアーでは、いきなり第2ステージでラヴニール覇者デルトロがプロ初勝利を飾るも、勝負どころのウィランガヒルで遅れ、総合優勝を逃していたのです。
UAEが最も得意とするタイムトライアルが無かったことと、前年の覇者ジェイ・ヴァインを欠いたことが影響したのだと思っていたら、今年のUAEは中東のレースでもなかなか結果が残せず、地元開催のUAEツアーでは個人TTで表彰台を独占したものの、エースのアダム・イエーツがリタイヤし、終わってみれば、22歳ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)に総合優勝をさらわれ、表彰台すら逃すという失態をさらしていたのです。
ところがポガチャルがストラーデビアンケを圧勝するとチームの潮目が変わります。その翌週に行われたパリ~ニースではチームTTで表彰台を独占。レムコ・エヴェネプールやプリモシュ・ログリッジが参戦したレースで、天候も味方したとはいえ、ポガチャル抜きでのこの結果には驚かされました。
一時は1位ブランドン・マクナルティ、2位がフィン・フィッシャーブラック、3位にジョアン・アルメイダ、4位はジェイ・ヴァインというメンバーが表彰台を独占していたのです。流石にレムコや今季からヴィスマに移籍したマッテオ・ヨルゲンソンは強く、登りで差を付けられてしまいましたが、マクナルティが総合3位、チーム総合では優勝しているのです。
同時期開催のティレノ・アドレアティコではフアン・アユソが初日の個人TTで現アワーレコードホルダーのフィリッポ・ガンナを1秒上回るタイムでステージ優勝を飾りました。最終的にはツールを連覇中のヨナス・ヴィンゲゴーには敗れたものの、総合2位。チーム総合は優勝となっていたのです。
共にツールのエース級を相手にアシストだけでこの結果は流石UAEというべきでしょう。4月にヴィンゲゴーやファンアールトが大きな落車事故で戦線を離脱し、ヴィスマ・リアースバイクは序盤の勢いを失ってしまうのですが、チームとしての81勝はヴィスマの倍以上にもなるのです。
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