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2024年のUCIロードレースが幕を閉じました。今年のツール・ド・フランスはポガチャルのWツールがかかった大会となり、開幕前からパンターニ以来の26年振りのWツールの可能性を考えて来ました。問題はジロ・デ・イタリアを圧勝したポガチャルにどのくらいのダメージが残っているかでしたが、迎え撃つヴィンゲゴーも落車骨折明けとあり、むしろヴィンゲゴーの3連覇の方が難しいだろうというのが、私の見方でした。
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灼熱のイタリア南部からスタートした今年のツールは、フランス人選手の連勝で幕を開けました。初日にチームメイトと共に逃げたバルデが勝利し、最後の参戦となるツールで自身初のマイヨジョーヌ獲得という悲願を目撃することになりました。フィレンツェからリミニまでの206kmの丘陵ステージでしたが、残り50kmでプロトンを飛び出したバルデは、先に逃げていたファンデルブルックと合流し見事な逃げ切り勝利を飾り、待望のマイヨジョーヌに袖を通すことになったのです。
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2016年には総合2位という成績を残していたバルデがマイヨジョーヌ着用が初めてというのが逆に驚きでした。若くしてフランスの期待の星としてもてはやされたバルデも36歳となり、ツール参戦は今大会が最後だと表明したばかりだったのです。
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今年のツールは初日から激しいアタックが繰り広げられ、終盤にはプロトンは40名ほどに絞られるという厳しい展開となりましたが、総合を争うビッグ4はプロトン内で様子見という感じでした。そこを見逃さずに飛び出したのは流石のバルデといったところでしょう。
2日目は灼熱のサンルーカで勝敗が決しました。イル・ロンバルディアの前哨戦、ジロ・デッレミリアでお馴染みの激坂サンルーカ。気温が30度を超える灼熱のサンルーカを征したのはフランス人のヴォークランでした。イタリアの地で何故かフランス人が勝つという不思議…ツールに懸けるフランス人の想いの強さなのでしょう。初日からのフランス人選手の勝利は56年振りだそうです。
初日で総合争いから大きく遅れた選手達の逃げから生まれたステージ優勝で、本気の戦いは後続集団で起こっていたのです。1度目のサンルーカの登り口で10分あったタイム差は、2度目のサンルーカではワウト・ファンアールトとティシュ・ベノートのヴィスマ・リースアバイク勢がハイペースで人数を絞って行きます。
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ここでヴィスマが動くということはヴィンゲゴーの調子は悪く無いのかと思っていたら、ポガチャルがアタック。ヴィンゲゴーが食らいつく。昨年のジロ・デッレミリアでポガチャルを下したログリッチが遅れ、2日目にして総合争いかと思われたのですが、フィニッシュまで続く下りと平坦路ではヴィンゲゴーも先頭交代で協調を見せます。ライバルたちとの差を拡げることで二人の利害が一致したのでしょう。
平坦区間に入りペースの落ちたポガチャルとヴィンゲゴーには、猛追したEFのリチャル・カラパスとクイックステップのレムコ・エヴェネプールが合流。カラパスを先頭に2分21秒遅れでレースを終え、ビッグ4の中ではログリッチだけが21秒を失う結果となったのです。今季からボーラ・ハンスグローエへ移籍したログリッジですが、この大会からレッドブルが新スポンサーになったものの、肝心な本人に往年の力はないように見えました。タイム差は大きくありませんでしたが、大会2日目にしてビッグ4がビッグ3になってしまうのでは…
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