![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/ec/ad1fa5f363020fae97aac82fefe6b854.jpg)
今年のツール・ド・フランスも最終週を迎え、マイヨジョーヌの行方が見えて来ました。前日は平坦ステージということもあり総合上位に動きはありませんでしたが、続く第17ステージでは逃げが容認されたものの、後方で総合争いはポガチャルが積極的な動きを見せ、微妙ながらタイム差が付いてしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/f0/a2302748588593e9b10a3dd47c662d0a.jpg)
逃げ集団にいたラポルトとファンアールトにべノートまで下がりタイム差を最小限に留めたヴィンゲゴーですが、総合3位のエヴェネプールにはタイムを縮められるという予想外の事態になっています。何よりアルプス3連戦の初戦でヴィンゲゴーがライバルに対し隙を見せてしまったことは、今日からの最も厳しい山岳ステージでは不利に働くことは間違いないでしょう。
総合を争うチームが逃げを容認したため、EFのカラパスには最大のチャンスが訪れました。ここまで何度も逃げを試みたものの、総合争いの煽りを食ってステージ優勝を逃し続けていましたが、総合上位勢を除けば登りでの脚が際立っていたカラパスがツール初勝利を飾りました。これまでジロの総合優勝やブエルタでのステージ勝利はあったカラパスですが、ツールでのステージ優勝はありませんでした。昨年もイネオスから移籍してEFのエースとしてツールに臨んだのですが、初日の落車で早々にリタイヤしていたのです。3年前には東京五輪で金メダルを獲得しているので、この程度の走りを見せても不思議の無い選手だったのですが、ツールではポガチャルやヴィンゲゴーといった化物たちの存在ですっかり影が薄くなっていたのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/7a/00fc96287aad411beaf216571fb1f0f1.jpg)
今年は序盤タイム差無しの順位でマイヨジョーヌも身に着けていたのですが、次の日にポガチャルの強烈なアタックの前にマイヨジョーヌをポガチャルに奪われてしまい、マイヨジョーヌはその後ずっとポガチャルが守り続けているのです。そのマイヨジョーヌの行方ですが、ほぼポガチャルで決まりかけているようです。2位ヴィンゲゴーには3分11秒、3位エヴェネプールには5分9秒というタイム差はポガチャルにアクシデントさえなければ逆転は難しい数字です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/9b/a35dedc6ef8e0f75d792ff98a66946ba.jpg)
この日のステージは逃げを容認したことで総合争いは無いと思っていたのですが、最後の1級山岳でポガチャルがアタック。ステージ優勝争いは数分も前で行われていたのですが、ヴィンゲゴーの様子を見ての動きだったのかもしれません。遅れてアタックしたエヴェネプールにも遅れととったヴィンゲゴーはここにきて初めて弱点をさらすことになってしまいました。昨年のポガチャルがそうだったように、怪我明けの急仕上げの反動が最終週に出るパターンなのでしょうか?
ただ、逃げ集団に3人もチームメイトを乗せていたヴィスマはラポルト、べノートやファンアールトまで降りて来て懸命にヴィンゲゴーを引き上げ、何とかポガチャルには追い付いたものの、ゴール前のアタックにも反応できず、ポガチャルに2秒のタイム差を与えてしまったのです。エヴェネプールはさらに15秒タイム差を奪っていたのです。
横風分断を狙ったアタックが戦でバラバラにされたUAEのアシスト陣には心配はありますが、今年のUAEはアシストの役割が明確にされていて、この日離されたアシストも今日に備えて脚を休めていた可能性もあります。新型コロナの影響で早々にアユソを失っているUAEはこれ以上アシストは減らせないので、無理をしなくて良いステージではアシストを休ませるという選択をしている可能性はあります。
今日からは獲得標高が4000mを越えるアルプス決戦が始まりますが、ポガチャルはあくまでもヴィンゲゴーマークで、隙あればアタックしてタイム差を広げれば良い状況なのは圧倒的に有利なはずです。意外だったのはエヴェネプールの成長でした。もしかしたら総合2位と3位が入れ替わることはあるかもしれません。
ジロの時もそうでしたが、ポガチャルのアタックに即座に対応した選手は潰れて行ったのを思い出しました。第15ステージでエヴェネプールがポガチャルのアタックに無理について行かなかったことが吉と出るかもしれないのです。
この日のポガチャルは落ち着いていて、逃げに乗っていたメンバーがヴィンゲゴーに合流することを予想し、下りで踏み止め後続の合流を許します。エヴェネプールのアタックには反応せず、相手はヴィンゲゴーひとりと決め、最後にもアタックを見せ2秒というタイム差を開いて見せたのです。これは第11ステージのリベンジにも見えました。大人に成長したポガチャルはWツールへの道を着実に歩んでいるようです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます