大同マルタ会

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ポリネシアの民族衣装

2016年02月07日 | 文化
大学美術工芸資料館蔵

ポリネシアの民族衣装「タパ」

2013年の大同コレクション「京都からアフリカへ」展で、会場の京工繊大 美術工芸資料館 第四室の入り口附近に、人の背丈を超す大きなボーダー柄のユニークな民族衣装『タパ』があったのを、覚えておられる人は多いでしょう。
大同コレクションの中には、もう二度とつくれない貴重なプリントが沢山ありますが、こんな大きな見事な「タパ」も、今では現地でももう見られない。

地球は約13.000年前最後の氷河期が終わり、石器時代に入った。狩猟・採取の時代から農耕・牧畜の時代に移行し、人類は肥沃な土地に定住し始めた。最初、動物の毛皮を纏っていた「衣服」も、小枝や蔦から籠や網を作った技術で、植物や動物の繊維から「糸」をつむぎ、それを織ったり編んだりして「布」をつくり、着るようになった。
世界の国々に古来から伝わる民族衣装は、それぞれ独自の形・デザイン・文様・色彩を持ち、それを表現するためにその染織技術を発達させた。9,000年前、麻の手細工の小片がトルコの遺跡から、またエジプトの遺跡から6,500年前の織機で織った麻の織物が発見されている。棉を紡いで織った物は5,500年前のものがパキスタンの遺跡から発掘されている。

布の歴史はこんなに長いのに、ポリネシアの人達は近代まで、「タパ」という樹皮布を纏っていた。南の島で、年中裸で暮らす人々には織物の文化がなかった。「タパ」は和紙のような不織布に独特のプリントをした儀式や踊りの衣装である。
原料は桑科の梶の木、内側の樹皮を剥いで水に浸し、柔らかくしたものを木の槌で叩き伸ばす。折り畳みまた、叩き伸ばすことを繰り返し、2~3日かけて、薄く平らにする。大木を横にした台の前に並んで、「タパ」をつくる女性達の歌に合わせて、リズミカルに叩く音が島々の村でよく聞かれたという。6~7倍くらいに伸ばし薄くなったものを複数枚、叩いてつないで大きな1枚にする。
模様を附けるには、手描きと型を用いる方法があり、広い地域に散らばった島々によって夫々模様は違う。特に、大同コレクションの「タパ」は、最も技術の高いものと言われるトンガ、フィジー諸島のものが集められている。型染めには広い葉を持つバナナやパンダヌスの葉に文様を切り抜き、我が国の型友禅と同じ孔版捺染技法である。彩色は自然の顔料を使ったアースカラーが独特である。
また、面白いのは左右上下長さが不揃いなのに、数を変えて幾何学模様を繋ぎ、少しぐらい形が斜めになっても気にしない。花や幾何学模様で中心を埋め尽くした明快な文様である。大同はアフリカの輸出柄に、こんなデザインも参考にしたのでしう。

先月末の同染会に大同OB 61名が集まり、捺染の話に花が咲きました。ワックス・カンガのボーダー柄を懐かしく思いだしました。        
 東山十条85