大同マルタ会

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オランダから見た大同染工

2017年10月26日 | 技術
     オランダから見た大同染工 ーⅠー
 
1961年ブリシンゲン社の技術者が極秘に大同染工を見学した報告書から

 京工繊大の上田 文先生とオランダに同行された法政大学の杉浦未樹教授はアムステル大学客員研究員を務められたこともあってオランダ語が堪能である。
(専門は『近世オランダを中心とした流通史』)
 先生はオランダで繊維製品の流通を調査している中で、フリスコ社で大変なものを発見された。それはフリスコ社の前身「ブリシンゲン社」の技術者であるH.Rodenburg氏が1960年、極秘に大同染工を見学した8頁もの詳しい報告書である。このほどその 翻訳文をいただいたので概要紹介したい。
冒頭、「大同染工は日本で最良の捺染会社である」と嬉しい〈書き出し〉から始まって、驚くほど正確に、工場の内容を的確、詳細に報告している。当時、彼らオランダが、日本や大同の何に関心をもっていたか知ることが出来て、実に興味深い。

「1ヵ月の総生産量は400万ヤード、90万ヤードがオートスクリーンプリントで、残りはローラープリントである。310万ヤードの中、単色プリントは60万ヤードと予想される。従って、ローラープリントは250万ヤードと考えられる。
ローラープリントの正確な生産量を知ることが出来たのが興味深かった。」
【 注: 彼は、防染捺染を60万ヤードと予想して、地色はローラーの2度捺〈しごき〉で行うもの(単色プリント)と推定している。大同防染技法の実際は〈しごき捺染〉を使わず、地色はパッディングの連続染色で行っていた。従って大同は2度捺染を殆ど使わず、実際は310万ヤード全部ローラー捺染生産量である。 逆に彼らの防染地染めは「しごき」の2度捺染の技法が主であることが伺える。防染の割合は大同も彼の工場でもこんなものか。】

「従業員は事務員を入れて 850人、工場は特に男性で占められていた。我々の工場で男性が配置されているところ(捺染、色調合液場、加工機械)は大同でも男性だ。」
「漂白は今年建設された新しい建物で行われていた。ベントラー連続精練漂白機が設置された新工場は、航空図で場所を示してくれたが、作業は見ることが出来なかった。話を通じてわかったことは、綿、T/Cはベントラーで強力な漂白剤クロライトを使っている。」
【 注:その後すぐ、〈クロライト漂白〉は、作業者の健康面を考慮し、〈過酸化水素漂白〉に切り替えている。】 

以下 彫刻、ローラー捺染、オートスクリーンプリント、仕上、製品仕立検査、と職場毎に詳細な記述が続く。特に「彫刻」の写真彫刻技術をドイツから導入するニュースを知っていて、注目していたのには驚くほかない。


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1 コメント

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貴重なレポートありがとうございました (座敷童子)
2017-10-26 10:47:56
1961年といえば昭和36年、私の入社4年前です。
もうその頃に大同染工は世界一流だったのですね。驚きました。
その頃の欧州では素晴らしい技術を持っていらしたにも関わらず、京都の捺染工場を訪れて賛美の声を上げられていたとは、大同がいかに素晴らしかったのか想像つきます。
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