村
ようやくついた
その村は全体が
左右対称性でできていて
上下もそうなっていて
なんていったって
それは、鏡の村?
鏡ではないのだ
はじめてのひとは
まよってしまうので
村の中心にヤグラがたててある
けれども右から左をむいたとたんに
あたまのさきからあしのさきまで
たとえば右目が左目になり
右足が左足になるので
しるしをつけておかないと
自分の右目はほんとうはどっち?
自分の右足はほんとうはどっち?
そんな不安に襲われる不思議な村です
鏡の国ではないから周囲は解放されている
左右はわかったが、でわ、上下はどうなっているの?
両方とも空だったらシュールレアリスム
下の空から上の空をみあげることだってできる
両方とも大地だったらファンタジー
上の大地から下の大地をみおろすことだってできる
そんなながい夢を
夕べから朝がたにかけてみてしまった
眼が覚めたら何所にいるのかわからない
たしかに夢のような夢の村にいるはずでしたが
そっと
そっと、なにかを、みる
なにを、そんなに、そっと、みる
かくれている、真実を
そっと、みる
すてられた、真実を
そっと、みる
そっと、そっとって
精力がひつよう
生命線のはてるところまで
そっと、そっと、そっと
そっとが
ひょっと
ひょっとが
もっと
もっとが
ちょっと
ちょっとが
なめすぎた飴玉のように
きえかかる
はきだしてみたら
そっとが
そっと
きえていた
おまけに
真実も
きえていた