居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

らしい僕

2012-12-16 16:33:46 | ポエム

らしい僕

                    

 

僕がぼやけて
あっさりとすがたをけし
本になって
図書館にいる、と
さる人が
つい、さっきおしえてくれた
ポスターにも蜘蛛のデザインで
発表されていると

僕は蜘蛛の巣になっているらしい
細い糸の手足をのばして
大の字になっているらしい
そのポスターは
いつか、想いが痩せた日に
僕が描いたものらしい

らしい言葉ばかりが吹いてくる
それは僕の好きな、らしい言葉
らしくないより、らしいほうが
僕は好きだ
ひとは、らしいのではなく
明確な手足をみる眼をもてという
その手足、どんなもの?

蜘蛛の巣でゆれているらしい
僕の手足
たのしいらしいよ

きもちよく、酔っているらしいよ


小さい池

2012-12-16 15:48:23 | ポエム

小さい池

 

江戸時代から
埋められもせず
澄んだり濁ったりしながら
その池はいまもある
アメンボウの家族が
太ったり痩せたりしながら
池の主になっているだけ
ほかのいきものはすみつかない
たまにゲンゴロウがニサニチいたが
すみにくいのかすぐ立ち去った
さいきん、波紋を描くアメンボウが
ひとりになっているらしい
まわりの立木が切りとられ
この池がめだちはじめ
将来、いよいよ埋められるらしい
一疋残っているアメンボウ
じつとその日をただまつている
それでもせっせと波紋を描きながら
ひとりで、我が物顔は失はないで
夢うつつのような
波紋とあそんでいる