鶴岡市立加茂水族館。山形県鶴岡市今泉字大久保。
2024年9月11日(水)。
古代鼠ヶ関址を見学して、9時開館の加茂水族館へ向かった。県内でもトップクラスの人気がある施設なので、9時5分頃に着いたが、さすがに観光客が続々と入場していた。クラゲが泳ぐ姿は文句なく美しい。
加茂水族館は、日本海に面した岬に建っている。愛称は「クラゲドリーム館」。クラゲの展示種類は60種類以上で2012年(平成24年)には種類数でギネス世界記録に認定された。また、庄内地方沖に生息する約140種類の魚などを展示し、アシカショーも行っている。
加茂水族館大水槽(クラゲドリームシアター)、クラネタリウム(常時30種類以上のクラゲを展示し、その飼育、展示の種類ともに世界一数を誇る)、クラゲプラネット(ミズクラゲ約2000匹が泳ぐ水量40トンの円形の水槽で、直径5mのアクリルガラス窓からクラゲを観察できる)やアザラシ、アシカショーコーナーを楽しめる。
加茂水族館は、1930年(昭和5年)に隣接する湯野浜温泉への鉄道開通を機に、同温泉の組合が加茂港背後地に当館を誕生させた。90年近い当館の歴史において、組合、県、市、第三セクター、民間、市と経営母体が変遷し、その途中に営業休止も経験した。経営上の紆余曲折も経ながら、クラゲに特化した水族館として復活。今や庄内地方有数の観光地となった。
水分が多いクラゲを排水溝で吸入してしまわないように水流の強さを抑えて水を循環させる「加茂式水槽」などクラゲの飼育・繁殖に関する高度なノウハウを持つため、海洋生物学研究者や世界の他の水族館からも注目を受けている。
オワンクラゲ。
分類:刺胞動物門 ヒドロ虫綱 軟クラゲ目 オワンクラゲ科 オワンクラゲ属
学名:Aequorea coerulescens 英名:Crystal jelly 漢字:御椀水母 傘径:~20cm
庄内浜では3~6月に多く出現する。傘の中央にある口を大きく開き小型のクラゲ類や小さなアミ類などを食べる。 発光するクラゲとして知られていて、刺激を与えたり紫外線を当てたりすると傘の縁が緑色に光ります。
ノーベル化学賞を受賞した故・下村脩博士が研究に用いていたのは、アメリカ太平洋岸に分布する別種のオワンクラゲ(Aequorea victoria)で、このオワンクラゲからエクオリンとGFP(緑色蛍光タンパク質)という発光物質が発見されています。エクオリンはカルシウムイオンの測定試薬として、GFPはその遺伝子を目的の遺伝子につないで発現させることで、細胞内での蛍光マーカーとして利用されています。
加茂水族館で展示されている、オワンクラゲの発光。
下村脩が2008年(平成20年)ノーベル化学賞を受賞すると、その授賞理由となった緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein; GFP)がオワンクラゲ由来であることも報道された。このことでオワンクラゲを飼育している同館が注目され、同館の入館者数が通常の1.5〜2倍にまで増加した。同館で飼育されているオワンクラゲは、自然界から採取した成体は発光するものの、人工繁殖で世代交代させると発光しなくなっていた。そのことを聞いた下村が2008年(平成20年)10月に直接同館に電話をし、「セレンテラジンを餌に混ぜれば、2週間で光る」とアドバイスをした。そして、下村の紹介で、三重大学大学院生物資源学研究科の教授・寺西克倫からセレンテラジンを譲り受け、発光実験に取り組んだ。
ビゼンクラゲ。
分類:刺胞動物門 鉢虫綱 根口クラゲ目 ビゼンクラゲ科 ビゼンクラゲ属
学名:Rhopilema esculentum
英名:-
漢字:備前水母
傘径:~50cm
庄内浜では夏~晩秋に出現し、夕方ごろになって突然多数が泳いでいるのを見ることがある。青みがかった色をしており、庄内では「あおだんご(青団子)」とも呼ばれるが、水槽に入れて飼育していると段々と色が薄くなっていく。以前はスナイロクラゲと呼ばれていた。
成熟した野生個体は、光の刺激で一斉に放精放卵を行うため、朝に水槽の照明を付けた後、飼育水が白く濁ることがある。
ラクテアジェリー。
クリサオラ・ラクテア(Chrysaora lactea)は、ヤナギクラゲ科のクラゲ。日本ではラクテアジェリーとも言われている。
幅が8cmまでにもなる。 胃袋の間の隔膜は、縁の非常に近くまでまっすぐ。
オクタントあたり通常 5本、時には 7本または 9本の触手、各オクタントの 2つの二次触手は約半分、2つの三次触手は中央の主触手の約 4 分の 1、残りは両側に向かって連続的に長さが減る。
すべての触手は、ラペット間の裂け目から出ている。
南米のキューバからアルゼンチン、ブラジル、カリブ海まで分布。
インドネシアシーネットル。
学名Chrysaora chinensis 英名Malaysian Sea Nettle。
東部インド洋~西部太平洋の温暖な海域に生息するクラゲ。マレーシアンシーネットルとも呼ばれることもある。
肉食性で、多種のクラゲや動物プランクトン、甲殻類などを食べる。
英名の「Sea Nettle」は「海のイラクサ」という意味をもつ。その名の通り、シーネットルは毒性の強い刺胞をもち、刺されると焼けるような痛みや酷い蕁麻疹の症状が現れることが多い。