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2011年3月14日21時50分
東日本大震災で被害を受けた東京電力の福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)の2号機で14日、原子炉内の水位が低下し、一時的に燃料棒全体が水から露出した。3号機では、同日午前11時ごろ、大きな爆発があり、原子炉建屋が吹き飛んだ。経済産業省原子力安全・保安院によると、2号機は空だきの状態になり放射性物質の放出や炉心溶融の可能性が否定できない、としている。枝野幸男官房長官は同日午後9時すぎの記者会見で、燃料棒が露出した1~3号機の炉心溶融について「可能性は高い。三つとも」と述べた。
2号機は、14日になって炉心を冷やす水を循環させる仕組みが働かなくなり、炉内の水位が低下した。東電は14日午後1時25分に冷却機能を喪失したと判断。原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態として国に報告した。
東電は、14日午後4時34分から海水注入の準備に入り、午後6時22分から注入作業を開始した。だが水位は下げ止まらず、4メートルある燃料棒全体が露出した。
海水の注入は1、3号機に続き3基目。海水を送り込むポンプは、作業員が正常に作動しているかを監視していた。最後に2号機のポンプを確認したときは動いていたものの、1、3号機のポンプを確認して戻ると、2号機のポンプが停止していた。ポンプの燃料が切れていたという。
その後、燃料を入れて海水を注入。水位は上がり始めたという。炉内の圧力は設計上の上限近くに達し、東電は午後8時37分、放射性物質を含む水蒸気を外部に放出する作業に入った。
東電の武藤栄・副社長は同日午後8時40分の会見で、空だきの状態になっている可能性を認めた。炉心溶融の可能性があり、格納容器が持ちこたえられるかどうかが焦点となっている。
3号機の爆発は、12日に1号機で建屋が吹き飛んだ爆発とよく似ている。避難指示の出ていた20キロ圏内には少なくとも約600人の住民が残っていたとみられ、保安院は一時、建物内に避難するよう要請した。東電によると、自衛隊員4人を含む11人が負傷し、うち6人について放射性物質の付着を確認した。周辺の放射線量のデータに大きな変化は確認されていない。
同原発で運転中だった1~3号機は地震後、原子炉を冷やす緊急炉心冷却システムの電気供給が停止。1、3号機では、燃料棒の一部が一時露出するなどして爆発しやすい水素が発生したとみられる。
原子炉は、内側から圧力容器、格納容器、原子炉建屋の「壁」で守られている。冷却水が全て失われると、空だき状態になって過熱が進み、炉心が溶けるおそれがある。周囲の壁を溶かしたり、爆発を起こしたりして、大量の放射性物質の放出につながるおそれがある。
1、3号機は、爆発時に圧力容器や格納容器が損傷した可能性は低いとみられる。圧力容器や格納容器が壊れると、チェルノブイリ事故に匹敵する重大事故となる。
一方、福島第二原発では1、2号機の炉内の温度が100度を下回り、安定した状態に復帰した。
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