(思わず泣ける話(12)のつづき。)
コンビニでお金を下ろした私は、ひとまず軽トラのある現場へ戻った。
何度鍵を捻っても掛からないエンジン。
「これでダメなら諦めよう…。」と思ったその時!
…奇跡は、起こった。
ブルルンっ!
エンジンが、掛かった!(;゜0゜)
一瞬、次の現場へ向かおうか頭をよぎったが、
また動かなくなるのが怖かったので、
近くのガソリンスタンドで診てもらうことにした。
「すみません。軽油と間違ってガソリン入れてしまいまして…。
抜いてもらえませんでしょうか…。」(・_・;
こうして、店員さんにガソリンを抜き取ってから軽油を入れてもらい、
エンジンの不具合がないか調べてもらうこととなった。
これで何とかなる。
私は一妙の光が見えた気がした。
だが、そんな光もものの見事に閉ざされたのであった。
「ガソリンを軽油に入れ替えたんですけど、エンジンが掛からないですね。
エンジン部分までガソリンが入ってる可能性がありますね。」
私は泣いた。心の中で。
その時、時刻は正午を過ぎていた。
「全部回るのは無理だ…。」
まずはこれから向かう予定だった現場のそれぞれの監督方に断りを入れた。
午後から向かう回収の現場監督には事情を説明し、遅くなる旨を伝えた。
そして動揺を抑えつつ、軽トラの監督に現状を報告した。
「こうなったらJAFを呼ぼう!それしかなかろ?」
私はJAFを呼ぶことにした。
更に待つこと約1時間、レッカー車がやってきた。
そして、会社の取引先の自動車整備工場へ向かうこととなった。
動かぬ軽トラを乗っけられ、私はレッカー車に同乗した。
「エンジンどうもなってなければいいですけどね…。
もし部品交換とかなったら、30万は掛かりますよ。」
レッカー車の運転手からそう聞かされ、私は驚愕した。
「もしこれで給与天引きでもなったら、どうしよう。」(・_・;
「ま、ええか。死ぬわきゃねぇし。たぶん治るやろ。」♪(´ε` )
妙な不安と根拠のない自信を胸に秘めていたら、自動車整備工場に着いた。
軽トラを下ろしてもらい、整備士に鍵を渡した。
すると、また奇跡的にエンジンが掛かった!(;゜0゜)
「たぶんエンジンは大丈夫ですよ。よかったですね。」
レッカー車の運転手はそう言い残し、去っていった。
親切な対応に、私はただただ感謝するだけだった。( ̄へ ̄;)
それから約1時間程だったろうか、修理は終わった。
コーヒーを飲んでいたものの、時間の経過とともにソワソワするばかりだった。
ブルルンっ!
ブルルンっ!
ブルるるるーんっ!
何度やってもエンジンが掛かった!
治った!現場に向かえる!
「もう入れ間違えないでくださいね。」
工場長の言葉が胸に沁みた。
私は感謝するとともに、心の中で涙した。(T_T)
回収の仕事を終え、事務所に戻った。
そこで私を待っていたのは、監督たちの温かくも容赦ないツッコミだった。
「嗚呼、なんてええ職場なんや…。」(T_T)
その日以来、その軽トラとそれ以前の軽トラを見る度、
「間違えるなよ!間違えたら動かなくなるぞ!」と声をかける私。
現場で監督に会う度にその話題になっていたのは、言うまでもない。
そして後日、またまた奇跡が起こったのだ。
ダメ元で自腹で払った軽油入れ替え代の精算を申請したら、
1ヶ月くらい経ってから現金で戻ってきたのだ!
私は思わず絶叫し、心の中で涙したことは、勿論言うまでもない。(T_T)
めでたし。めでたし。