本日から毎日小説連載を再開したいと思います!
仕事は決まってないんですけど!!! 泣きたい!!!
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時計塔と架け橋の街。メトロポリスと人が名付けたこの国の首都。人間族を統べる王がおわす城を有するここは、他にも増して華やかで絢爛なところだった。厳つい番人の守る堅牢な門を抜けて、飛び込んできた極彩色と喧噪に目を瞬かせた。
「トルル! あっちで娘たちが踊っておるぞ! 早う行かねば! 旨そうな串焼きが我を呼んでいる!」
祭が好きなアダムのテンションはうなぎ上りだ。飛び下りて走り出しそうなアダムの小さな体をわしづかみにして、タイミングよく寄ってきた船に乗り込んだ。
架け橋の名が示す通り、この街には何本もの運河が流れ、その上にいくつもの橋が架かっていた。中央には赤煉瓦造りの時計塔が立つ広場を据え、一番北では雪水晶の王城が夕日の光を浴びて輝いていた。
足を使った移動も、さぞ風情と楽しさがあっていいだろうけど、急ぎだったり目的があるときは運河を行き来する何艘もの船を利用するほうが効率的だった。
僕と同じ船に乗り合わせたのは、全員が人間だった。
どっから来たんだい? 鉄と森の街からだぜ! そらまた遠いなあ! 私達は歯車と摩天楼の街からです。推しの役者のためなら仕事なんていつでも放り出せるわ! そいつぁいけねえな嬢ちゃん! お兄さんは? 春陽と野花の町です。あらやだ、もっと遠くからのがいたわよ! 妻がその町の出身だぜ。えっ、本当ですか?
船の前で後ろで、共通の話題に花が咲き、質問が飛び交い、船の上は本当に賑やかだった。