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山歩きに不慣れな僕が足を滑らせたり、大型獣に遭遇してアダムが喰われかけたり、色々あった100階の探索も4日目の昼を迎えた。
「おお、あの大岩を見よトルル。まるでこんがりと焼けた肉のようではないかっ。もっと近くへ寄れ!」
たしかに、全体が色褪せた薄い茶色であることや雨風に削られた筋なんかは、焼けた分厚い肉のように見えた。何気なく反対側へ回ろうとして大岩の影から出た瞬間、僕はギョッとして立ち止まった。
巨大な四角錐の石の建造物が、逆さになって地面に突き刺さっていた。
「ふむ。これはもしや、探していた100階ではないか? 早う奴らを呼んでこねばな」
肉に似た大岩に興奮していたはずのアダムが、落ち着き払ってそんなことを言った。
「……アダム。まさか知っていたのか?」
「さて、なんのことだ」
これも話す気はないらしい。僕は首を振るとおじさんたちを呼びに行った。色々確かめてみて、これが100階に違いないと分かると、僕は何故か胴上げされた。
「でかした坊主! お宝は目前だ、気合い入れろ!」
『おー!』
部下の人たちのほうがテンションが高かった。
入口の扉は僕たちの遥か頭上、三階建ての家の屋根ぐらいの高さにあり、今は錆ついた扉を動かそうと彼らにがんばってもらっていた。