徒然日誌(旧:1日1コラ)

1日1枚画像を作成して投稿するつもりのブログ、改め、一日一つの雑学を報告するつもりのブログ。

寿の月、時計塔と架け橋の街にて 11

2020-03-11 21:38:30 | 小説







 本文詳細↓



 それ以外のことは何も知ることができなかった。一日すら一緒にいなかった。それどころか、凄く短い、一行で済んでしまう。そのくらいの薄っぺらい関係だ。けど、なんでだろう。とても大事なことのような気がする。
 あの子が本当に伝えたかったことは分からないままだけど、それでも僕は、僕が聞いたあの子の言葉を忘れてはいけない。
 ただし、誰にも知られないように声には出さず。




 その日、夕日が沈んでしまうその最後の一瞬。僕は、黒に染まりゆく空に何かの影を見た。人の顔を持ち、足も翼もなく、炎のような雲のような、曖昧な体で空を横切っていった巨大な何かの影を。


コメント
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