●歌わないときに
モーツァルトの生涯を調べるうちに観たくなったのが「魔笛」。
モーツァルト最晩年のこの作品は,「オペラ」とは違う「ジング・
シュピーゲル(歌芝居)」だ。
1991年(30年前!)のメトロポリタン盤(DVD)は,日本語字幕
付きなので内容を理解しやすい。
画質が良いものを,と観たのが2003年(18年前)のBBC盤(BD)。
こちらは日本語字幕がないので,英語字幕で観た。
導入部の「獣」はメトロ版は着ぐるみでBBC盤は棒操作だが,
どちらも楽しめた。
メトロ盤では,「パパゲーナ」のキャスリーン・バトルが印象に残った。
最初ははっきりと認識していなかったのだが,BBC盤のパパゲーナ役の
二重唱を観たら,その理由が分かった気がした。
二重唱で相手役が歌っている時,つまり自分が歌わない時に,相手役の
歌に,視線や体の向きなど細かに反応しているからだ。
その視点でBBC盤を改めて観て,はっきりと認識した。
<歌わないときにどうしているか>で説得力が違ってくる,と。