アルゼンチンに、ボルヘスという怪物がいた。
大妖、である。
図書館に棲喰い、書物という書物をがつがつと喰らって生きていた。
『幻獣辞典』はそのボルヘスが書いた本(マルガリータ・ゲレロ共著)である。
その中では古今東西の史書や伝承に記された奇妙な生き物たちが紹介されている。
この中の「
「
(『幻獣辞典』 ボルヘ・ルイス・ボルヘス、マルガリータ・ゲレロ 訳:柳瀬尚紀 晶文社 78頁より無断転載)
八岐大蛇の尾から出てきた剣を、素戔嗚尊は姉である天照大神に献上した。
これが草薙剣である。
ので、ボルヘスのこれを読んだとき、
「おいおい、ボルヘス。草薙剣は安徳天皇と一緒に壇ノ浦に沈んだぞ。
今日にいたるまで、沈んだまんまやったと思うぞ。
ま、しょーがねーか、いくら
とか思ったのだが。
あれは確かシンケンジャーに溺れていた2009年のこと。
溺れついでに、日本刀の歴史の本など、図書館で借りて読んだりしてたのだが、
どの本だったか忘れたが、その頃読んだ本のひとつに。
「日本武尊の死後、熱田神宮に納められた草薙剣だったが、
盗難事件が起きたため、宮中に戻された。
が、天武天皇が病に倒れたとき、病の原因は草薙剣を身近においてあるためであるという占が出たため、熱田神宮に戻された。
壇ノ浦に沈んだのは、草薙剣のレプリカである」
というような記述があったのだ。
え゛ーーーーーーっっっ!!!
びっくりして『日本書紀』をひっくりかえしてみたら。
「十日、天皇の病を占うと、草薙剣の祟りがあると出た。即日、尾張国熱田社に送って安置させた」
(『全現代語訳 日本書紀』下 宇治谷孟 講談社学術文庫 308頁より無断転載)
ごめんなさい、ボルヘス。
間違っていたのはわたしのほうでした、ボルヘス。
というようなことを日記に書こうとして忘れていたのを、
15日の日曜日、大河ドラマ「平清盛」第二話冒頭のとこ見てて思い出し、
今夜の「歴史秘話ヒストリア」見ててまた思い出したので。