観劇三昧:笑の内閣『ただしヤクザを除く』
2018/3/9
大手ピザのチェーン店、警察からの要請により店員たちが暴力団関係者からの注文ピザを断なきゃいけなくなる話。
怖い人と対決する展開は最初だけで、警察、エリアマネージャー、店長、店員、ヤクザ、市井の人たちのそれぞれの価値観が絡み合い、最終的には基本的人権とは何かという大きな問題提起に至っている。
善意の有効性と現実の厳しさを同時に描いているバランス感覚はさすが。
ヤクザに人権がないということは世間的にあんまり知られていないような気がする。
ヤクザというと遠い世界の話だけど、「クズ野郎にも人権を与えるべきか」という問題になると途端に身近な問題になる。実際、そういう考え方になるように構成してある。
「ヤクザなんかよりもヤクザに人権はいらんと言っている人のほうが怖い」。
あと、本作のヤクザはシノギがせこい。
演者側では警察役の丸山交通公園さんが絶好調で、勢いと際どいギャグでどんどんポイントを取っていく。心地よい。
ただし、あれは下手出し投げではないと思う。
※「笑える賞」に投稿。
■作品情報(観劇三昧HP)
劇団名:笑の内閣
公演時期 2016/06/19
上演時間 01:33:56
地域:関西
出演者:
しらとしまな/瓜坂勇朔/松田裕一郎/山下ダニエル弘之/丸山交通公園/森田祐利栄/髭だるマン
スタッフ :
作・演出:高間響/制作:前田瑠佳/舞台監督:稲荷/音響:島崎健史/照明:孕みゆき/演出補佐:横山優花/衣装:山下みさお/宣伝美術:大原渉平
あらすじ
大手宅配ピザチェーン、ピザマッチョ広島地区エリアマネージャーの住吉は、 広島県警呉中央署 組織犯罪対策課課長の稲川に呼び出され、管轄の店舗である呉店の常連客である高倉建設への配達を断るよう要請される。高倉建設は表向きはカタギの建設会社であるが、東京駒場を根城にする凶悪指定暴力団平田組の三次団体・三代目高間一家のフロント企業であり、ヤクザと知りながらピザを配達すると暴力団排除条例違反になる恐れがあったのだ。
ヤクザだとは知らなかったし、商売としてピザを届けているだけなのにと思いつつ、警察には逆らえず呉店に向かった住吉。しかしそこで彼が見たものは高倉建設からの注文。しかも今日はテイクアウト。今から断ろうにも20分後には、ヤクザが直接とりに来る。目の前で断るのは怖過ぎるけど、注文を受ければ条例違反。
売っても地獄、断っても地獄。
果たして呉店の運命は…
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