唐の玄宗皇帝の時代に唐紹という役人がいた。彼は子供の頃から前世の出来事を鮮明に覚えていて、自分の生死を予測することができるという珍しい能力を持っていたが、この能力を持っていることは誰にも言わず、妻や子供でさえも知らなかった。
唐紹は門下省で日常業務を担当する給事中(注:官職名)になった。唐紹の家の向かいには李邈という郎官(護衛官)が住んでおり、唐紹は暇になるとよく李邈を訪ねては一緒に談笑していた。時に、唐紹は食事を用意し、二人で家の中の広間で向かい合って食事もした。 李邈は唐紹がどうして自分にこんなによくしてくれるのか、よくわからなかった。
唐紹の妻も、「今、あなたの名声は高く、皇帝の側でお仕えしています。ですから付き合いも慎重にしなければなりません。まして李邈は、あなたとは釣り合わないし、あなたは繰り返し彼に近づいているけれど、あなたにはふさわしくないと思います」と唐紹をたしなめた。
唐紹は妻の言葉を黙って聞いていたが、長い時間が経ってこう言った。「その理由はあなたが知ることではない。私と李邈の感情は、ありきたりな深さを超えているのだから」
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