雲南林業部には、野生鳥獣の農林業被害対策の指導を行う鳥獣専門指導員がいます。
今回は、8/1のNOSAI出雲広域区長会おいて、鳥獣専門指導員が指導している取り組み事例の経過報告をしたのでその模様について紹介します。
【報告内容】
取り組みを実施している集落は、雲南市大東町内の一集落です。
当集落は、これまで鳥獣被害に対しては個々に対策を実施してきていましたが、近年イノシシによる水稲被害が増加しつつある状況でした。そこで何かよい方法がないかということで集落で勉強会を実施することとなり、NOSAI出雲広域雲南支所を通じて鳥獣専門指導員に相談がありました。
ここでは、第1回目は2月に「被害対策に関する基礎学習会」を実施しました。そしてこの勉強会を契機に次のステップとして、当集落における具体的な被害対策の検討を行うこととなり、イノシシの出没状況の確認を行うためのセンサーカメラを設置や被害情報を集落で共有するための被害発生状況マップを作成を行いました。マップの作成にあたっては、白地図を集落の方々に渡し、被害年度と被害箇所を記入してもらいました。
これらを鳥獣専門指導員がまとめるとともに、被害発生箇所周辺を踏査した結果、3月~5月の調査を実施した期間の間にも数頭のイノシシが出没していることや主に利用する侵入経路(獣道)がわかりました。
また、センサーカメラで撮影した動画から、侵入防止柵を設置した場合は、設置当初はイノシシがこれを警戒して引き返していくものの、時間の経過とともに侵入(通行)可能な場所を探すべく、回り込むことなどが確認されました。このことから被害発生を確実に抑えるためには、山側だけでなく周囲全体を囲い込むことが必要であることが再確認できました。
これらの情報(出没状況・被害状況マップ)を6月に実施した「情報共有及び対策検討会」で集落の方々に報告しました。
当集落は、地形が入り組んでいるとともに、耕作放棄地もまばらにあり、集落全体を囲い込むことが費用面・管理面からみて必ずしも効果的であるとはいえません。このような状況から、個々で対策を行う場所とまとまって対策を行う場所の整理も必要であることがわかってきました。
今後は、これらの場所ごとの対策を整理をしつつ、効果的かつ管理の持続が可能な対策を行っていくことになります。
今回は、対策の道半ばではありますが、NOSAI出雲広域区長会で集落で取り組みを開始した事例について報告する機会がありましたので、その概要を報告させていただきました。